アワビ(鮑)は耳貝科に属する巻貝で、日本では北海道、本州日本海側、太平洋岸(青森以南)などが主な産地です。美しい海に生息し、刺身、酒蒸し、すし種、中華料理など幅広く利用されています
アワビは水深60メートルより浅い澄んだ海、潮通しの良い岩礁域に多く見られます。内湾や内海にはほとんど生息しません。その分布はワカメと似ており、アワビはワカメ、アラメ、カジメなどの褐藻類を食べて育ちます。
殻の表面には「呼水孔(こすいこう)」と呼ばれる穴が4~5個並び、殻の内側は真珠のような光沢を持っています。この特徴がアワビを見分けるポイントの一つになります。
アワビは市場に年中出回っていますが、旬は盛夏(7月~8月)とされます。ただし、地域ごとに解禁時期(漁期)が異なり、またアワビの種類によって旬も異なるため、必ずしも夏だけが旬とは限りません。
目次
アワビの種類と見分け方
日本でよく知られるアワビは以下の5種類です。それぞれの見た目や食感の違いを理解しておくと、購入や調理の際に役立ちます。
マダカアワビ(真高鮑)
- 殻高が高く、呼水孔壁が大きく盛り上がっている。
- 肉のへりに黒い斑点がはっきり見える。
- 収縮が少なく、歩留まりがよい(可食部が多い)。
- アワビの中でも高級品とされる。
メガイアワビ(眼高鮑)
- 殻は平たく、呼水孔の盛り上がりも低め。
- 黒斑は薄く、目立たない。
- 身が締まりやすいが、早く軟らかくなりやすい傾向がある。
クロアワビ(黒鮑)
- 別名「アオ貝」。
- 殻が厚く、肉質も厚めでしっかりとした硬さがある。
エゾアワビ(蝦夷鮑)
- 殻が薄く、内臓(ワタ)が大きくて厚みがある。
- 北海道など冷たい海域に多い。
トコブシ(常節)
- 小ぶりで楕円形、殻が低く平たい。
- 呼水孔の数が多い。
- アワビに比べて小型だが、味は引けを取らない。
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