7月27日、ニューヨーク州クーパーズタウンで米国野球殿堂入り式典が行われ、イチロー(鈴木一朗)氏ら5人の新たな殿堂入りメンバーが祝福されました。
約3万人の観衆が詰めかけた会場では各選手が登壇し、それぞれの歩みを語るなか、日本人として初めて殿堂入りを果たしたイチロー氏のスピーチにも注目が集まりました(スピーチの動画はこちら)。
殿堂入り投票では満票にあと一人と迫る、得票率99.7%の圧倒的支持を得て殿堂入りしたイチロー氏。冒頭からユーモアを交え、「投票しなかった記者を夕食に招待しようと思っていましたが、もう期限切れです」と冗談を飛ばし、会場を笑いに包みました。
スピーチ中盤では、「夢と目標は違う。目標には現実と向き合う責任が伴う」「小さなことを積み重ねれば限界はない」「準備がすべて」など、自身の哲学をまっすぐに語りました。MLB通算3,089安打、日米通算安打数4,367本など、数々の記録の裏にある信念と努力の積み重ねを、静かに、しかし力強く伝えました。
また、日米でのキャリアを築く転機となった人物や球団への感謝も忘れませんでした。メジャーリーグでプレーするという世界を初めて見せてくれた野茂英雄氏、挑戦の機会をくれたオリックス・ブルーウェーブ、そして日本人初の野手になれると信じてくれたシアトル・マリナーズへの謝意を述べ、「それ以来、私はシアトル、そしてマリナーズをずっと愛しています。ありがとう、シアトル」と結び、大きな拍手が送られました。
スピーチの終盤では、渡米から19シーズンにわたり支えてくれた夫人・弓子さんへの感謝の言葉も。「彼女にも不安はあったはずだが、それを私に感じさせることは一度もありませんでした。常に励まし、支えてくれました」「私は安定した選手を目指してきましたが、彼女は私が出会った中で最も安定感のあるチームメイトでした」と語り、感動を誘いました。
この日ともに殿堂入りを果たしたのは、イチロー氏のほか、CC・サバシア氏、ビリー・ワグナー氏、そして故デーブ・パーカー氏と故ディック・アレン氏。それぞれが野球への思いと人生の軌跡を語り、世代や文化を超えたスポーツの力を感じさせる式典となりました。
シアトル・マリナーズの本拠地 T-Mobile Park では、8月9日から10日の3日間にわたり、イチロー氏の殿堂入りを祝うイベントが開催されます。詳細は下記でご覧ください。
