6月27日、佐々江賢一郎駐米特命全権大使を招いた講演会が、シアトルのユニバーシティ・ディストリクトにある The National Bureau of Asian Research(NBR)で行われた。
トピックは、東アジアにおける平和保持と日米同盟について。佐々江大使は、安倍政権が安全保障や防衛に関して積極的に取り組んでいること、日中が安全保証の面で緊迫した問題を抱えながらも貿易面では不可欠な関係であること、北朝鮮にまつわる有事を念頭においた安全保証の難しさなどについて語った。また、経済面に関しては、TPPの実現に期待しており、オバマ政権、そしてアメリカの次期リーダーにも、環太平洋の経済&貿易を通してアジアで指導力を発揮する役割を期待していると述べた。最後に、オバマ大統領の広島訪問が日本にとってどれだけ感慨深いものだったかを伝えた。
続いて行われた質疑応答では、東アジアにおけるロシアの位置付けや、現在のサイバー・セキュリティに関する見識、東アジアにおけるアメリカの役割などについて質問があった。
佐々江大使は、2012年11月にアメリカ合衆国特命全権大使に就任。それ以前に外務次官、外務省経済局長、アジア太平州局長、外務審議官などを歴任している。
また、今回の講演会を主催した NBR は、シアトルとワシントン DC に拠点を置き、ロシアを含むアジア地域を対象に、戦略・政治・経済・国際・健康・エネルギーなど、アメリカ合衆国に影響するアジア関連事項の研究を行っている。
掲載:2016年6月 取材・文・写真:渡辺菜穂子