ビザ免除プログラム(VWP)とは、対象国の国民が短期の商用や観光目的でアメリカに渡航する際に、ビザ(査証)を取得せずにアメリカに90日以内の滞在を認める制度のことです。この制度を利用してアメリカに渡米する際に受けなければならない渡航認証のことを電子渡航認証システム(ESTA)といいます。この記事では、ビザ免除プログラムの条件や、できること・できないことについて解説します。
ビザ免除プログラムを利用できないケース
日本は対象国になっているので、ビザ免除プログラムを利用することができますが、日本国籍を保持していても、ビザ免除プログラムを利用できないケースがあります。
例えば、一部の例外を除いて、以下の人は、原則として、ビザ免除プログラムを利用できません。
- 2011年3月1日以降に北朝鮮、イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリアまたはイエメンに渡航、または滞在したことがある場合
- 2021年1月12日以降にキューバに渡航または滞在したことのある場合
- キューバ、北朝鮮、イラン、イラク、スーダン、シリアの国籍を持つ方、二重国籍者
ビザ(査証)の申請
ビザ免除プログラムを利用できない旅行者は、日本国籍者であっても、渡米前にアメリカ大使館・領事館にてビザ(査証)を申請しなければなりません。
重要なのは、「これらの国に行ったことがある、または国籍を持っていると、アメリカに入国できないということではない」ということです。つまり、必要なビザを取得すればアメリカへの渡航は可能です。
ESTA 渡航認証の目的とは
ESTA渡航認証の目的は、旅行者の渡航資格を事前に判断することで、認証されると、渡航が許可された、つまり飛行機に乗ってアメリカに渡航する資格を与えられたということになります。
しかし、ESTAが承認されたことは、「必ずアメリカに入国できる」という意味ではありません。最終的な入国可否はアメリカ到着後に行われる入国審査にてCBP入国審査官が判断します。
入国審査で確認されること
入国審査の際、入国審査官は、外国人の渡航目的やアメリカでの活動内容、滞在予定日数、パスポートや帰りのチケットなどを確認します。
ビザ免除プログラムを利用する旅行者は、例えば、友人や家族を訪問したり、旅行や観光をしたり、買い物をしたり、娯楽や文化活動を楽しんだりすることができます。また、会議やカンファレンスへの参加など、一定の認められた商用活動を行うこともできます。
しかし、アメリカの雇用主のもとで働いたり(=就労)、正規の課程で学校に通ったりすることなどは認められていません。
リモートワーク
「リモートワークが可能な外国に拠点を置く会社で働いている外国人は、ビザ免除プログラムを利用して一時的にアメリカに滞在しながら、リモートワークをすることができる」と、誤った解釈をしているケースが見受けられることがあります。
「雇用主が外国企業で、給与も外国の銀行口座に支払われているのだから大丈夫」と考えられているようですが、移民法では、アメリカ国内でどのような活動を行うかが重要な要素となります。
Digital Nomad または Workcation などと呼ばれるビザが存在する国もありますが、アメリカではそのようなビザは存在しません。
つまり、適切なビザが必要となります。
インフルエンサーやコンテンツクリエイター
では、インフルエンサーやコンテンツクリエイターとして仕事をすることを主な目的としてアメリカに入国する場合はどうでしょうか。
商業目的のコンテンツ制作や有償の撮影は、ビザ免除プログラムでは認められていません。これらの活動は「就労」とみなされ、適切な就労ビザが必要となります。
しかし、それは YouTube や Instagram で収益を得ているすべての人がビザ免除プログラムで入国できないという意味ではありません。
重要なのは、入国の目的、およびアメリカでの活動内容です。
例えば、日本からアメリカに観光目的で行った人が、旅行中に撮った写真や動画を帰国後に自身のSNSに投稿するというケースは、インフルエンサーやコンテンツクリエイターとして大量の動画を制作することが目的でアメリカに入国する、スポンサー案件、広告案件を撮影する、アメリカ滞在中の活動から収益を得るといったケースとは区別して考える必要があります。
つまり、フリーランス、コンテンツ制作、リモートワークなど、人々の働き方や収入を得る方法が大きく変化している現代において、アメリカに入国し、現地で活動するためには、その目的や活動内容に応じた適切なビザが必要なのです。
琴河・五十畑法律事務所 弁護士・琴河利恵さん
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