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アメリカの有給傷病休暇のトレンド(Paid Sick Leave)

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弊社のある米国中西部では、猛暑や豪雨などの異常気象の影響からか、体調を崩す人が増えていると聞きます。企業によっては Paid Vacation(日本の有休に該当)に加え、別途 Paid Sick Leave(傷病休暇)の制度を設け、従業員の健康維持に配慮しています。

Paid Sick Leave は、ニューヨーク州、カリフォルニア州、イリノイ州を始め、現在20州と1特別区が独自の法律を施行していますが、ここ数年で関連する州法が増えつつあることから、今回はこの話題を取り上げてみます。

もくじ

Paid Sick Leave とは

Paid Sick Leave とは、読んで字の如く、病気(やケガなど)で仕事を休む従業員が、有給で使用できる休暇です。

現在 FLSA(Fair Labor Standard Act: 米国公正労働基準法)には、雇用主に Sick Leave を含むいかなる有給休暇の付与を義務付ける条項もありません。

しかし、今回ご紹介する一部の州では、雇用主(一部条件付き)に対し、従業員が病気やケガで会社を休む際に使用できる、Paid Sick Leave(有給傷病休暇)の付与を義務付けています。

使用条件は本人の傷病以外に、家族の看護にも使用可能としている場合が多いため、該当する州や市町村に拠点のある企業は注意する必要があります。州によっては有給傷病休暇の使用にあたり、証明書の提出が不要の場合もあります。

Paid Sick Leave に関する動向

2000年以降、アメリカで人事に携わった方はご存知の通り、以前のトレンドは Paid Sick Leave と Paid Vacation を一体化し、Paid Time Off(PTO)として、用途を問わずに使える制度でした。この流れの原因として、一部従業員の「失効前の Sick Leave 使用増加」が挙げられます。つまり、持ち越しが可能な Vacation に対して、Sick Leave は持ち越し不可とする企業が多かったため、「本来の目的と異なる形での使用」を防止する意味もありました。

今回新たに Paid Sick Leave を導入する企業は、人事担当者から使用条件や申請方法などを説明し、これら有給休暇が従業員の健康維持や適切な職場環境の提供、生産性向上などを目的としたものであることを説明すべきです。

ワシントン州の場合:
全企業が対象
付与日数:40時間勤務毎に1時間(上限なし)
郡および市町村 SeaTac、Seattel、Tacoma は別
ワシントン州労働産業局の公式サイト:www.lni.wa.gov/workers-rights/leave/paid-sick-leave/

Paid Sick Leave を導入する際

企業の所在する州が Paid Sick Leave に関する法律を施行しており、その企業が対象に含まれる場合、Employee Handbook には、州法に合致した、あるいはそれを超える Paid Sick Leave の記載が必要です。もし不安な場合は、人事・労務管理を専門とするコンサルタントや弁護士に相談することをお勧めします。

総合人事商社クレオコンサルティング
経営・人事コンサルタント 永岡卓さん

2004年、オハイオ州シンシナティで創業。北米での人事に関わる情報をお伝えします。企業の人事コンサルティング、人材派遣、人材教育、通訳・翻訳、北米進出企業のサポートに関しては、直接ご相談ください。
【公式サイト】 creo-usa.com
【メール】 info@creo-usa.com

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