ピュージェット湾で暮らす、堂々たるクジラたちを間近で目にする体験は、言葉では言い表せないほどの感動があります。太平洋岸北西部では、オルカ(Orca)、コククジラ(Gray Whale)、ザトウクジラ(Humpback Whale)を年間を通して観察できるチャンスがありますが、特にサザンレジデント(南方定住型)オルカは、例年5月から10月にかけてサンフアン諸島周辺を回遊します。また、港のアザラシやアシカなどを捕食するトランジエント(移動型)オルカもこの海域に定期的に現れます。
また、沿岸部にはクジラを陸から観察できるビューポイントも多くあります。サンフアン諸島周辺では、カヤックやボートでのガイド付きツアーも人気ですし、シアトル市内から出発するクルーズや水上飛行機でのアクセスも可能です。どの方法を選んでも、目の前に現れるクジラの姿は、きっと一生の思い出になるはずです。ここでは、The Whale Trail や Southern Resident Orca Recovery、
3つのタイプのクジラ・オルカに出会える海
- コククジラ(Gray Whale):春にバハ・カリフォルニアから回遊してくるクジラ。3~5月が見頃。
- ザトウクジラ(Humpback Whale):通年で現れることもあり、特に夏から秋にかけての観察率が高い。
- オルカ(Orca):
- サザンレジデント(定住型):この海域で暮らす「地元のオルカ」。5月〜10月にかけてサンフアン諸島周辺でよく見られます。
- トランジエント(移動型):アザラシやネズミイルカを捕食しながら広範囲を移動するオルカ。通年で出没。
ホエールウォッチングというと、どこかからやってくる渡り鳥のように思われがちですが、実はこの海域を「わが家」として暮らしているオルカたちもいます。それが、「サザンレジデント・オルカ(Southern Resident Orcas)」。彼らは季節を問わずこの海で生活し、仲間とともに暮らす、家族のような群れ(pod:ポッド)をつくっているのです。
おすすめホエールウォッチングツアー
シアトル市内から出発するホエールウォッチングツアー
時間が限られている方には、シアトルのウォーターフロントから出発する FRS Clipperの半日クルーズ がおすすめ。専門ナチュラリストが同乗し、サリッシュ海を進みながらクジラを探します。快適な船内で、初心者にも安心です。
もっと自然を満喫したい方には、Evergreen Escapesの1日ツアー が人気。市内ホテルから出発し、デセプションパス州立公園でのピクニックランチを経て、アナコーテスからクジラ観察のボートに乗船します。Puget Sound Express は、エドモンズやポートタウンゼンドから出発し、経験豊富な家族経営のガイド陣が魅力です。
サンフアン諸島発の本格ホエールウォッチング
ウェスト・シアトルのアルカイビーチは、クジラを海岸から観察できる貴重なスポット。特に秋から冬にかけてはオルカの目撃情報もあり、双眼鏡があればより楽しめます。最新の目撃情報は Orca Networkの「Whale Sighting Viewpoints Map」で確認できます。
サンファン諸島発の本格ホエールウォッチング
本格的なホエールウォッチングを体験したい方は、サンファン諸島でのクルーズツアーがおすすめです。San Juan Excursions や San Juan Cruises はフライデー・ハーバーから、San Juan Outfitters はロシュ・ハーバーから出発します。
アナコーテスや、サンファン諸島のオルカス島やロペス島から出発する Outer Island Excursions も人気です。
Crystal Seas Kayak のカヤックツアーは、より近くでクジラや野生動物を観察したい方にぴったり。数時間から1日かけてサンフアン諸島を巡るプランのほか、クルーズと組み合わせたプランも選べます。
おすすめ立ち寄りスポット|ホエール・ミュージアム
サンファン諸島を訪れた際は、フライデー・ハーバーの The Whale Museum(ホエール・ミュージアム)にも立ち寄ってみましょう。サザンレジデント・オルカの生態や保護活動、研究展示が充実しており、ますます理解が深まります。
The Whale Museum
62 First Street, Friday Harbor
whalemuseum.org
シアトル近郊での海岸観察|アルカイ・ビーチ
ウェスト・シアトルのアルカイビーチは、クジラを海岸から観察できる貴重なスポット。特に秋から冬にかけてはオルカの目撃情報もあり、双眼鏡があればより楽しめます。最新の目撃情報は 下記の Orca Network の「Whale Sighting Viewpoints Map」で確認してください。
いつ行けばいい?何を持って行けばいい?
見られる時期
見られる種類 | ベストシーズン |
---|---|
コククジラ(Gray Whale) | 3月〜5月 |
サザンレジデント・オルカ(Southern Resident Orca) | 5月〜10月 |
移動型オルカ(Transient Orca) | 通年チャンスあり |
ザトウクジラ(Humpback Whale) | 通年チャンスあり |
ミンククジラ(Minke Whale) | 通年チャンスあり |
とはいえ、野生動物との出会いに「100%の保証」はありません。だからこそ、出会えたときの感動は格別です。
見られる確率を上げたいなら
- Whale Alert(ホエール・アラート):リアルタイムのクジラ目撃情報が確認できるアプリ。船とクジラの衝突回避にも活用されています。
- Orca Network の目撃マップ:一般からの目撃情報をもとにしたオルカの分布地図。観察の計画に最適です。
- The Whale Trail:陸からクジラが見えるスポットを網羅したインタラクティブマップ。初心者にもやさしい観察ガイドつき。
持ち物チェック
- 防寒具(海の上は冷えます)
- 双眼鏡&カメラ
- 酔い止め(心配な方は)
- 日焼け止め・帽子(晴天の日は特に)
Q&A|はじめての方へ
Q:この海に住んでいるオルカは本当にいるの?
はい。「サザンレジデント」と呼ばれるオルカたちはこの海域に定住していて、年中ここで暮らしています。まさに地元のオルカたちです。
Q:サザンレジデント・オルカは絶滅の危機にありますか?
はい。サザンレジデント・オルカの数は減少しており、2025年時点で絶滅の危機に直面しています。ワシントン州やカナダのブリティッシュ・コロンビア州などが協力し、絶滅を防ぐ活動を続けています。
Q:クジラを見るには高額なツアーが必要?
いいえ。シアトル市内から出発する半日クルーズでも十分楽しめます。予算や時間に合わせて選べます。
Q:サザンレジデントオルカにどのぐらい接近できるの?
2025年1月1日から、ワシントン州の海域ではサザンレジデント・オルカへの接近規制が強化され、すべての船舶が常時1,000ヤード(約900メートル)以上の距離を保つことが義務付けられました。カヤックやパドルボードも対象で、400ヤード以内に近づかれた場合は、船は安全を確保しつつエンジンを停止する必要があります。なお、オルカの識別は難しいため、すべてのオルカをサザンレジデントとして対応することが推奨されています。詳しくは Be Whale Wise へ。
大きなオルカやクジラの姿は、まさに一生忘れられない光景です。シアトルを訪れるなら、ホエールウォッチングツアーを旅程に加えてみてはいかがでしょうか?街中から日帰りで楽しむもよし、足を伸ばしてサンフアン諸島の本格ツアーを体験するもよし。どのプランでも、忘れられない思い出になるはずです。防寒具をお忘れなく!