先月8日、米国労働省は、マイクロソフトやアドビを含む大手企業8社によるPERM申請を停止することを発表しました。停止は新規申請のみでなく、現在審査中の申請も含まれます。
バンス副大統領は、マイクロソフトが2025年に6000人を解雇したことを指摘し、今後アメリカ人労働者を最優先する姿勢を示すまでは、同社によるグリーンカード申請を認めないと発表しました。バンス副大統領は、行動を改め、姿勢を改善し、よい方向へ変わるよう呼びかけたものの、マイクロソフトをはじめとするこれらの企業がPERMを再び利用できるようになるための具体的な条件や状況については明らかにしませんでした。また、今後PERM申請が停止される企業が増える可能性もあります。
この発表によって、今、第1ステップのPERMが大きな注目を浴びているので、今回のコラムでは、この部分に焦点を当ててお話したいと思ます。
雇用関係によるグリーンカード申請の基本的なステップ
個々のケースの状況によって多少異なりますが、雇用関係によるグリーンカードを申請する場合、基本的に(1) 労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請、(2)雇用ベース移民ビザ申請、(3)グリーンカード申請の3段階で行われます。
ステップ 1:PERMによる労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請
雇用に基づくグリーンカード申請は、雇用をスポンサーする在米企業(以下、スポンサー企業)が、米国労働省より労働認定証(レイバー・サティフィケーション)を取得することから始まります。 このステップは、ごく少数の例外を除いて、EB-2とEB-3の優先分野に適合する外国人労働者の場合に必要です。
ステップ 2: 雇用ベース移民ビザ申請
このステップでは、(1)第1ステップで、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請が認可されたこと、(2)スポンサー企業が労働省に提出した最低給与額を支払う能力があること、 そして(3) 外国人労働者に適合する優先分野を立証すること、さらに外国人労働者がその分野の申請条件を満たしていることを証明します。
ステップ 3: グリーンカード申請
雇用ベース移民ビザ申請が認可され、プライオリティ・デート(グリーンカード申請における優先順位)が現行になったら、グリーンカードを申請することができます。この申請の目的は、外国人の健康状態・犯罪歴・経済力を含む、 総合的なバックグラウンドの審査を行うことです。
- アメリカ国内で行う申請:I-485アジャストメント申請と呼ばれ、アメリカ国内で非移民ビザからグリーンカードへ移民上の身分を変更する手続きを行います。
- アメリカ国外で行う申請:米国大使館手続き(Consular Process)と呼ばれ、アメリカ国外でグリーンカードを取得する手続きを行います。
どちらの手続きも、目的はグリーンカードを取得することです。
PERM の目的
PERMの目的は大きく分けて3つあります。
- アメリカ人労働者の保護:スポンサー企業は、求人広告や採用活動を通して、その職務に適した採用可能なアメリカ人労働者がいるかどうかを確認しなければなりません。
- 労働条件の保護:スポンサー企業は、その職務に対しPrevailing Wageと呼ばれる適正賃金以上の賃金を提示し、雇用基準や要件を厳守しなければなりません。
- 外国人労働者を採用する正当性の確認:実際にポジションが存在すること、また、スポンサー企業が適切な採用手続きを実施したことを証明しなければなりません。
上述の通り、PERM申請では、スポンサー企業は求人広告や採用活動を通して、その職務に就くことができ、就く意思があり、最低限必要な資格を持っているアメリカ人労働者が存在しないことを証明しなければなりません。
外国人労働者がアメリカ人労働者の機会を奪う?
H-1BやPERMを通じた雇用ベースグリーンカード申請がアメリカ人労働者の雇用機会を奪っているのではないかという議論は、いつの時代にもあります。
外国人労働者がアメリカ人の仕事を奪っていると単純に結論づけることはできませんが、PERM申請の見直しが必要な時期ではないかという点は否定できません。
例えば、就職活動をしている人、特にIT関連の場合、新聞の日曜版よりもLinkedInやHandshake、Indeedなどを利用するケースが多いと思いますが、PERM申請では、いまだに新聞の日曜版に広告を出すことが義務づけられています。
なお、今回の発表は、H-1B申請を禁止したり、ビザをキャンセルしたり、すでにPERM認定を得ている申請や、名指しされている企業以外によるPERM申請に影響を与えるものではありません。
琴河・五十畑法律事務所 弁護士・琴河利恵さん
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