2024年11月19 日から20日にかけて、ワシントン州西部に爆弾低気圧(bomb cyclone)が襲来し、広範囲に大きな被害を与えました。
被害の状況
NWS(ナショナル・ウェザー・サービス)は18日からシアトル大都市圏の広範囲に強風警報(High Wind Warning)や強風注意報(Wind Advisory)、太平洋沿岸とファン・デ・フカ沿岸地域に暴風警報(Storm Warning)、カスケード山脈北部の西側の斜面や峠などに大吹雪警報(Blizzard Warning)を出して注意を呼びかけていました。
CLEARED: All lanes of NB I-405 are now open after a tree fell earlier and blocked four lanes.
— WSDOT Traffic (@wsdot_traffic) November 20, 2024
Please keep an eye out for our crews, who remain on scene to cut up and remove the tree. https://t.co/Cvc87tQTd7 pic.twitter.com/xU6UblXkFJ
19日には風が徐々に強まり、マウント・レーニア国立公園のサンライズ(標高6400フィート/1900m)では風速77マイル(123km)、シアトル・タコマ国際空港では風速55マイル(89km)の突風が観測され、停電が発生。翌20日午前7時の時点で60万戸以上が停電し、各地の道路が倒木で閉鎖され、公共交通機関の運行に影響が出ているほか、一部の病院は休業となり、一帯の学校は休校となっています。シアトル郊外のリンウッド市とカークランド市では、強風で倒れた木によって女性2人が死亡しました。
ノースゲートの充電ステーションで数十台のテスラが充電を待つ光景が見られたと、シアトルの KOMO 局のレポーターが X に投稿しました。
Byproduct of the wind storm’s power outages: Nick Abrams said “dozens of Teslas” were lined up trying to get a charge in the Northgate parking lot tonight. 🔌 #WAwx pic.twitter.com/XACClNY0vG
— Shannon O'Donnell (@ShannonODKOMO) November 21, 2024
停電で困るのは電気自動車だけではありません。コヴィントンの Fred Meyer と Costco のガスステーションで行列するドライバーの様子を、KOMO のレポーターが X に投稿しました。ガスステーションが停電で機能しなくなるとガソリンも入れられなくなるので、利用できるガスステーションも限られます。
The gas lines at Fred Meyer in Covington as well as Costco and other places tell me that people should've really been paying more attention to the weather forecast. The #BombCyclone effect still lingers. pic.twitter.com/5Gu4jARj1b
— Photog Jim KOMO (@Photog_Jim_KOMO) November 21, 2024
悪天候の予報が出たら、まず、電気自動車を充電し、ガソリン車はガソリンを満タンにしておくことが勧められます。新しい電気自動車は、家電の充電器として使えるものもあります。
“bombogenesis” と “bomb cyclone”
We've got a buoy report pretty close to the storm center offshore. And it's about what was expected. Buoy 5 is 300 nautical miles west of Aberdeen – reporting sustained winds 56 mph gusting 74 mph. And pressure 950.5 millibars. #wawx pic.twitter.com/xCaw5VXykm
— NWS Seattle (@NWSSeattle) November 19, 2024
今回は “storm” という言葉に加え、“bombogenesis” や “bomb cyclon” という気象用語を頻繁に耳にしました。 いったいどういう意味なのでしょうか?
NOAA(米国海洋大気庁)によると、“bombogenesis”(ボンボジェネシス)とは、気象学者が使う用語で、中緯度(熱帯と極地の間の緯度)におけるサイクロンが24時間以内に急速に強化される現象を指します。
一般的には “bomb cyclone”(爆弾低気圧)として知られる現象で、熱帯と極地の間の中緯度の低気圧(サイクロン)が、気圧が24時間で少なくとも24ミリバール(ヘクトパスカル)以上急激に下がる現象を指します。ただし、その基準は緯度によって異なり、例えば北緯60度では24時間で最低24ミリバール、ニューヨーク市の北緯40.7度では約17.8ミリバールの低下が目安とされています。この現象は、冷たい空気の塊と温暖な空気の塊が衝突することで発生します。
Accuweather によると、”bombogenesis” という用語は、爆弾(bomb)と低気圧生成(cyclogenesis)を組み合わせたものです。この場合、”bomb” は爆発的な発展を指し、”bombgenesis” は「爆発的な嵐の強化」という意味になります。
“bomb cyclone” は、日本語では「爆弾低気圧」と呼ばれるもので、日本の冬から春にかけても発生することがあります。
停電での注意
NWS(ナショナル・ウェザー・サービス)は18日に、19日から20日にかけてシアトル大都市圏の広範囲に強風警報(High Wind Warning)や強風注意報(Wind Advisory)、太平洋沿岸とファン・デ・フカ沿岸地域に暴風警報(Storm Warning)、カスケード山脈北部の西側の斜面や峠などに大吹雪警報(Blizzard Warning)を出していました。
引き続き、天気予報に注意し、strong wind(強風)や gust(突風)、possible widespread power outage(広範囲の停電の可能性)、downed trees(倒木)などを耳にしたら、停電に備えましょう。
数日間にわたり停電が続く場合、冷蔵庫と冷凍庫はできるだけ開かないこと。
キング郡公衆衛生局のアドバイスはこちら:
- 冷蔵庫や冷凍庫の扉はできるだけ開かないこと。
- 傷みやすい食品は、保冷剤や冷凍食品と一緒にクーラーに移すこと(食品は40°F(約4°C)以上の温度に長時間さらされると、腐る可能性あり)。
- 迷った場合は、捨てること。