プレミアム・プロセスとは、優先審査のことです。移民局は、Form 129 Petition for Nonimmigrant Worker(非移民ビザ労働者申請)、および Form140 Immigrant Petition for Alien Worker(雇用ベース移民ビザ申請)を対象に、優先的に審査するサービスを提供しています。プレミアム・プロセスが可能な申請については、移民局の公式サイトで確認できます。
プレミアム・プロセスを使うことによって、移民局は、受理から15暦日以内に、大半の申請に対して認可通知、追加書類要求通知、却下通知を、また、不正行為の疑いがある申請に対して調査通知を発行すると保証しています。
ただし、以下で説明するように、今回新たに拡大された雇用ベース移民ビザ申請の Multinational Executive and Manager(多国籍企業のエグゼクティブ、およびマネジャー)と National Interest Waiver(国益免除)の分野については、45暦日以内となっています。
また、審査の過程で、移民局が、request for evidence (追加書類要求通知)や notice of intent to deny(申請を拒否する意向であることの通知)を発行し、それに対して回答が必要な場合、保証されている審査期間は一度停止され、移民局に回答を提出した時点から新しい審査期間が開始します。万一、保証期間内に申請が処理されなかった場合は、プレミアム・プロセス料金を返金した上で、引き続き、優先審査で対応することを保証しています。
なお、プレミアム・プロセスには、主な申請書の他に、I-907 Request for Premium Processing Service という申請書が必要となりますが、上記の申請処理時間の対象となるのは、適切に受領された申請であることが前提です。例えば、間違ったサービス・センターに申請を送付したり、署名をし忘れたり、記入漏れがあったり、申請料金が間違っている場合は、プレミアム・プロセスの対象にはなりません。
プレミアム・プロセスのサービス拡大
移民局は、6月1日よりプレミアム・プロセスのサービスを拡大することを発表しました。対象となるのは、すで受理されている一部のEB-1多国籍企業のエグゼクティブ、およびマネジャーと、EB-2 国益免除の申請で、以下の通り段階的に行われる予定です。
- 2021年1月1日またはそれ以前に受領されたEB-1多国籍企業のエグゼクティブ、およびマネジャーの申請は、2022年6月1日よりプレミアム・プロセスにアップグレードすることができます。
- 2021年6月1日またはそれ以前に受領されたEB-2国益免除の申請、および2021年3月1日またはそれ以前に受領されたEB-1多国籍エグゼクティブ・およびマネジャーの申請は、2022年7月1日よりプレミアム・プロセスにアップグレードすることができます。
プレミアム・プロセスの開始日より前に提出されたアップグレードのリクエストは拒否されます。また、現時点では、新しい I-140 Immigrant Petition for Alien Worker と I-907 Request for Premium Processing Service は同時には受領されません。
なお、今回プレミアム・プロセスにアップグレードできるようになった EB-1多国籍企業のエグゼクティブ、およびマネジャーと、EB-2 国益免除申請の分野では、移民局が保証している処理時間は45暦日以内となっています。
今回の発表に伴い、移民局は、プレミアム・プロセスの申請書をアップデートしました。新しい申請には05/31/22と記載があります。移民局は、6月中は、引き続きアップデート前の 09/30/20バージョンも受け付けますが、7月1日からは05/31/22バージョンのみ受け付けます。
プレミアム・プロセスの料金
プレミアム・プロセスの料金は、申請の種類によって異なります。
- $2500 – E-1、E-2、E-3、H-1B、H-3、L、O、P、Q、またはTN(I-129)
- $1500 – H-2BまたはR(I-129)
- $2500 – EB-1、EB-2、またはEB-3(I-140)
上記はプレミアム・プロセスの申請料金で、申請別に必要となる申請料金に加算されます。また、プレミアム・プロセスの申請料金は、通常の申請料金とは別に個別の支払いが必要になります。その他の申請料金とまとめて支払った場合、申請は受け付けられません。
移民局は、プレミアム・プロセスのサービスを拡大することにより、通常の申請の審査期間が長くなってはならないという議会の要件を厳守しつつ、今後その他の分野の申請でもプレミアム・プロセスが利用できるように検討しています。
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。