アメリカで育つ子どもたちに、英語がネイティブではなくとも日本式の算数を身につけて自信をつけてもらいたいー。
ワシントン州ベルビューにあるベルビュー・チルドレンズ・アカデミー(以下BCA)がそんな想いを込めて開発した日本語と英語のオリジナル算数教材『BCA Math / SPARK Math』について取材しました。
「日本式の算数を伝えたい」という思い
![spark-math-1 - junglecity.com Three women in an office pose behind a table showing colorful Spark Math workbooks.] (optional: includes the visible SPARK Math covers)](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2026/05/spark-math-1.jpg)
2000年にBCAを創設して以来、子どもたちの教育に携わってきた清水楡華先生は、教材開発の背景について「日本と、アメリカ算数の教育指導の違いを感じ、日本の算数の素晴らしさをアメリカで子どもたちに広く紹介したいと思ったのがきっかけです」と語ります。
ただし、いきなり日本の算数を導入するのは難しく、まずは日本の算数に近いシンガポール算数を取り入れ、アメリカ人教員が考え方を理解した上で、応用力や論理的思考力を養成する日本式算数の教材へと発展させました。
現在、土曜日に開講する日本語のBCA土曜学校では、子どもたちが平日に通う「現地校とは違う日本式の考え方」に焦点を当てて、このオリジナル教材を使用し、子ども達が算数の力を確実に身につけています。
同校で教員を務めるアーティスト・長友裕子さんによるイラストレーションが、表紙、そしてテキストにたくさん盛り込まれ、幼い子どもたちも楽しく興味を持って学んでいます。
日本とアメリカの算数、どこが違うのか|具体例で見る考え方の違い
足し算の例:9+3
アメリカではナンバーラインを使い、「9から3つ進む」と指導されることが多いです。そのため、子どもたちは指を使って教える傾向にあります。一方、日本の算数では「10を基準」に数を分解し、「9はあと1で10になる。3から1を移して10を作り、残りの2と合わせて12」と考えます。清水先生はこれを、数の分解と10の概念を重視する考え方だと説明します。
引き算の例:16−9
アメリカでは「16から9戻る」という発想ですが、日本の算数では「まず10から9を引き、残った1と残りのの6を合わせる」と考えます。ここでも常に10を基準に考える点が特徴です。
『BCA/SPARK Math』では、この数の分解と10の概念を重視して足し算と引き算を部分・全体にとらえて教えます。
計算は算数のツール 現実的な問題で応用力を育てる
子どもたちが計算を算数のツールとして使い、現実的な問題に応用できるようになるために、『BCA/SPARK Math』では文章題を多く取り入れています。分数についても、分数での足し算、引き算、掛け算、割り算を学習するだけでなく、分数のコンセプトを問う応用問題を学習します。
例えば、「お母さんが3時間で塗った壁を、お父さんは2時間で塗ることができます。2人で一緒に塗ると、何時間で塗り終わりますか」という問いがあります。
2時間で塗れるということは、1時間あたりに塗れる量は2分の1。
3時間で塗れるということは、1時間あたりに塗れる量は3分の1です。
2人で一緒に塗るということは、2分の1と3分の1を合わせて、1時間でどれだけ塗れるかを考えること。その1時間あたりの仕事量を基準に、壁全体を考えることで、必要な時間が見えてきます。
『BCA/SPARK Math』では、応用力を問う文章題を通してコンセプトを理解し、計算力を道具として問題を解いていく力を育てることを目指しています。
また、コンピュータサイエンスの基礎にまで応用できる問題も加えるなど、独自の工夫も凝らしています。
日本語が壁にならない工夫

英語話者の保護者にも日本式の算数を理解してもらえるよう工夫してある
河合明子校長は、「海外で生活する子供たちにとって、日本語、特に漢字が多く出てくる教材での学習は容易ではありません。全学年を通して漢字に読み仮名がふられていることが、土曜学校の生徒のニーズに合っている」と語ります。
さらに、英語版と日本語版が対応していることで、英語話者の保護者にも日本式の算数を理解してもらえるようになっています。
「日本式の算数を小学校6年生まできちんと学べば、アメリカの現地校のミドルスクールやハイスクールのアルジェブラやジオメトリーにも対応できるようになります。算数を強みにすることで、バイリンガルの子どもたちがクラスの中で自信を持ち、堂々と学んでいけることも、この教材に込められた強い思いです」
子どもたちが日本式の算数を学び、高い計算能力を道具として使い、深く学べるようにと、25年間の現場での経験を活かして、その工夫のもとに完成した『BCA/SPARK Math』。現在、は Spark and Step 社の公式サイトから購入可。興味のある方は、公式サイトから詳細を確認するか、BCA土曜学校へ直接お問い合わせください。
Spark and Step
公式サイト:www.sparkandstep.com

