トランプ大統領による出生地主義撤廃の試み、シアトルの連邦判事が全国規模で無期限に適用する命令へと拡大
先月23日、シアトルの連邦判事は、出生地主義(birthright citizenship)の撤廃を試みるトランプ大統領による大統領令の一時差し止め(temporary restraining order)を命じましたが、その期限が14日間で切れるため、今月6日、この一時的な差し止め命令を全国規模で無期限に適用する命令へと拡大しました。
連邦地方裁判所のジョン・コーフェノーア上級判事は、この大統領令は、「アメリカ合衆国で生まれたすべての人はアメリカ市民である」という出生地主義を定めるアメリカ合衆国憲法修正第14条に反すると厳しく非難しています。1868年に批准された合衆国憲法修正第14条は、そもそも奴隷制廃止後に解放された黒人に市民権を保障するために加えられたもの。シアトルタイムズによると、コーフェノーア上級判事は、トランプ大統領が「大統領令という名目の下で憲法を改変しようとしている」「憲法は、政府が政策の駆け引きに利用できるものではない。政府が米国の特異な制度である出生地主義の市民権を変更したいのであれば、憲法自体を改正する必要がある」「大統領の命令はこの手続きを制限しようとしているため、明らかに違憲だ」と非難しました。
昨5日、メリーランド州のデボラ・ボードマン連邦判事もトランプ大統領の命令を無期限に差し止める仮処分命令を出していました。
アメリカ合衆国憲法の改正には、連邦議会の両院で3分の2以上の賛成票が必要で、さらに全米50州の4分の3以上が承認する必要があります。大統領令だけで憲法を改正することはできません。
ワシントン州都オリンピアでトランプ政権に対する抗議活動
全米50州の州都で、トランプ政権に対する抗議活動が行われました。この抗議活動は50501(50州・50の抗議活動・1日という意味)と呼ばれ、TikTokやRedditで広がりました。KUOWによると最大1500人ほどが参加し、トランプ氏の罷免とマスク氏に対する捜査、人権や市民権を侵害する政策の終結、連邦レベルでの多様性政策の復活、ファシズム(Fascism)の抑制を求めています。
シアトル・タコマ国際空港で、地上走行中の日本航空機が駐機中のデルタ機に接触
シアトル・タコマ国際空港によると、今日午前10時17分頃、日本航空(JAL)の航空機がSコンコースと空港南部の整備格納庫の間の導路(taxi lane)を走行中に、駐機中のデルタ航空の航空機の尾翼に接触し、シアトル港湾局の消防・警察および同空港運営チームが対応しました。負傷者の報告はなく、同空港は両航空会社と連携して乗客をターミナルへ移動させましたが、同空港は、この事故は滑走路と駐機場の間の誘導路で発生したため、空港の運営への影響は最小限にとどまっていると発表しています。シアトルタイムズによると、日本航空68便(ボーイング787ドリームライナー)は東京から到着したばかりで乗客172人・乗員13人が搭乗していましたが、一方のデルタ航空1921便(ボーイング737-800)はメキシコのプエルト・バヤルタへ出発する前の防氷作業の準備中で142人の乗客が搭乗していました。両機とも翼が損傷したため、空港から移動させられています。事故を調査する予定の米連邦航空局(FAA)によると、現場は航空管制の管理下にはないエリアだったとのことです。この後、日本航空の東京行き定期便が5日は欠航、デルタ航空のプエルト・バヤルタ行き便は定刻より約6時間遅れで出発しました。
シアトルの高級レストラン『Canlis』に大きな変化

ジェームズ・ビアード賞などさまざまな賞を受賞し、シアトルの高級レストランの代表格の『Canlis』に大きな変化が起きています。この件を最初に報じた Seattle Met によると、3代目オーナーを務めるマーク・キャンリス氏が6月上旬に身を引き、テネシー州ナッシュビルでレストラン業界におけるホスピタリティの第一人者とされるウィル・ギダーラ氏(マーク・キャンリスの大学時代のルームメート)と働くことが決定しており、また、4年前に7代目にして初の女性エグゼクティブシェフに就任し、TIME100 NEXT にも選ばれたアイシャ・イブラヒム氏とその妻でスーシェフのサマンサ・ベアード氏が独立開業の準備のため4月8日に退職することになります。今年12月で開業75周年を迎える『Canlis』の次のステップに注目です。
USPS、中国・香港からの荷物の受け入れを一時停止
The United States Postal Service(アメリカ合衆国郵便公社)は4日夜、中国および香港からの小包(package)の受け入れを一時停止すると発表しました。この措置の理由は発表されていませんが、即時適用され、再開の時期は未定です。なお、手紙(letter)や封書(flat)は対象外とされています。詳細はこちら。
800ドル以下の小包に対する関税免除措置が廃止
アメリカは4日、中国からの輸入物に対する関税措置を発動し、同時に、800ドル以下の小包に対する関税免除措置(de minimis:デミニマス)を廃止し、課税対象としました。The Verge によると、この制度は100年近く続いてきたもので、中国のEC企業の SHEINやTEMUは、この制度を活用し、低価格の商品を米国市場に提供してきましたが、免税措置の撤廃により、これらの低価格商品にも関税が適用され、価格上昇や配送遅延が予想されます。ロイターによると、SHEINやTEMUは米国内に流通センターを設立するなどの対策を講じていますが、今後の動向に注目です。
「de minimis」(デ・ミニミス)とは、ラテン語で「取るに足らないもの」「些細なもの」といった意味を持つ言葉。例えば、「de minimis 税制」といえば、少額の取引や低価格の商品に対して税金を免除する制度を意味します。
中国、米国からの複数の輸入品に対する関税を発表
中国は、米国による中国製品への関税措置に対抗し、米国からの複数の輸入品に対する関税を発表しました。TIMEによると、米国からの石炭と液化天然ガス(LNG)製品に対して15%、原油・農業機械・大型エンジン車に対して10%の関税を、今月10日から課すとのことです。中国財政省の声明「米国の一方的な関税引き上げは、世界貿易機関(WTO)のルールに深刻に違反している。それは自国の問題解決には何の役にも立たず、中国と米国の正常な経済・貿易協力を損なうものだ」 中国は世界最大の液化天然ガス(LNG)輸入国なんですね。でも、主な供給国はオーストラリア、カタール、マレーシアで、米国は世界最大のLNG輸出国ではあるものの、中国への輸出量はそれほど多くないそうです。さらに、中国は先端技術製品の生産に不可欠な複数の重要な元素に対する輸出規制も発表した。 数日内に米中の話し合いが行われる予定。
ワシントン大学、第34代学長にロバート・J・ジョーンズ氏を選出
ワシントン大学理事会は3日、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の学長を9年間務めたロバート・J・ジョーンズ氏を、ワシントン大学の第34代学長に選出したと発表しました。ジョーンズ氏の5年間の契約は8月1日から開始されます。同大学によると、アフリカ系アメリカ人の学長はジョーンズ氏が初めて。10年間にわたり学長を務めてきたアナ・マリ・カウセ学長は、2024-25年度の学年末(今年6月)で退任します。詳細はこちら。
ワシントン州でインフルエンザなどが流行中
アメリカ全体で、インフルエンザ、COVID-19、RSV、ノロウイルスの冬季流行が広がっていることが、州と全国のデータからわかっています。ワシントン州保健局が公開しているデータによると、1月19日から1月25日の間にワシントン州でインフルエンザで入院した患者は268人で、2024年の同時期は115人、2023年は77人でした。また、ワシントン州保健局の報告によると、2024-25年のインフルエンザ冬季流行中、1月18日までに州内でインフルエンザ関連の原因によって死亡した人は、ワシントン州全体で65人となっています。
年度 | 期間 | 7日間平均入院者数 | 病床占有率 |
2022-2023 | 1/22/2023-1/28/2023 | 77 | 1.0% |
2023-2024 | 1/21/2024-1/27/2024 | 115 | 1.3% |
2024-2025 | 1/19/2025-1/25/2025 | 268 | 3.1% |
先住民の文化を反映した新しいアート作品が、シアトルのウォーターフロントに完成

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スアクワミッシュ部族とマクルシュート部族との協力のもと、この地域の先住民の文化を反映した新しいアート作品が、シアトルのウォーターフロントに設置されました。このアートは、シアトル出身でロサンゼルス在住のオスカー・トゥアゾンが手がけたもので、22組のダグラス・ファーの柱と梁、6本の柱でサリッシュの伝統的な家の柱を現代的に表現したもの。トゥアゾンの作品は、シアトルのヘンリー美術館、ロッテルダムのボイマンス・ヴァン・ベイニンゲン美術館やフランス・ディジョンのル・コンソルティウムなど、世界各地の美術館やギャラリーで展示されています。また、ボストンやニューヨーク、パリなどで公共の委託を受け、2019年にはシカゴ建築ビエンナーレにも参加しました。今回の作品の彫刻には、彫刻家のランディ・パーサー(スクアミッシュ族)、タイソン・シモンズ(マックルシュート・インディアン族)、キース・スティーブンソン(マックルシュート・インディアン族)も参加しました。詳細はこちら。
