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第1回:「将来は挑戦を志す人を支援できるようになりたい」ワシントン大学グローバル・ビジネス・プログラム留学 武者雄大さん

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もくじ

留学先としてシアトルを選んだ理由

留学先にシアトルを選んだ理由は、ワシントン大学があったためです。同大学は、Financial Times 2023では世界研究ランキング12位、U.S. News & World Report 2023ではベスト・ビジネス・スクールランキング20位に選ばれています。過去の経験から、チャレンジングな環境を選んだ方がうまくいくことがわかっていたので、当時の私が選択できた留学先の中で最もレベルが高かった同校を選びました。ハリー・ポッターの世界のようなスザロ図書館や噴水越しにマウント・レーニアが見える景色も美しく気に入ったので、迷いはありませんでした。

結果的に、この選択は正解でした。世界各国から集まる優秀で野心溢れる学生たちとの出会いのおかげで、以前よりさまざまなことに挑戦するようになりました。

ワシントン大学のスザロ図書館

ワシントン大学のグローバル・ビジネス・プログラムとは

ワシントン大学のグローバル・ビジネス・プログラムに参加しました。社会人向けのコースでしたが、社会人の方々と一緒に過ごせば、視座の高い考えに触れられると思ったので、同プログラムを選びました。

授業では、マーケティングを中心にビジネス全般を広く学びます。グループワーク中心で課題を進め、週に1〜2回のグループプレゼンテーションがありました。私の通っていた日本の大学の学部授業では、チームで取り組む機会はほとんどなかったので、とても新鮮でした。プレゼンテーションの後の達成感もひとしおで、少し困難でも、国籍を超えて心を通わせ、協業する楽しさも学ぶことができました。

留学の費用

グローバル・ビジネス・プログラムに応募した際、IBP留学の奨学金にも応募しました。最近はトビタテ留学JAPANなどの奨学金制度も復活しているようなので、奨学金制度については定期的に確認すると良いと思います。

現地で実際にかかった生活費(家賃・食費・雑費込み)は、私の場合、1ヶ月約1000ドル(1ドル=150円)でした。しかし、これでもかなり節約している部類になると思うので、1200〜1300ドルはかかると考えておくのが無難かもしれません。

保険は、AIGの海外旅行保険に加入していました。また、ワシントン大学は、大学独自の保険に加入することが義務付けられていたので、大学の保険にも加入していました。

住居の見つけ方

最初の3ヶ月は、現地のハウスエージェントから斡旋していただいたホームステイ先に滞在しました。週末には外食やロードトリップに連れて行ってもらったり、家族のように接していただいたので、ホストファミリーは大好きでした。

しかし、通学の距離がネックになっていたため、大学の掲示板で条件に見合うシェアハウスを見つけて引っ越し、残りの1年弱をそこで生活しました。小学生の子どものいるシングルマザーから画家のお爺ちゃんまで、管理人も含めると8人の多国籍なルームメイトが住んでいる少し変わったシェアハウスでしたが、皆で食材を分け合ったり、たまにBBQをして、平和で楽しかったです。

幸い、私は人に恵まれて、住居でトラブルになることはなかったのですが、悩んでいる友人も一定数いました。ホームステイやシェアハウスのような共同生活では、一緒に住む人は最も大切な判断軸になります。住居を決定する前に、きちんとコミュニケーションを取り、自分の価値観と照らし合わせておくと、失敗しないと思います。

シアトルに来て驚いたこと

シアトルでは、おしゃべりが好きな人が多い印象を受けました。挨拶をすれば、街中で見知らぬ人と雑談が始まることもよくあります。アメリカ人の英語話者は、頭に情景が浮かぶぐらい、動作の一つ一つをストーリー仕立てで話す傾向があるので、一度の会話量が多くなるのかもしれません。また、家族の事情のようなプライベートなことまで比較的オープンに話すようにも思います。

このことに関して、「アメリカは、移民からなる多民族国家であり、ローコンテクストなカルチャーだからこそ、たくさん話すことで齟齬の発生を防ぎ、敵意がないことを示している」など、一応根拠になりそうな考察はあるようですが、とても楽しそうにしゃべり続けているアメリカ人を見ると、純粋におしゃべりが好きなだけのような気もします(笑)。

その様子を見るとこっちまで楽しくなってくるので、あまり意識的に適応しようとした記憶はありませんが、日本語で話している時よりも、質問は積極的にしていたかもしれません。

語学力を高めるための工夫

日本では試験向けのきれいな音声の英語しか聞いてこなかったため、現地のネイティブの英語についていけず、かなり苦労しました。しかし、せっかくの留学の機会に個人で勉強するだけではもったいないと思ったので、趣味であるサッカーやmeetupのイベント参加を通して、友人を作りながら少しずつ克服していきました。また、留学中は、全てが英語学習になるので、街中で見聞きして気になった単語をメモするようにもしていました。

帰国後は、英語学習を継続する動機付けをするために、業務で英語が求められるインターンシップやボランティアに従事しています。また、現地の人が見るようなニュースやVlogなどをYouTubeで視聴したり、Netflixを英語で見ることで、日常の一部に英語を入れるように工夫しています。

留学中のインターンシップ

インターンシップを見つけるには、主に二つのアプローチがあると思います。一つは、IndeedHandshake のような求人サイトに登録して、公式にインターンを募集している企業を探し、応募する方法。もう一つは、LinkedIn などを通じて、企業に直談判する方法です。

留学生の場合、後者でアプローチする方が、多くのネイティブたちとの競争にならずに戦える可能性が高いので、オファーに繋がりやすいです。就労許可に関しては、F1ビザによるOPT制度(1年の留学後に1年の有給インターンシップができる制度)を活用して、申請しました。

留学中の社会活動とネットワーキング

大学のスポーツ施設にほぼ毎日通って、現地の学生たちに混ぜてもらってスポーツを楽しんでいました。すると、自然と顔見知りが増え、そこから少しずつ交友関係の輪が広がっていきました。

その他には、興味のある大学のクラブ(サークル)に入ったり、Eventbrite や Meetup で興味のあるイベントに参加したり、バスの待ち時間に話しかけてみたりするなど、心の赴くままに行動していたと思います。利害関係だけを意識した打算的な人脈づくりは、言語を超えて見透かされます。アクションを起こすことは必要ですが、基本的に自分らしく、素で楽しんで人と接すると良いのではないかと思っています。

スタートアップの立ち上げに挑戦

留学で出会ったタイ人のクラスメイトとスタートアップの立ち上げに挑戦した経験が、印象に残っています。その過程で、ワシントン大学が主催するDempsey Competitionというスタートアップの資金調達ピッチの本戦に出場できることになり、ウォークイン形式で会場を歩くエンジェル投資家の前でピッチを行いました。

この経験を通じて、Microsoft や Amazon を生み出した米国屈指のシアトルのスタートアップ・エコシステムを肌で感じ、ビジネスとアカデミーが上手く融合してイノベーションを生み出すダイナミズムを垣間見ることができたように思います。

今後のキャリアや将来の希望

最終的には、情熱のある日本の起業家や世界に飛び立つ挑戦を志す人を、資金面・知見面で支援したいと思っています。

留学を通して、改めてたくさんの人に支えられて生きていることを実感しました。挑戦を後押しして下さった方々のおかげで、ワクワクに満ち溢れた日々を過ごせたと思っています。自分が与えてもらった感謝をより広く社会に還元しようという考えが強くなったのは、米国のキリスト教文化の中で育った起業家やエンジェル投資家の考え方に触れたことも影響しているのかもしれません。

また、あえて「日本の」と対象範囲を言及したのは、日本を元気にしたいという想いが私の根底にあるからです(もちろん、日本人に限定した支援がしたいという意味ではありません)。

少子高齢化が深刻で、生まれてから一度も経済成長をしていない中で生まれた私と同世代の人の中には、日本に希望を見い出せないと感じる人も少なくありません。そのような話を聞くたび、日本人として生まれたのに母国に希望を見いだせないのは、悲しいことだなと感じていました。

でも、留学を通して、やはり日本は魅力的で素敵な国だと思いました。これは、シアトル留学中にお世話になったインターン先の Webrain Think Tank 社で、グローバル社会から見た日本について考える機会をたくさんいただいたことと、海外生活の中で実体感を持ちながら、良い点・悪い点を比較した上での率直な感想です。だからこそ、日本にはずっと元気であって欲しいと願っています。

現在は、Web3.0業界に興味を持っており、Web3.0のグローバル総合コンサルティングサービスを提供するスタートアップで長期インターンシップをしています。Web3.0は、IPビジネスとの相性が良く、世界に誇るIPコンテンツを有する日本が、グローバル舞台で大きなプレゼンスを発揮する起爆剤になる可能性を秘めています。

こうした背景から、Web3.0のような日本を元気にする可能性を秘めたテクノロジーの領域にプロフェッショナルを持った、ベンチャーキャピタリストを目指していくキャリアも今は視野に入れています。

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