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第130回 新型コロナウイルスの感染拡大によって変化する雇用形態と福利厚生について

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注)これは3月16日に発令された緊急命令です。3月23日に発行された命令については、下記のリンクをご覧ください。
Inslee announces “Stay Home, Stay Healthy” order
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新型コロナウイルスの影響により、ワシントン州知事がすべてのレストラン、バー、催し物会場、フィットネスクラブや娯楽活動場を3月31日まで閉鎖することを命じました。さらに、今から2ヶ月間にわたり50人以上が集まる催しの開催を禁止し、10人以上での集会・会議を自粛すること、すべてのK-12の学校を4月24日まで閉鎖することを命じました。

これにより、多くのレストランやホテルが業務停止を余儀なくされたり、子供を持つ共働きの親は子供を預ける場所が見つからず、自宅で子供の面倒を見ながら仕事をすることになっています。業務内容によっては在宅勤務が不可能な業種もあり、そのような業務を担う従業員は有給休暇や病欠、さらに州法で規定されている福利厚生に関わる法律を最大限利用して雇用の維持に努めなくてはなりません。しかし、そのような福利厚生も限界があり、従業員が解雇になることもあります。

そのような状況に直面した際は、一般に提供されている下記の福利厚生を最大限活用することをお勧めします。

1. ワシントン州の有給家族休暇法 Washington Paid Family & Medical Leave

第129回のコラムでもご紹介しましたように、ワシントン州の家族休暇法が2020年1月に施行されました。50人以上の従業員がいる企業の従業員の前年の就労時間が820時間に達している場合、12週間を上限に休暇を取ることが可能です。支給を受ける額には個人差がありますが、例えば、年収$50,000の方は、週$731、年収$80,000の方は週$1,000まで受け取ることができます。受給額はこちらで調べることができます。

2. ワシントン州の有給病気休暇 Paid Sick Leave

ワシントン州では病気休暇は2018年から有給となっています。第125回のコラムでご紹介しましたように、40時間労働に対し1時間の病気休暇が可能です。ただし、ワシントン州法では、最低賃金法・公正労働基準法が適用される従業員のみが対象となり、Exempt と呼ばれる上級一般職は対象とされていません。また、90日以上就労していない従業員も対象外となります。ちなみに、シアトル市ではPaid Sick and Safe Time Ordinance, SMC 14.16が制定されています。詳しくはこちらをご覧ください。

3. 失業保険 Unemployment Benefit

どの雇用者も従業員に対して失業保険をかける義務があります。従って、今回の新型コロナウイルスの影響によって解雇された従業員(不当行為等で解雇された従業員は該当しません)は、最低でも過去1年間に680時間の就労をしていれば、28週間まで失業保険を利用することができます。ただし、従業員が病気のため職場を離れることを余儀なくされた場合は、この失業保険は該当しません。受給額は、家族休暇同様、個人の収入などによって異なります。受給額はこちらで調べることができます。

4. 労働災害補償 Workers’ Compensation

企業・雇用者の職場で他の従業員が新型コロナウイルスに感染し、自分も感染した場合は、この労働災害補償を利用することが可能です。詳しい情報はこちらをご覧ください。

5. Families First Coronavirus Response Act H.R. 6201.

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、連邦政府も臨時の新しい法律を施行しました。職を失った低所得者の母子や子供に対して無料で食料を配給したり、フードバンクなどで入手できる食料の量を増やすなど、特に経済危機に弱い立場の方々を保護することが主な目的です。さらに、新型コロナウイルスに感染し、一時的に離職を余儀なくされて雇用者からの補償・報酬を受けていない、または受けられなくなった従業員は、病欠時から1ヶ月間、特殊な場合は3ヶ月間まで、14日間の有給休暇を追加で取得することができます。連邦政府は、従業員数が50人に満たない中小企業の雇用者に対し、従業員に対して14日の追加の有給休暇を与えた場合は給与の支払いを返済することになっています。この援助は2020年1月より一年間有効です。

その他の対象者や条件など、詳しい情報はこちらをご覧ください。

新型コロナウイルスによって、ワシントン州でどのような福利厚生が受けられるのかを確認したい方は、こちらをご覧ください。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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