毎年6月19日は、Juneteenth(ジューンティーンス)。この日は、アフリカからアメリカへ連れてこられ、奴隷として自由を奪われた人々が解放された歴史的な日です。
連邦の祝日として制定
2021年6月17日、バイデン大統領がJuneteenthを連邦の祝日とする法案に署名し、アメリカ合衆国に新たな祝日が誕生しました。
一方、ワシントン州ではすでに2007年に州の祝日とされており、2021年の州議会では、2022年から州職員にとっての有給休日とする法案が可決され、ジェイ・インスリー知事の署名により正式に施行されています。
Juneteenthの由来と歴史的背景
アフリカの人々が初めて北米大陸に奴隷として連れてこられたのは1600年代。彼らは船の中で命を落とすことも多く、生き延びてもアメリカで「物」として売買され、長年にわたって自由を奪われ続けました。
アメリカでは奴隷制度を巡り、1861年に南北戦争(American Civil War)が勃発。北部は奴隷制度の廃止を求め、南部は存続を主張して対立しました。
- 1862年9月:リンカーン大統領が奴隷解放の意志を表明
- 1863年1月1日:リンカーンが「奴隷解放宣言(Emancipation Proclamation)」に署名
- 1865年4月:北軍が勝利し、南北戦争が終結
しかし、テキサス州では情報が届いておらず、奴隷制は続いていました。
そして、1865年6月19日、北軍のゴードン・グレンジャー将軍がテキサス州ガルベストンに入り、奴隷制度の終結を現地の人々に通達しました。
“The people of Texas are informed that in accordance with a Proclamation from the Executive of the United States, all slaves are free.”
(テキサス州の人々に、アメリカ合衆国の宣言に従い、すべての奴隷が自由であることを通達する)
この通達が行われた6月19日を、人々は「奴隷解放記念日(Emancipation Day)」として祝うようになり、「Juneteenth」という名称で定着しました。
Juneteenth の別名と各地のイベント
Juneteenthは、以下のような名前でも知られています:
- Freedom Day(自由の日)
- Emancipation Day(奴隷解放の日)
- Juneteenth Independence Day(ジューンティーンス独立記念日)
現在では全米各地で、音楽・ダンス・講演会・マーケットなど、地域に根ざしたイベントが開催され、アフリカから連れて来られた人の子孫であるアメリカ人の歴史と文化を称える日となっています。
現代に続く人種差別の問題
奴隷制度が廃止されても、黒人に対する差別はさまざまな形で続いています。1950〜1960年代にはキング牧師をはじめとする公民権運動が拡大し、1964年に公民権法(Civil Rights Act)が成立。ようやく法的に人種差別が禁止されましたが、制度的・構造的な差別が根強く残っていることはさまざまなところで指摘されています。