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アメリカでの認知症・アルツハイマー病の現状と対策 Q&A (1)加齢による物忘れとの違いと早期対応の大切さ

Nurse in blue scrubs shaking hands with an elderly Japanese woman under a decorative oval containing Japanese text about dementia Q&A in America.
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アメリカで暮らすご家族やパートナー、あるいはご自身について、「最近、物忘れが増えたかもしれない」と不安を感じることはありませんか?海外という異なる言語・文化の環境下では、その不安はさらに大きくなりがちです。

この Q&A では、ワシントン大学准教授・家庭医の西連寺智子先生が、アメリカにおける認知症の現状をはじめ、加齢による物忘れとの見分け方、医療機関を受診する際の具体的なアプローチ、そして日本語で利用できる連邦政府や専門団体の公式相談リソースをわかりやすく解説します。正しい知識を持ち、早期に適切なサポートへ繋げるためのガイドとしてお役立てください。

目次

1. アメリカの認知症の現状

英語で「認知症」と診断される場合、どのような病名が使われますか?

「認知症」は英語で一般的に “dementia”(デメンシア)と言いますが、アメリカ精神医学会による正式な診断名は Major Neurocognitive Disorder(主要神経認知障害)です。これは、記憶、注意力、判断力、言語、や実行機能などの認知機能が落ち、日常生活に支障をきたしている状態を指します。

日本語でいう軽度認知症はMild Cognitive Impairmentといい、日常生活に支障をきたしていてない認知機能低下のことを言います。診断がしっかりついている場合は、次のような具体的な病名がつくことがあります。

例:

  • Alzheimer’s disease(アルツハイマー病)
  • Vascular dementia(血管性認知症)
  • Lewy body dementia(レビー小体型認知症)
  • Frontotemporal dementia(前頭側頭型認知症)(Q14へ)
2026年時点でアルツハイマー型認知症を患っている方はどのくらいいますか?年齢構成、死亡率、性別の違いも含めて教えてください。また、今後増えると予想されていますか?

Alzheimer’s Association によると、アメリカでは65歳以上の人では約9〜11%程度(​​約720万人) がアルツハイマー病を含む認知症と診断されています。年齢が一番のリスク因子で、アルツハイマー病の診断を受けた人の4分の3は75歳以上です。そのうち3分の2は女性です。今後も患者数は増加すると予測されており、高齢化社会における大きな社会的・医療的課題となっています。

アルツハイマー病の研究について詳しく知りたい場合、どのようなウェブサイトや研究リソースがおすすめですか?
  1. www.alzheimers.gov
    アメリカの国立老化研究所 National Institute on Aging(NIA)が管理する連邦政府の公式ポータルサイトです。疾患の原因や症状に関する資料や詳細な科学的情報を提供しています。
  2. www.alz.org
    Alzheimer’s Associationは 研究と支援における中心的な非営利団体です。このサイトには、認知症と共に生きる人に特化した広範なヘルプ&サポートセクションがあります。また、緊急の支援が必要な方のために、24時間年中無休のヘルプライン(800-272-3900)も提供しています。
  3. www.alz.org/asian/treatment/diagnosis.asp?nL=JA&dL=JA
    Alzheimer’s Association の 日本語ページです。
  4. www.ninchishounavi.metro.tokyo.lg.jp
    東京都の認知症ポータルサイトとうきょう認知ナビ。認知症に関する基礎知識、相談窓口、医療・介護支援、また、地域の取り組みなど、都民が必要な情報を網羅した東京都公式の総合ポータルサイトです。

2. 気づきと早期対応「もしかして…?」と思った時

年齢による物忘れと、認知症の兆候はどのように違うのでしょうか?

年齢による自然な物忘れと、認知症の兆候の特徴はそれぞれ違いがあるので、知っておくと 必要なときに適切な相談につなげることができます。

加齢に伴う物忘れは、脳の自然な変化のひとつです。特徴は「ヒントがあれば思い出せる」ことです。例えば:

  • 人や物の名前がすぐ出てこないが、あとで思い出せる
  • 物を置いた場所を忘れるが、探せば見つかる

日常生活(家事・仕事・金銭管理など)に大きな支障はありません。本人も「最近ちょっと忘れっぽい」と自覚していることが多いのが特徴です。

その反面、認知症の兆候は単なる物忘れにとどまらず、日常生活に支障が出るようになります。例えば:

  • 同じ質問を何度も繰り返す
  • 慣れていた家事や仕事ができなくなる
  • 物をなくした時、とき「盗まれた」と思い込む
  • 金銭管理が難しくなる

本人は自覚が乏しいこともあり、家族のほうが変化に気づく場合も少なくありません。

家族やパートナーが認知症ではないかと気になったら、まず何をすればいいですか?

家族やパートナーの様子に「いつもと違う」と感じたとき、まずはその行動をさりげなく見守り、パターンがあるか見ることが大事です。一時的な疲労やストレス、睡眠不足でも物忘れは起こりえるので、いつから、どのくらいの頻度やどんな場面で物忘れが起きているかを書き留めておくと受診時に役立ちます。一人で抱えこまず、ぜひご相談することをお勧めします。最初の窓口として適しているのは、プライマリケアドクターです。

本人が受診を嫌がる場合、どのように促せばよいですか?

なぜ受診を嫌がっているのか理解できれば、それに応じて周りのサポートもしやすいかと思います。知っているプライマリケアドクターや医療機関へ「物忘れ」のための受診と限定せずに、「健康チェックの一貫として相談しよう」などと、他に関心を持っている健康問題と並行して相談する項目として提案すると受け入れやすいかもしれません。実際に Medicare の Annual Wellness visit の健康診断(65歳以上で Medicare に加入している患者に進められる年に一度の健康チェック)の質問項目に記憶に関する質問を必ず聞くことになっています。

英語が流暢でない高齢者は、認知症と誤解されることがありますか?

英語の言葉がなかなか出てこなかったり、受け答えがスムーズでなかったり、認知機能を確認するための検査が英語で行われたりすると言葉の壁が認知機能の低下として誤解されることはあり得ます。文化的な違い、コミュニケーションの違いによる誤解も考えられます。

なるべくこのようなことがないように受診時に必ず医療通訳をリクエストしたり(医療機関は無料のサービスとして電話やオンライン通訳を提供する義務があります)、評価テストを日本語で行ったり、本人のことをよく知っていてパターンや行動について理解をしている方が付き添いをすることで誤解を最小限に抑える対策ができます。

認知症になると、習得した外国語を忘れて母国語しか話せなくなるというのは本当ですか?そこから認知症かどうかの判断もされますか?

後から取得した言語の方が先に出にくくなることは認知症でも、通常の加齢による脳の変化によっても起こりえることです。なので、外国語を忘れることが認知症かどうかの判断には使われません。

執筆者

西連寺智子先生(さいれんじ・ともこ)
University of Washington Department of Family Medicine, Associate Professor
Family doctor at UW Primary Care at Northgate Clinic and Northwest Hospital
米国マサチューセッツ州で幼少時代を過ごし、12歳で日本に帰国。国際基督大学卒業後、岡山大学に学士編入。卒業後、福岡県にある飯塚病院での2年間にわたる初期研修を経て、ピッツバーグ大学メディカルセンターで家庭医のレジデンシーとチーフレジデントを行う。同大学で医学教育修士課程とファカルティデベロップメントフェローシップを終え、現在はワシントン大学医学部(University of Washingon School of Medicine)で家庭医療の准教授として医学生の指導を行いながら、UW Medicine のノースゲート・クリニックと Northwest Hospital で家庭医として勤務している。

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や医療アドバイスではありません。読者個人の具体的な状況に関するご質問は、直接ご相談ください。

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