11月最大のイベントである感謝祭(Thanksgiving Day)が終わり、アメリカは一気にホリデーシーズンへとシフトしました。今日はブラック・フライデー。「小売店にとって一年で最も忙しい日で、赤字が黒字に変わることからこの名がついた」と言われます。でも、オンラインではすでに何日も前からセールが始まっていたので、当日の特別感がいまひとつ…そんな印象を受ける今日この頃です。
とはいえ、この週末から街の空気は確実に変わります。今日28日(金)は午後5時からダウンタウンのツリー点灯式、ベルビューでは午後7時からスノーフレーク・レーンのパレードがいよいよ開幕(クリスマスイブまで毎日続きます)。明日は29日(土)はパイク・プレース・マーケットで30周年を迎えるマジック・イン・ザ・マーケット(写真)が開催され、サンタクロースとの記念写真撮影やツリー点灯(午後5時)などがあり、冬の定番イベントの幕開けを飾ります。
シアトルで初めてホリデーシーズンを過ごす場合、「どれも行ってみたい!」と迷ってしまうかもしれません。一方、長く住んでいると「このイベントには前に行ったから、もう行かなくてもいいかな」と思いがち。でも、数年ぶりに行ってみると新鮮に感じられたり、意外な発見があったりするものなんですね。
私も昨年、久しぶりにパイク・プレース・マーケットのマジック・イン・ザ・マーケットに足を運んだのですが、歴史ある雰囲気は昼間と変わらないものの、控えめでほのぼのとした”昔ながらのシアトル”を(久しぶりに?)感じることができたのでした。
言っておきますが、このマーケットのツリーは、毎年なぜかとても小さいです。私も久しぶりに行ってみて、「あれ、こんなに小さかったっけ?」と思いました。店の営業や配達の邪魔になるなどの理由で巨大なツリーは設置できないのでしょうが、ダウンタウンのウエストレイク・センターやベルビューのベルビュー・スクエアのツリーほどもないので、世界的に有名なニューヨークのロックフェラー・センターやロンドンのトラファルガー・スクエア、パリのギャラリー・ラファイエットなどと比べてはいけません。
でも、このマーケットには深い歴史があります。戦前、日本から移住した人たちがその創設時から多く出店して、差別を受けながらも繁盛していたのです。しかし日米開戦をきっかけに強制収容されてしまったため、出店者が減ったマーケットは立ち行かなくなり、一時は住宅地として再開発されるリスクにもさらされました。それでも住民の反対運動が成功して保存され、今に至っています。
そんな歴史がある場所なので、シアトルっ子たちにとっては「地元のクリスマスイベント」であり、しばらく行かなくても、子どもができたりしたら「また行ってみるか」と親子で行ってみたりするような感じでしょうか。そして、親も子どもも「小さい頃、家族であのイベントに行ったな〜」とノスタルジックになったりするかもしれません(我が家がまさにそれ)。
世界的に知られる華やかな巨大イベントでも、地味で小さなイベントでも、その街ならではの歴史や文化を紡いできた人たちがいるから、今の世代や次の世代が楽しめるんですよね。大切なのは、それを続けるために少しずつ改善しながら関わり続けている人たちの存在で、マーケットの小さなツリーを見ながら「これはこれでいいんだな〜」と考えてみたりしました。


