シアトル・タコマ国際空港(SEA)のCコンコースが、大規模な拡張工事を終えて6月11日に正式オープン。既存の建物の上に4フロアを新設し、床面積をほぼ3倍に広げた新施設です。飲食店10店舗、展望デッキ、さまざまなアート作品などが揃っており、空港での過ごし方が大きく変わりそうです。
同空港は全米11位の利用者数を誇りながら、敷地面積では制約の多い空港のひとつです。横に広げることができない中で選ばれたのが「上に積む」という方法でした。もともとオフィスや倉庫として使われていたスペースを取り壊し、その跡地に4フロアを積み上げています。総工費は約3億9,900万ドル。2022年から準備を始め、稼働中の空港内での工事を経て完成にこぎつけました。
1949年開港から77年 空港が変わり続ける理由

シアトル・タコマ国際空港は1944年に建設が完了し、1949年に正式開港しました。現在はA・B・C・Dの4つのコンコース、ノースとサウスの2つのサテライト施設で構成されています。2025年には年間5,270万人が利用し、過去最高を記録しました。
増え続ける利用者に対応するため、空港は「Upgrade SEA」と呼ばれる大規模改修を段階的に進めてきました。メインターミナルのリニューアル、国際線到着施設の新設、セキュリティの刷新に続き、今回のCコンコース拡張がその締めくくりとなります。
新しくなったCコンコースの主な見どころ
この C コンコースの中心となるのが「Tree at C」です。高さ約9メートルの吹き抜け空間に大階段(グランドステア)が広がり、太平洋岸北西部の森をイメージした木のパターンが天井を覆います。木の持つ温もり、大自然の持つエネルギーを感じさせ、自然光を取り込む折り重なった窓の設計も特徴的で、空港にいることを忘れるような開放感があります。大階段の下にはライブ音楽の演奏スペースも設けられており、音楽プログラム「Sounds at SEA」の出演アーティストが定期的にパフォーマンスを行います。
3階には滑走路を見渡せる展望デッキ「Lookout at C」があります。これまで同空港には展望デッキがなかったので、注目スポットといえます。飛行機の離着陸を間近に眺められる場所として、子ども連れの家族にも喜ばれそうです。同じフロアには、礼拝や瞑想が行える静かな部屋、授乳室、感覚過敏の方向けのセンサリールーム、ペット専用エリアなども揃っており、多様な旅行者への配慮も随所に見られます。
飲食・小売テナントは、1階と2階に10店舗が新たに入居しています。Bell St. Landing by Hudson、Bite Society、Buffalo Wild Wings Go、Chili’s、Great State Burger、Nanny’s BBQ、Olympia Coffee、Port of Subs、Seattle Macaron Co.、Wanderlustの10店舗です。シアトルゆかりのローカルブランドから全国チェーンまで幅広い顔ぶれで、地元の小規模事業者を支援する「SEA Sparks Incubator Program」のキオスクも6か所に登場しました。現在はシアトル・ガラス・スタジオとジュエリー専門店などが入っています。
環境にも配慮した設計
さらに、暖房・給湯・調理設備はすべて電気でまかない、化石燃料を使わない設計であることにも注目です。
窓にはエレクトロクロミック(調光)ガラスを採用しており、太陽の動きに合わせて自動的に透過率が変わる仕組みになっています。屋上の太陽光パネルは施設電力の12~14%を供給する計画です。LEED Gold認証の取得を目指しており、SEA空港としてもっとも環境負荷の低い建物となりました。
W杯直前というタイミング
6月15日、シアトルでFIFAワールドカップ2026の試合が始まります。推定75万人の国際旅行者が訪れると見込まれるこの夏、新しいCコンコースは世界から来る旅客を迎える最前線になります。日本から直行便でシアトルを訪れる方も、到着後すぐにこの新空間を体験できます。
シアトル・タコマ国際空港を利用する際は、時間に少し余裕を持ってこの C コンコースを歩いてみてください。「Tree at C」のグランドステアと「Lookout at C」からの眺めは、空港での待ち時間を変えてくれるはずです。

