アメリカでは2010年頃に本格的なラーメン店が増え始め、シアトルにもその波が押し寄せました。2010年代にシアトルの中心部やイーストサイドでラーメンブームが起こり、今ではシアトルの食文化としてすっかり定着しています。
アメリカのラーメン店は、「早く食べて、早く出る」という形式ではなく、ゆっくり食事を楽しむレストラン形式が主流。メニューは日本とほぼ変わりないものの、ベジタリアンやヴィーガンのラーメンがある店も増えており、辛さのレベルや麺の太さが選べたり、餃子や唐揚げなどの小皿料理や丼物、子ども用メニュー、デザートも提供していたりする店が多く、デートや親子連れにも人気があります。
ここでは、シアトル市内近郊で人気のラーメン店をいくつかご紹介します。
ARASHI RAMEN
嵐ラーメン
2014年8月に、タクウィラ市に1号店をオープンしたラーメン店。塩とんこつ、しょうゆ、スパイシー味噌、ブラック・ガーリックなどスープの種類が豊富です。小皿料理は、鶏の唐揚げ、たこ焼き、そぼろ丼、チャーシュー丼、カレーライス、サラダ、餃子などもあります。
BETSUTENJIN RAMEN
別天神ラーメン
香港にて展開している博多風・豚骨ラーメンの店が、2017年夏にワシントン州に進出しました。MSG を使用しておらず、比較的あっさりした豚骨ラーメンが味わえます。餃子、日本のビール、チューハイなどもあり。
HOKKAIDO RAMEN SANTOUKA
北海道らーめん山頭火
北海道旭川市に本店を置く 『らーめん山頭火』 の米国初の路面店がベルビューにオープンしたのは2014年。2017年にはシアトルのユニバーシティ・ビレッジに二つ目の店を開店しました。写真は「山頭火の象徴」とも言える「しおらーめん」。豚骨(玉骨)・野菜・干魚をそれぞれに合った温度で煮出して混ぜ合せた白湯スープ、それにしっかり絡む縮れ麺など、さまざまなこだわりが。ベジタリアンラーメン、つけ麺、ラーメンと一緒に味わえる丼、餃子、唐揚げ、たこ焼き、デザートなどもあります。季節に合わせた限定メニューも要チェックです。
KIZUKI
輝月
2012年12月に米国1号店をベルビューにオープンしたラーメン専門店。ローストした豚の大腿骨と鶏がらで取ったスープ、フランス・ブルターニュ地方ゲランド産の自然塩、山口県の蔵元から取り寄せた醤油で作る特製のたれに漬けた半熟とろとろの味卵、独自の製法による3種類の麺、手あぶり仕上げの焼豚といった、日本の 『麺屋 空海』 のこだわりをそのままノースウエストに持ち込んでいます。(2016年1月に空海から店名変更)
MENYA MUSASHI NITEN ICHIRYU
麺屋武蔵二天一流
1996年に東京・青山で創業し、日本・海岸に多店舗展開している麺屋武蔵が、2018年にシアトルにオープン。店名は二刀流の剣術家・宮本武蔵にちなんでいます。豚骨ベースの汁麺とつけ麺が基本。写真は基本の豚骨ラーメンに味玉を追加した一品。クリーミーな汁が麺にほどよく絡み、両面を香ばしく焼いた豚肉、キクラゲ、もやし、ネギがバランス良く、最後まで美味しくいただくことができます。各種弁当、カレー弁当、各種丼、カレー丼、キッズメニュー、餃子やたこ焼きなどの小皿料理もあります。野菜ベースのヴィーガンラーメンもあるので、幅広いチョイスが楽しめます。
MIDNITE RAMEN
夜中ラーメン
エルマー・コマガタさんとリサ・ゼンノさんが2019年に始めたフードトラック『Midnite Ramen』。シアトルにありそうでなかったラーメンのフードトラックで、シアトル市内にあるクラフトビールのブルワリーの駐車場で開店していましたが、2024年4月にウォーリングフォードに完成した実店舗に移転しました。メニューには定番の醤油ラーメンと札幌ラーメンから、ガーリックをきかせた『熊本味噌ボールド』、クリーミーな胡麻スープの『広島坦々麺』、豚の背脂と煮干しがベースの『尾道ラーメン』、厚さ1インチ豚バラチャーシューが乗った『にぼ次朗ラーメン』、神戸ビーフの肩ばら肉を煮込んだ『神戸ビーフ・ブリスケット醤油』など、オリジナルのチョイスが並んでいます。今一番人気があるのは、『熊本味噌ボールド』とのことでした。中にはプラントベースミートを使ったものやビーガン坦々麺もあり、幅広い層に喜ばれそう。カレー丼や刺身丼などもサイドに選べます。
OOINK
オーインク
ロサンゼルスに始まり、パリ、ラスベガス、ニューヨーク、ハワイなどの飲食業界で経験を積んだマレーシア出身の Chong Boon Ooi さんと妻 Jiaxin Wang さんが1996年に創業したラーメン専門店。自家製の豚骨スープに、中国のスパイスを加えたオリジナルのスープと、自家製の麺が自慢の店。アペタイザーのクリスピーチキンサンドイッチも人気。自家製の麺には、地元ではよく知られているリンウッド市に湧き出ている天然水を使っているそう。Broadway に面したハーバード・マーケットの2階の一角にあります。店名の 『Ooink』 は、Chong さんのラストネーム Ooi と、豚の鳴き声の英語のスペル Oink を組み合わせたもの。
RAMEN DANBO
ラーメン暖暮
福岡のとんこつベース。豚と水を極強火で煮込んだ純豚骨スープがベースで、各店舗で自家炊きし、作り置きせず、新鮮なままその日に使い切ります。醤油、塩、味噌のラーメンがあり、麺の太さ(細麺または太麺)、麺の固さ、味の濃さ、油の量、辛さ、辛味だれの有無からその量まで、好みを指定できるようになっています。詳しくはこちら。
JINYA RAMEN BAR 陣屋
カジュアルなクロスローズ・モールに位置する陣屋は、友達グループ、カップル、親子連れ、おひとり様など、幅広いお客さんで賑わう人気のラーメン店。ラーメンの種類も豊富で、豚骨、鶏、海老ワンタン、辛味噌、ヴィーガンなど、さまざまな味が楽しめます。さらに、刺身、タコス、天ぷら、餃子、肉まん、唐揚げ、丼、サラダ、デザートなど、多彩なメニューもあり。子ども用メニューにヴィーガンのチョイスがあるのは珍しいかも。創業者のトモ・タカハシ(高橋知憲)氏は、2000年に東京で最初の陣屋をオープンし、その後店舗数を拡大。2010年にはカリフォルニア州に1号店を開店しました。2024年現在、陣屋は米国とカナダに60以上の店舗をフランチャイズ展開しています。
YOROSHIKU ヨロシク
北海道札幌市出身でシアトル留学経験者の小林圭輔さんが、「新しい日本食の店を出したい」という夢を、同郷で長年の友人の本間弘一さんと共に実現。2022年8月からラーメン専門店となり、定番の味噌や醤油、塩ラーメンに加え、オリジナルのラーメンもラインアップしています。北海道料理のザンギなどの小皿料理もおすすめ。小林さんのインタビューも、ぜひご一読ください。