米国ではここ数ヶ月にわたり、「爆発的な下痢(explosive diarrhea)」を訴える患者の報告が全米で急増していました。これを受け、米国疾病対策センター(CDC)と食品医薬品局(FDA)は16日、原因の一つとして、外食チェーン「タコベル」の一部店舗で提供されていた刻みレタス(アイスバーグレタス)を特定したと発表しました。レタスの供給元であるテイラー・ファームズ社(Taylor Farms de Mexico)は、該当するレタスの自主回収を進めています。
本記事では、CDC(米国疾病予防管理センター)、FDA(食品医薬品局)、シアトル・キング郡保健局の公式情報をまとめました。
影響が出ている地域
現在、回収や感染報告の対象となっているのは以下の5州です。
- インディアナ州
- ケンタッキー州
- ミシガン州
- オハイオ州
- ウェストバージニア州
シアトル・キング郡(ワシントン州)の現状は?
シアトル・キング郡保健局(Public Health – Seattle & King County)の発表によると、現時点でこの複数州にまたがる集団感染がキング郡に影響を与えている証拠はありません。 地元での予期せぬ感染者の増加も確認されていないとのことです。
同保健局は「現時点で特定の野菜の購入を控えたり、処分したりする必要はない」としていますが、FDAは汚染されたレタスが他の地域にも流通していないか調査を続けています。
感染規模と「サイクロスポーラ」の厄介な特徴
CDCによると、今年5月以降、全米でサイクロスポーラ症(Cyclospora)という顕微鏡サイズの寄生虫による感染報告が例年を上回るペースで急増しています。
- 被害規模: これまでに1,644人以上の感染がタコベルを利用したことが確認され、94人が入院しました(死者は報告されていません)。
- 発症時期: 5月13日から7月13日の間に集中しています。
- 主な症状: 「爆発的な下痢」(explosive diarrhea)が最大の特徴で、数週間から1ヶ月以上も症状が出たり消えたりを繰り返すことがあります。お腹の張り、食欲不振、激しい疲労感を伴うこともあります。
ノロウイルスとの違い
シアトル・キング郡保健局によると、一般的な「ノロウイルス」は人から人へ爆発的に感染し、症状は1〜2日で収まることが多いですが、サイクロスポーラは人から人へは直接感染しません(排出された直後の寄生虫には感染力がないため)。
ただし、症状が非常に長引くという特徴があります。また、細菌ではないものの特定の抗生物質による治療が可能な点も、ノロウイルスと異なります。
注意!「水洗い」では防げない
シアトル・キング郡保健局の専門家であるアン・シェン(Ann Shen)氏は、サイクロスポーラは非常に強い寄生虫であり、「一般的な水洗い(野菜をすすぐ・洗う)だけでは完全に死滅させたり落としたりすることはできない」と警告しています。
少しでもリスクを減らすための具体的な予防策は以下の通りです。
- 皮をむく・こすり洗い: 果物や野菜は、表面を勢いよくこすりながら洗うか、皮をむくことでリスクを軽減できます。
- 加熱調理(確実な方法): 寄生虫は熱に弱いため、内部温度を70℃(158°F)以上に加熱すれば確実に死滅させることができます。
- リスクの高い食品を避ける: 過去にサイクロスポーラの原因となりやすかった食品(袋入りのレタスやサラダ用生野菜、ラズベリー、パッケージされた生のハーブ類など)を生で食べるのを控える。特に高齢者、乳幼児、妊婦、免疫力が低下している方は注意が必要です。
供給元の対応と今後の見通し
FDAの調査により原因企業と特定されたテイラー・ファームズ社は、過去(2013年)にもサイクロスポーラ集団感染の供給元として名前が挙がった経緯があります。タコベル側はすに対象のレタスを店舗から撤去し、別の供給元への切り替えを完了しています。
一部の報道では「チポトレ」(Chipotle)など他の外食チェーンへの影響も噂されていますが、現時点で当局からの正式な発表はありません。
該当する5州へ渡航予定のある方や現地に滞在されている方は、飲食店での生レタスの摂取を控えるなどの自衛策をとると安心です。もし現地で長引く下痢などの症状が出た場合は、我慢せず速やかに医療機関を受診してください。

