みなさん、こんにちは!真美です。
先日、アマゾン社員の友人に招待され、アマゾンのオフィススペースとしても実際に使われている温室 『The Spheres』 に遊びに行って来ました。
外観から一際目を引く、ガラス張りの現代的な球体建築にいつも興味津々だったのですが、実際に中に入ったのはこの時が初めてでした。中は4階建てになっていて、世界中から集められた400種以上もの多種多様な植物が至る所に展示されていて、魚や微生物を観察できる水槽も設置されてありました。日の光がそこら中から差し込む開放感な造りになっており、高層ビルに囲まれたシアトルらしい外の景色と、中の緑いっぱいの自然に囲まれたスペースとのギャップを感じ、とても新鮮で面白かったです。ミーティングルームやカフェなど普段仕事場として使われているスペースもあり、豊かな自然多様性を楽しみながら仕事ができる環境をとても羨ましく思いました。
入場は無料で、毎月2回土曜日限定で一般公開されており、1ヶ月前から予約可能です。ただし、とても人気で予約はすぐに埋まってしまうそうなので、早めのご確認をおすすめします。また、18歳以上の方は入場の際に政府機関が発行した写真付きの身分証明書(パスポートや州発行の運転免許証など)の提示が求められるので、そちらもお忘れなく!
それでは、『シアトル留学生カフェ探訪』第67回のスタートです。
今回は、行列ができるほど大人気で、地元の方にも観光客にも愛されているフレンチ・ベーカリー『Bakery Nouveau』のキャピトル・ヒル店を取材してきました。
旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」でシアトルのベストベーカリーに選ばれており、SNSでもよく見かけていたので、以前から気になっていたのです。
2006年12月に、オーナーであるウィリアム・リーマンさん夫妻が1号店をウエスト・シアトルにオープンし、2013年にこのキャピトル・ヒル店を、また昨年秋にシアトルの南にあるビュリエン市にフラッグシップストアとして3号店を開店しました。
ピーク時である土曜日のお昼12時過ぎとあって大盛況。お客さんが引っ切り無しに入店しています。
でも、一度列に並ぶと、回転は思ったより早く、注文を済ませればすぐに商品をゲットできます。
私が注文したのは、『Lighthouse Roasters』のコーヒー豆を用いているというラテと、当店1番人気だという Twice-baked Almond Croissant です。友人は Lemon Meringue Tart を注文していました。
深煎りコーヒー豆には『Lighthouse Roasters』のものを、中煎りコーヒー豆には『Slate Coffee Roaster』のものを用いており、ローカルビジネスと積極的に連携しているそう。
このアーモンド・クロワッサンはオーナーのウィリアムさんがフランスで修行を積んでいた際、師匠が使っていたレシピに少しアレンジを加えて完成されたものだそう。
二度焼きしたサクサクの生地と、中に詰まったアーモンドクリーム、たっぷりかかった粉砂糖が最高にマッチしていて絶品でした。
レモンタルトも一口頂きましたが、レモンの程よい酸味と、口当たりのいいメレンゲのさっぱりした甘さが相性抜群。
店内自体はそれほど大きくなく、相席をするお客さんもちらほら。
「初めて会うお客さん同士が同じテーブルに座って、会話を楽しんで、同じ時間を共有できるでしょ。Wi-Fi を設置していないのも、こういう自然なコニュニケーションを大切にしたいからなんだ」と、ベーカーのエリーさん。
このサイズ感はオーナーであるウィリアムさんもこだわっているポイントだそうで、店内とテラスの席数の適度なバランスや、馴染みの持てる「近所のパン屋さん」としてのイメージを大切にし、人と人とが集うコミュニティ・スペースにしたいという願いが込められています。
「顧客の数を増やすことよりも、人と人とが繋がって、関係を築いて、コミュニティとしての一体感を感じて欲しい。地域コミュニティとのつながりを取り入れることは、当初からの大きなコンセプトなんだ。」
アットホームな居心地の良い空間と、「昔ながらのご近所さんカフェ」の雰囲気について誇らしげに語ってくれたエリーさん。
常連さんが多く、絶えず人と人が交流するこのカフェの背景には、お客さんとの関係性を積極的に楽しむ従業員の姿勢があるのだと感じます。
オーナーであるウィリアムさんは、ペイストリー・パン・チョコレート職人として20年以上のキャリアを持つこの道のベテラン。第1号店をオープンする以前、5年間シアトルの老舗ベーカリー『エッセンシャル・ベーカリー』のヘッド・ベーカーとして活躍していました。
長年フランスで経験を積み、2005年にパリで開かれた世界中のパン職人が力を競い合う『World Cup of Baking』で、キャプテンとして『Bread Bakers Guild of America』というアメリカ代表チームを優勝に導いた実力の持ち主です。他にも多くの賞を受賞し、現地メディアやグルメ情報誌で度々特集されています。
ウィリアムさんは、1999年にフランスで修行を積んでいた当時、40~50平方フィートしかない小さなベーカリーで毎日5000個のバゲットを焼いていたそう。小さなオーブンで1日に何度もパンを焼いては取り出し、焼いては取り出しを繰り返し、常にお客さんにはベストな状態のパンを提供していました。
その経験を元に、ウィリアムさんは大きなオーブンではなく、あえて小さなオーブンを3つ店内に取り付けることに決めました。そこには、「手間がかかっても、お客さんにはなるべく出来立てに近い商品を提供したい」という思いが込められています。
なんとその実際にお店で使われているオーブンでは、1度に12個しかパンを焼けないそう。なので、新鮮なものが次から次へとお客さんの手元へと渡っていくのですね。
ペイストリーだけでなく、チョコレートやマカロン、サンドイッチ、ピザなど、お客さんが何度も訪れたくなるような幅広いバリエーションの商品を取り揃えているところが特徴のひとつ。そのバリエーションは合計で150以上にもなるそう。
サンドイッチを作るチーム、チョコレートのチーム、ケーキのチーム、など、毎朝4時からチームごとに分かれて製造を任せられているそうです。
素材の新鮮さや、オーナーのアイディアに応じて、季節ごと、時には週ごとにメニューが更新されていくとのこと。オーナーだけではなく、従業員誰もが意見を出し合ってメニュー開発に協力しています。
オーナーのウィリアムさんは、「常にメニューの変化を楽しみ、革新的であり続けたい」という思いを抱きながら、全ての商品に情熱を持って、新作の考案から製造に至るまで携わっています。
決してどれも疎かにしないことで、予想していなかった新しいフレーバーの組み合わせを思いついたり、顧客の嗜好を感じながらより良いアイディアのヒントを得られたりするとのことでした。
「フードメニューのクオリティとサービスのクオリティは、ベーカリーにとっての命。お客さんの満足度を常に最優先しています」とエリーさん。
パンに使われている材料にもこだわりが。小麦粉には『Type 85』というオーガニックブランドを採用し、イースト菌を最小限に抑え、あえてぬかや穀粒の外側を残したものを用いることで、まろやかな酸味と独特の風味を引き出しています。バターには脂肪分の多めのものを選び、風味と食感を増す工夫をしているそう。
ジャムに関しては、フルーツ本来の自然な甘みを引き出すようなフランス風のジャムを再現するため、オーナー自身がウエスト・シアトル・ファーマーズ・マーケットに出向き、自らの手で材料に使うベストな果物や野菜を選んでいるそう。トマトジャムや、バニラジャム、キャラメルジャムなど、豊富な種類を展開しています。
パン生地の発酵にしっかり時間をかけることにもこだわっているそう。
1号店であるウエスト・シアトル店では、地元のスーパーマーケット 『Husky Deli』 の協力の元、冷却庫の余ったスペースを借りて発酵を行なっています。妥協せず、一手間かけることで、『Bakery Nouveau』ならではの風味と高いクオリティが再現できるのですね。
こだわりのたくさん詰まった『Bakery Nouveau』。皆さんもコーヒーと共に絶品ペイストリーを堪能してみてください。
Thank you for a good time and coffee!
次回は、今学期のファイナルプレゼンテーションを終えて、3日くらいは何も考えたくないという小百合さんです。
Bakery Nouveau
137 15th Avenue East, Seattle(地図)
【席数】店内約20席/テラス約6席
【公式サイト】www.bakerynouveau.com
【Wi-Fi】なし
【電源】なし
北村真美(Mami Kitamura)
滋賀県出身。大学進学後、京都で2年半の一人暮らしを経験。現在大学3年生を休学し、2018年9月からシアトルのベルビュー・カレッジにて1年間のビジネス留学プログラムに参加中。ビジネスと主にデジタル・マーケティングを勉強中。趣味はカフェ巡り、ジム、インスタグラム。
掲載:2019年6月