海と街がほどよく溶け合うウエスト・シアトル。地元の人には再発見を、観光で訪れる人には特別な体験を。アルカイビーチやカフェ、マーケットなど、このエリアの見どころをご紹介します。
街のはじまりと今:ウエストシアトルの歴史

ウエストシアトルは、ドゥワミッシュ族の土地として何千年ものあいだ人々が暮らしてきた場所です。海、川、森に囲まれたこの地は、カヌーを使ったサーモン漁、季節ごとの移動生活を支えてきました。今もログハウス・ミュージアム(Log House Museum)で、ドゥワミッシュ族の暮らしや、このエリアの歴史を写真や展示を通して知ることができます。
1851年11月13日、インディアナ州からオレゴン州を経て北上してきたヨーロッパ系の開拓者が到着したのが、今のウエスト・シアトルの海岸でした。アーサー・デニー氏率いる一行計22人は、この地域の最初の白人の入植者となりましたが、冬の悪天候に耐えかねて翌年には天気が比較的穏やかな現在のパイオニア・スクエアに引越しました。
現在、アルカイ・ビーチ(Alki Beach)と呼ばれるビーチには小さなプラザが作られ、その歴史を伝えるモニュメントが立ち、小さな自由の女神像も訪問者を迎えてくれます。この像は1950年代に地元のボーイスカウトによって設置されたもので、「アメリカの理想」を象徴するランドマークの一つです。
1902年には一時的に独立した市として認定されましたが、その後すぐにシアトル市に統合。でも、現在でも「ウエスト・シアトルはウエスト・シアトル」という自立した気風が根付いており、地元の人々は強いコミュニティ意識があります。
デニー氏らが去った後、海岸に一人残ったチャールズ・テリー氏は、この地を “New York Alki”(Alki とはこの一帯に住んでいたネイティブ・アメリカンの言葉で “by and by” という意味)と名づけ、それが現在のビーチの名前となったと言われています。
地元の人にも観光客にも人気!おすすめスポット一覧

©︎Alabastro Photography
● アルカイビーチ(Alki Beach)
夏はにぎやか、冬は静かに夕日を楽しむ、ビーチタウンのような雰囲気があります。緯度の高い北西部の海水は夏でも冷たいので、ビーチでは主に日光浴とビーチバレー、ビーチヨガが人気。海岸沿いの散歩道ではウォーキング、ジョギングやサイクリング、ローラーブレードが楽しめます。いろいろなカフェやレストランもあるので、食事と散歩を楽しむのもおすすめ。スペースニードルとオリンピック山脈を背景にしたマジックアワーは息をのむ美しさ。春から秋はサンセットピクニックやSUP(スタンドアップパドル)体験も人気。
● Log House Museum(ログハウス・ミュージアム)
1903~1904年に建てられた歴史的建造物で、かつては「Alki Homestead」の付属施設として使われていました。現在はサウスウエスト・シアトル歴史協会の拠点であり、ウエストシアトルの近代史、写真、人物、建築などを紹介しています。
住所:3003 61st Ave SW, Seattle, WA 98116(アルカイビーチから1ブロック)
開館時間:金・土 12pm-4pm
入場料:無料(寄付歓迎)
アクセス:ストリートパーキングのみ。King County Metro #50, #773, #775でアクセス可能
公式サイト:loghousemuseum.org
● シークレスト・パーク(Seacrest Park)
シアトルのウォーターフロントとウエスト・シアトルを結ぶ船ウォータータクシーが発着する公園。ここにはハワイ×アジアのフュージョン料理を海辺のパティオで楽しめる人気レストラン『Marination Ma Kai』があります。また、この公園の桟橋は冬はイカ釣りに人気のスポットとして知られています。

● カリフォルニア・ジャンクション(California Junction)
丘の上にある、地元っ子に愛されるショッピング通り。ウエスト・シアトルの中心地です。1988年創業の個人経営店『Easy Street Records & Cafe』や、老舗の雑貨店など、ローカル色豊かなショップが並んでいます。
● ウエストシアトル・ファーマーズマーケット(毎週日曜)
地元農家やパン屋、クラフト作家が出店。旬の野菜やシアトル近郊のチーズ、フードトラックの朝食など、地元食文化に触れられる絶好の機会です。


● 人気ベーカリー:Bakery Nouveau
クロワッサンやペイストリーが絶品で、朝から行列ができることも。特に週末のブリオッシュや季節限定のタルトはファン多数。
● 人気カフェ:Ampersand Cafe & Bookstore
本とカフェが融合した静かな空間。観光客にも、読書好きな地元の人にも人気の癒しスポット。地元ロースターのコーヒーが香ります。
● 人気カフェ:Uptown Espresso
創業1984年。”Home of the Velvet Foam” という謳い文句で知られるロースターカフェ。ベルベットのように柔らかく、なめらかな舌触りのフォーム(ミルクをスチームした時にできる泡)を乗せたラテが人気。コーヒー豆は自家焙煎して袋売りしており、パイやケーキなども販売しています。

● 巨大トロール:『Bruun Idun』
紅葉スポットとして人気のリンカーン・パークに、デンマークのアーティストが制作して設置したトロールが展示されています。「トロールを見るためにアウトドアに出かけることで、環境について考えることに繋げよう」と、世界規模で行われているパブリック・アートのプロジェクトの一環で、シアトル市内には5ヶ所に設置されています。次のお天気の日にぜひ出かけてみてはいかがでしょうか。見物はもちろん無料です!


季節ごとの楽しみ方とイベント
- 春~夏:アルカイ・ビーチでの散歩、サンセットピクニック、サマーイベント
- 7月:Summer Fest(カリフォルニアアベニュー封鎖の大型ストリートフェスティバル)
- 秋:リンカーン・パークでトロール見学、紅葉ハイクやバードウォッチング
- 冬:キングタイド観察(Constellation Park)、オルカウォッチング(運が良ければ見られるかも)
アクセス方法
- バス:RapidRide C Lineがダウンタウンから直通。丘の上のカリフォルニア・アベニューやファーマーズマーケット前で下車可。
- 車:West Seattle Bridge(2022年再開通)経由。週末やイベント時は駐車に注意。
- ウォータータクシー:ウォーターフロントのピア50とウエスト・シアトルのシークレスト・パーク間を運航しています。詳細はこちら。
ウォータータクシーは、シアトルのダウンタウン側のウォーターフロントのピア50とシークレスト・パークを約12分で結びます。シークレスト・パークはレストランや釣り場があり、ダウンタウンのビル郡を眺められるので人気。そこからアルカイ・ビーチまで徒歩で30分ぐらいです。天気のいい日におすすめ。
観光で訪れる人には新鮮な驚きを、地元の人にはちょっとした再発見を与えてくれるウエストシアトル。次のお休みは、ウエストシアトルで“自分だけのお気に入り”を見つけてみませんか?