去る4月23日、シアトルのインターナショナル・ディストリクトにある Wing Luke Museum にて、ワシントン州日米協会(Japan-America Society of the State of Washington、以下JASSW)の年次総会とスプリング・ガラが開催されました。100年以上にわたり日米友好を促進してきた JASSW の年次イベントには、在シアトル日本国総領事館の伊従誠総領事や、ポート・オブ・シアトルのコミッション・プレジデントであるトシコ・グレース・ハセガワ氏をはじめ、約120名が出席しました。

年次総会の前半では、過去1年間の活動報告と、来年度の会長に就任した清水ゆか氏をはじめとする役員の紹介に続き、「国境を越えて:私の会社、私のキャリア、そして日本」と題したパネルディスカッションが行われました。パネリストには、ウェアハウザーのトッド・メイソン氏、2024-2025年度の会長を務めたスターバックスの片山まさみ氏、ラッセル・インベストメンツのよしえ・フィリップス氏が登壇し、モデレーターのホールマン・ロジスティクスのクリス・カミンズ氏とともに、日本とアメリカとの関わりやキャリア形成、JASSWへの貢献について語り合い、草の根レベルでの異文化交流が社会にもたらす影響について、改めて考えさせられる機会となりました。

トシコ・グレース・ハセガワ氏
©︎Maria Niki
この総会の中でポート・オブ・シアトルのコミッション・プレジデントであるハセガワ氏は、次のように語りました。
【トシコ・グレース・ハセガワ氏 コメント】
「連邦レベルで関税政策や貿易摩擦が続くなかにあっても、地域レベルでは日本との長年の友好関係を守り、さらに発展させていきます。ワシントン州経済と地元労働者にとって貿易は不可欠なものであり、反アジア感情の再燃に対しても地域社会が連帯して立ち向かう必要があります。また、私たちは多様性、公平性、包括性(DEI)の取り組みを揺るぎなく推進していきます。シアトル・タコマ国際空港は力強い経済回復を遂げ、新たな国際線到着施設の整備も進めています。未来に向けた積極的な投資を通じて、地域社会の経済的機会と社会正義を守り、誰もが安心して暮らせる社会を築いていきたいと考えています」

©︎Maria Niki
午後6時から始まったスプリング・ガラでは、特別ゲストのバイオリニスト・橋森ゆう希さんが演奏。繊細さと情熱を兼ね備えた音色で会場を包み、温かな拍手を浴びました。幼少期から国内外で数々のコンクールに入賞し、現在は日本とアメリカを拠点に演奏活動や後進の育成に取り組む橋森さんは、音楽を通じて国境を越えた感動を届けています。


また、JASSW のスモールビジネス部の支援プログラムを通じて2024年に創業した『Dosukoi Japanese Catering』と『Koto Jelly Coffee』が、ビュッフェスタイルで料理や抹茶ゼリー入りのドリンクを提供。シアトルの姉妹都市・神戸発の『芋円居』(いもまどい)による野菜チップス、ウディンビルに拠点を置く Matthews Winery のボルドースタイルワインも振る舞われ、参加者同士の交流が一層深まりました。
地域社会が積み重ねる日米友好への努力と、多様性を称えるこの取り組みは、これからの時代にいっそう欠かせないものとなっていくはずです。
Wing Luke Museumとは?

今回の会場となった Wing Luke Museum は、アジア系アメリカ人と太平洋諸島系アメリカ人の歴史・文化・芸術を紹介する全米有数のミュージアムであり、アジア系アメリカ人として初めてシアトル市議に選出されたウィング・ルーク氏の功績を称えて1967年に設立されました。
「コミュニティ主導型ミュージアム」としても知られ、地域社会の声を反映した展示やプログラムを展開。シアトルの多文化共生の歴史を体感できる貴重な場所となっています。