シアトルのライトレール(リンク・ライトレール)には、改札口がありません。乗り降りは自由で、ORCAカードやクレジットカードを自分でタップするだけ。2009年の開業からそれが当たり前の風景でしたが、近い将来、その仕組みが変わるかもしれません。
サウンドトランジットは2026年6月、改札機(フェアゲート)の導入に向けた調査報告書を理事会委員会に提出しました。6月25日の理事会でも議論が行われる予定で、いよいよ本格的な検討段階に入っています。
なぜ今、改札口が必要なのか

もともと「バリアフリー方式」を採用していたシアトルのライトレールは、乗客が自主的に運賃を払う前提で設計されていました。2009年から取り締まり制度が始まり、2019年には「フェア・アンバサダー」(fare ambassador)と呼ばれるスタッフが乗客に声をかけながら啓発を続けてきました。
しかし、コロナ禍を経て状況が変わりました。2018〜2019年には約85%あった運賃支払い率が、近年の電子カウントでは約63%にまで低下しています。つまり、3人に1人が払っていない計算です。改札口の導入は、こうした問題への対応策として浮上してきました。
2025年の理事会決議(M2025-64)を受け、コンサルタント会社WSPが全駅を対象に導入可能性と費用対効果を調査。その結果が今回の報告書にまとめられました。カナダのバンクーバーBC、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ボストン、ワシントンDCなど、他都市の事例も参考にしています。
どの駅に設置される?
報告書が示す計画では、全駅ではなく最大14駅が対象です。シアトル中心部ではノースゲートからインターナショナルディストリクト・チャイナタウンまでの9駅、そのほかリンウッド、レドモンド、ベルビュー、フェデラルウェイ、シアトル・タコマ国際空港が候補に挙がっています。
この14駅は利用者が多い主要駅。これだけの駅に改札を導入すれば、システム全体の乗車の約85%をカバーできるとされています。地上区間のレーニア・バレーや一部の近距離区間は、引き続き改札なしのままになる見込みです。
乗り方はどう変わる?

現在は乗車時のタップだけが求められていますが、導入後は退場時にもORCAカードをタップする「双方向ゲート」方式が推奨されています。乗るとき・降りるとき、どちらもタップが必要になります。
また、18歳以下は引き続き無料ですが、Youth ORCAカードをタップしてゲートを通ることが必要になります。低所得者向けの「ORCA Lift」利用者も、専用カードでゲートを通過できます。車椅子・自転車・ストローラーに対応した幅の広い改札も各駅に最低1基設置される予定で、空港駅では荷物を持った利用者を想定した幅の広い改札になる方針です。
いつから始まる?
理事会が承認した場合、2026年第3四半期にRFP(提案依頼書)の準備を開始。2027年初頭に建設費を予算に計上し、2029〜2030年のパイロット運用開始を目指すスケジュールです。まだ決定ではなく、6月25日の理事会での議論が次の大きな節目となります。
まとめ
改札が導入されれば、乗り方も変わってきます。とはいえ、導入が決定しても、実装されるのはまだ数年先。今後の発表をチェックしておきましょう。


