米国内務省は、2026年1月1日から国立公園の料金制度およびアクセス方法を大幅に刷新すると発表しました。今回の変更は、年間パスの対象者区分の変更や追加料金の導入、無料入園日の条件変更、デジタルパスの新設など、利用者にとって重要な影響を与える内容です。
国立公園への年間パス
2026年1月1日からの国立公園への年間パス（America the Beautiful Annual Pass）について、内務省と国立公園局は次のように異なる説明をしています。
内務省は、米国の居住者か非居住者かの区別のみとなっています。
Beginning Jan. 1, 2026, the Annual Pass will cost $80 for U.S. residents and $250 for nonresidents, ensuring that American taxpayers who already support the National Park System receive the greatest benefit.
（2026年1月1日から、年間パスの料金は米国居住者（US residents）が80ドル、非居住者（nonresident）が250ドルになります。これは、すでに国立公園制度を税金で支えているアメリカ納税者が最も大きな恩恵を受けられるようにするためです。）
上記をまとめると：
- 非居住者（nonresident）：250ドル
- 米国居住者（U.S. residents）：80ドル
一方、国立公園局公式サイトでは、米国市民と永住権保持者のカテゴリと、その他の人のカテゴリに区別しています。
A new America the Beautiful pass for nonresidents of the US will be available for $250. All other America the Beautiful passes will only be available to US citizens and permanent residents.
（非居住者（nonresident）向けの新しい「America the Beautiful パス」は250ドルで提供されます。その他の「America the Beautiful パス」は、米国市民と永住権保持者のみが利用できます。）
上記をまとめると：
- 米国市民（US citizens）・永住権保持者（permanent residents）：80ドル
- 非居住者（nonresident）：250ドル
内務省と国立公園局では区分が異なるため、さらなる確認が必要です。
料金の支払い方法：ZIPコード入力とID提示で区別
1）Recreation.gov での購入時
年間パスを Recreation.gov で購入する際、米国市民・永住権保持者は居住地の ZIPコード（米国の郵便番号） を入力します。
2）年間パス利用時の本人確認
年間パスをゲートで使用する際は、政府発行の写真付き身分証明書（government issued photo ID）の提示が必要です。
- 米国市民：米国政府発行のパスポート、州政府発行の運転免許証または身分証明書
- 米国永住者：永住者カード（グリーンカード）、州政府発行の運転免許証または身分証明書
たとえ、適当なZIPコードを入力して居住者用のパスを購入しても、入園時に必要な身分証明書を提示できなければ、年間250ドルのパスの購入が必要となります。すでに所持している年間パスは、有効期限までそのまま利用できます。
米国市民・永住権保持者以外は、11の国立公園で追加料金100ドル
2026年1月1日以降、人気のある11の国立公園への入園料については、内務省と国立公園局の解説はほぼ同じです。年間パスを購入していなければ、非居住者は標準の入園料に加えて追加料金をしはるあ必要があります。
Nonresidents without an annual pass will pay a $100 per person fee to enter 11 of the most visited national parks, in addition to the standard entrance fee.
（年間パスを持たない非居住者（nonresident）は、標準の入園料に加えて、全米で特に訪問者数が多い11か所の国立公園で、1人につき100ドルの追加料金を支払う必要があります。）
The following parks will have a surcharge of $100 for each nonresident of the US entering the park:
（以下の公園では、非居住者（nonresident）が入園する際、1人につき100ドルの追加料金（サーチャージ）が課されます。）
対象となる11の国立公園
- Acadia National Park
- Bryce Canyon National Park
- Everglades National Park
- Glacier National Park
- Grand Canyon National Park
- Grand Teton National Park
- Rocky Mountain National Park
- Sequoia & Kings Canyon National Parks
- Yellowstone National Park
- Yosemite National Park
- Zion National Park
※Sequoia と Kings Canyon は運営上「一体」として扱われるため、1枠となります。
無料入園日は「米国市民と米国居住者」だけが対象
これまで誰でも無料で入園できた無料入園日（Fee-Free Days）。でも、2026年からは、米国市民・米国居住者限定の「Patriotic Fee-Free Days」となります。
これにより、外国からの旅行者（nonresident）は無料対象外となり、年間パスを利用するか、通常料金と追加料金を支払う必要があります。
2026年 無料入園日
- 2月16日：Presidents Day（ワシントン誕生日/歴代大統領の日）
- 5月25日：Memorial Day（戦没者追悼記念日）
- 6月14日：Flag Day／President Trump’s birthday（フラッグデー／トランプ大統領誕生日）
- 7月3日〜5日：Independence Day weekend（独立記念日の週末）
- 8月25日：国立公園局 創立110周年記念日
- 9月17日：Constitution Day（憲法記念日）
- 10月27日：Theodore Roosevelt’s birthday（セオドア・ルーズベルト誕生日）
- 11月11日：Veterans Day（退役軍人の日）
デジタル版「America the Beautiful パス」を新導入
内務省は国立公園アクセスのデジタル化も発表しました。訪問者の待ち時間を短縮し、利便性を向上させることが目的です。
新しいデジタルパスの特徴
- Annual、Military、Senior、4th Grade、Access パスがスマホで利用可能
- 購入後すぐに使用できる「即時発行」
- デジタル検証ツール導入により入園がスムーズ
- 必要に応じてカードと連携可能
パスのデザインも “愛国的デザイン” に刷新
2026年から、年間パスのデザインが「愛国的テーマ」のビジュアルに更新されます。内務省は、アメリカの風景・遺産・自然保護の歴史を象徴するデザインとして紹介していますが、ジョージ・ワシントン大統領とドナルド・トランプ大統領が並んだデザインも含まれることが発表されました。
モーターサイクル（オートバイ）利用の拡大
2026年以降は、America the Beautiful パス 1枚でモーターサイクル（オートバイ）2台が入園できるようになります。
「2人乗りではなく、別々の車両2台が対象」という点が大きな変更です。
まとめ
今回の料金改定で得られる追加収入は、訪問者施設のアップグレード、老朽化した設備の修繕、各種メンテナンス、そして全米の国立公園サービスの向上といった、公園の維持管理と改善に直接投資されることが発表されています。
外国から国立公園を訪れる旅行者にとっては、費用や利用条件が大きく変わる重要な改定となるため、旅行を計画する際には最新の料金体系や対象公園の情報を事前に確認しておきましょう。
更新：この記事は、内務省と国立公園局の説明で明確でないと思われる箇所を指摘する形に変更しました。追加情報を入手次第、更新する予定です。