アメリカの空港で入国審査に到着した瞬間、長い列を目にしてため息をついた経験はありませんか。実は、無料のスマートフォンアプリを使うだけで、待ち時間をかなり短縮できます。
それが「MPC(モバイル・パスポート・コントロール)」です。米国税関・国境警備局(CBP)が公式に提供しているアプリで、事前に情報を入力しておくだけで専用レーンから入国手続きに進めます。費用はゼロ、事前申請も不要。観光や出張でシアトルを訪れる方にとって、知っておいて損はない仕組みです。
MPCの主なメリット

- 無料で利用可能:専用アプリのダウンロードや利用に費用は一切かかりません。
- 審査の迅速化:MPC専用レーンにより、通常の入国審査より迅速な手続きが可能。
- グループ利用対応:1台のデバイスで最大12名の情報をまとめて提出できます(団体、家族、親子、友人など)。
- ペーパーレス:紙の税関申告書(paper declaration form)記入が不要で手続きが簡素化。
トラステッド・トラベラーズ・プログラムの条件には合致しないものの、審査の高速化を利用したい場合や、トラステッド・トラベラーズ・プログラムの申請を済ませて審査結果待ちの場合にもおすすめであることが、米国税関・国境警備局(CBP)の公式サイトに明記されています。
誰が使えるか:対象者の確認
MPCを利用できるのは以下の方です。
- アメリカ市民
- 米国永住権(グリーンカード)保持者
- B1/B2ビザを持つカナダ国籍者
- ビザ免除プログラム(VWP)参加国の国籍者で、ESTAが承認済みかつ過去に1回以上アメリカへ渡航したことがある方
日本人観光客·出張者の多くは4番目の「ESTA利用者」に該当します。ただし、ESTAで初めてアメリカを訪れる場合は対象外です。2回目以降の渡航から使えると覚えておきましょう。

ビザ免除プログラム(VWP)利用者の注意点
VWP参加者がMPCを利用する場合、以下の制限に注意が必要です。
- ESTA(エスタ)の承認が必須:搭乗前に必ずESTAの承認が必要です。
- 初回渡米者は利用不可:初めてVWPを利用する場合はMPCを利用できません。
さらに、以下の条件に該当する場合は、VWP自体を利用できません。通常の米国ビザ申請が必要となります。
- 2011年3月1日以降、イラン、イラク、リビア、北朝鮮、ソマリア、スーダン、シリア、イエメン、または2021年1月12日以降にキューバへの渡航歴がある場合
- キューバ、イラン、イラク、北朝鮮、スーダン、シリアとの二重国籍者
MPCの利用可能な場所
MPCは以下の場所で利用可能です。
- シアトル(SEA)、ロサンゼルス(LAX)、ニューヨーク(JFK)など、アメリカの主要国際空港
- カナダ、アイルランド、カリブ海の一部の事前入国審査施設
- マイアミやサンフアンなど一部のクルーズ港
使い方:フライト中に済ませておくのが正解

手順はシンプルです。
- 空港の状況確認:米国入国に利用する空港がMPCを受け付けているか確認。受け付けている場合、2へ。受け付けていない場合は、MPC なしで通常の入国審査となります。
- アプリをダウンロード:Apple App Store または Google Play Store で CBP 公式の「Mobile Passport Control」アプリをダウンロードします。
- プロフィール作成:パスポート情報をスキャンして個人情報を登録。パスポートをスキャンして登録すれば、次回からは省略できます。最大12名の同行者を入力できます。家族や団体での旅行にも便利です。
- 税関申告書:自分と同行者についての質問に回答します。
- 情報提出:米国到着の4時間前から、または着陸直後に入国の4時間前から、または到着直後に自撮り写真を撮影します。
- QRコード取得:送信するとQRコードが発行されます。この有効時間は4時間のみです。
- 入国時に提示:到着後はMPC専用レーンへ。パスポートとQRコードをCBP審査官に提示します。
ひとつ注意しておきたいのは、MPC専用レーンが設置されていても、当日の状況によって一時的に閉鎖されている場合があること。その際は通常レーンを利用してください。MPC 利用者はグローバルエントリー専用レーンは使えません。
MPCとグローバルエントリー:どちらを選ぶか
アメリカ入国をスムーズにするプログラムには、有料の「グローバルエントリー(Global Entry)」もあります。CBPが提供している点は同じですが、目的や状況に応じて選び方が変わります。
MPCは無料で事前申請も不要。ESTA利用者なら手軽に始められます。一方、グローバルエントリーは5年間120ドルの費用と審査·面接が必要ですが、最速の入国手続きに加えてTSA PreCheck(国内線の保安検査の優先レーン)も付帯します。頻繁に渡航する方や在住者にはグローバルエントリーが、年1~2回の旅行者にはMPCが向いていると言えます。
グローバルエントリーの審査が通っていない段階でも、審査待ち中はMPCを活用できます。申請から承認まで時間がかかることがあるため、その間の代替手段として覚えておくと安心です。
| 項目 | MPC | グローバルエントリー |
|---|---|---|
| 費用 | 無料 | 5年間120ドル |
| 申請手続き | 不要 | 申請・面接が必要 |
| 身元確認 | 不要 | 要 |
| 指紋(fingerprint)提出 | 不要 | 要 |
| アプリ | MPCアプリのダウンロードが必要 | GEアプリまたは空港で機械を利用 |
| 入国審査官と対面で質問回答 | 必須 | 必須ではない |
| TSA PreCheck | 含まれない | 含まれる |
| パスポートの提示 | 必須 | 必要ない場合もあり |
| 写真撮影 | 自撮りの写真とは別に必要 | 不要(GEアプリやポータルで自撮り写真の場合のみ) |
| 利用可能な旅行者 | アメリカ市民、米国永住権(グリーンカード)保持者、B1/B2ビザを持つカナダ国籍者、ビザ免除プログラム(VWP)参加国籍者でESTA(エスタ)承認済みかつ過去に米国への渡航歴がある人(初めてのVWP利用者は利用不可) | 米国市民・米国永住権(グリーンカード)保持者・複数の国の国籍保持者で、審査に合格した人 |
まとめ:出発前のひと手間が、到着後のゆとりになる
MPCはあくまで入国手続きをスムーズにするツールです。パスポートの携帯は変わらず必要ですし、審査官との対面も省略されません。でも、事前に情報を入力しておき、専用レーンを使えるだけで、到着後の時間的・精神的なゆとりはかなり違います。
シアトルへの旅行や出張を予定しているなら、フライトを予約したタイミングでアプリをダウンロードしておくのがおすすめです。機内で時間があるときに情報を入力して、到着と同時にスムーズな入国を体験してみてください。
記事を通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。

