MENU

【2025年最新版】再注目のシアトル・ウォーターフロント

  • URLをコピーしました!

シアトル観光のハイライトとも言えるウォーターフロント(Waterfront)は、観光スポットとしてだけでなく、地元民の日常や都市再開発の最前線としても注目されています。この記事では、各ピアの特徴、観光案内のポイント、そして都市計画の視点から、シアトルのウォーターフロントを多角的にご紹介します。

写真上©︎ Visit Seattle/David Newman

目次

海の玄関口としてのウォーターフロント

ピア57

シアトルのウォーターフロントは、ピュージェット湾内の島々を結ぶワシントン州フェリーや、シアトルとカナダのビクトリアを結ぶ高速船「ビクトリア・クリッパー」、さらにアラスカなどを結ぶ大型クルーズ船が発着する海の玄関口です。

主に観光客向けのエリアで、ピア50からピア70までの間には約20の埠頭(ピア)があり、ギフトショップ、レストラン、観覧車、公園、水族館、ホテルなどが並んでいます。2024年には地震で損傷した高架橋を撤去してダウンタウンやベルタウンなど隣接する地域とシームレスにつながるよう再開発され、ピア62に完成した新しい公園では、季節を問わず多様なイベントが頻繁に開催されるようになりました。

2025年現在の最大の見どころ

オーバールック・ウォーク ©︎Visit Seattle/David Newman

2024年10月、パイク・プレース・マーケットとウォーターフロントをシームレスに結ぶ待望の遊歩道「オーバールック・ウォーク」(Overlook Walk)がオープンしました。再開発されたシアトルの新名所として注目されています。

マーケット側からアクセスすると、美しいエリオット湾や万年雪をかぶったオリンピック山脈が目の前に広がります。ベンチやスペースがたくさんあるので、ピクニックや読書をしたり、海に沈む夕陽を眺めたりと、思い思いに楽しめます。

各ピアの見どころと特徴

ここではウォーターフロントに並ぶピアの特徴を、南側から紹介していきます。

ピア52:コールマン・ドック(Colman Dock)

©︎ Visit Seattle/David Newman

フェリーを使った通勤・観光の拠点。ベインブリッジ・アイランドなどを結ぶワシントン州フェリー、ウエスト・シアトルを結ぶウォータータクシーが発着します。歩行者と自転車に優しい設計が取り入れられた新しいターミナルからの眺めもおすすめです。南側にはサーモンの生息環境を再現したパイオニア・スクエア・ハビタット・ビーチがあります。

ピア54:レストラン&ギフトショップ

シアトルの名物クラムチャウダーやフィッシュ&チップスが食べられる『Ivar’s Fish Bar』、1899年に開店した名物的な存在の雑貨店『Ye Olde Curiosity Shop』、シアトルの土産物店『Simply Seattle』などがあります。

ピア55 & 56:クルーズやグルメの出発点

遊覧船のアゴシー・クルーズシーフード・レストラン『Elliott’s Oyster House』が並び、短時間の滞在でもシアトルの魅力を味わえます。

ピア57:シアトル・グレート・ホイール

©︎ Visit Seattle/David Newman

エリオット湾を一望できる大観覧車『Seattle Great Wheel』があります。『Minors Landing』と呼ばれるこのピアの建物には、カルーセル(メリーゴーランド)やレストラン、ゲームのアーケードなどが入っています。

ピア59:シアトル水族館

2024年10月に完成した新館『オーシャン・パビリオン』の水槽
©︎ Hiroko

地元と太平洋北西部の海洋生物が展示されており、2024年には新施設「オーシャン・パビリオン」が完成。家族連れや教育目的の観光にもおすすめです。

ピア62:イベントと市民の広場

©︎ Friends of the Waterfront

老朽化したピアが再建され、無料のコンサートやダンス、カルチャーイベントの会場にもなるオープンスペースとなりました。ここからの夕暮れの眺めは最高です。

ピア66:ベル・ストリート・クルーズ・ターミナル

©︎ Port of Seattle

アラスカ方面への大型クルーズ船が発着するターミナルがあります。シーフードのレストラン『Anthony’s Pier 66』、カンファレンス・センターも揃っています。

ピア67: 高級ホテル『The Edgewater Hotel』

あのビートルズが宿泊して客室から釣り糸を垂れたことで知られる高級ホテル『The Edgewater Hotel』があります。

ピア69:ポート・オブ・シアトル本部

港湾局のオフィスがあり、産業と観光が共存するエリアの一角を担います。シアトルとカナダのビクトリアを結ぶ高速船ビクトリア・クリッパーや、半日のホエールクルーズの発着所もここ。

ピア70: レストラン、オリンピック彫刻公園

オリンピック彫刻公園

シーフードのレストラン『AQUA by El Gaucho』シアトルの老舗カフェの一つ『Uptown Espresso』などがあります。北側にはオリンピック彫刻公園があります(入園無料)。エリオット湾沿いのトレイル『エリオット・ベイ・トレイル』を歩くと、西のオリンピック山脈に沈む夕日を見ることができます。

ウォーターフロントの海沿いには、ところどころに Historical Point of Interest という表示があります。説明を読むと、「アラスカのゴールド・ラッシュの始まりとなったかの有名な Ton of Gold の積荷が S.S. Portland という船から下ろされた地点」「4万マイルに及ぶ世界一周の旅を行った Great White Fleet が1908年に発着した地点」など、その場所で昔何が起こったのかがわかるようになっています。

シアトライトが案内するウォーターフロントの楽しみ方

  • パイク・プレイス・マーケットからスタートし、オーバールック・ウォークでウォーターフロントへ。
  • 新しくなったシアトル水族館ピア62のイベントを楽しむ。
  • ワシントン州フェリーでベインブリッジ・アイランドに行き、島時間を体験。
  • オリンピック・スカルプチャー・パークからウォーターフロント沿いを南に歩き、湾を眺めながら公園や広場が点在するエリアでのんびりする。
  • オーバールック・ウォークやピア62で夕暮れを楽しむ

観光客だけでなく、地元民にとっても「再発見」の場になっているのが現在のウォーターフロントです。

先住民の歴史と都市計画としての再開発

2025年2月に完成した、先住民の文化を反映する新しいアート作品。手前の柱の彫刻は「戦士」を表している。
Copyright © 2025 Office of the Waterfront and Civic Projects

現在のシアトル・ウォーターフロントにあたるエリアは、長年にわたりドゥワミッシュ族(Duwamish)やスカジット族(Skagit)など、ワシントン州沿岸に暮らす先住民の人々の生活拠点でした。エリオット湾沿いには漁や貝の採取が可能な豊かな沿岸環境が広がり、集落や季節的なキャンプが点在していました。

2025年2月、スアクワミッシュ部族とマクルシュート部族との協力のもと、この地域の先住民の文化を反映した新しいアート作品がウォーターフロントに設置されました。このアートは、シアトル出身でロサンゼルス在住のオスカー・トゥアゾンが手がけたもので、22組のダグラス・ファーの柱と梁、6本の柱でサリッシュの伝統的な家の柱を現代的に表現しています。彫刻家のランディ・パーサー(スクアミッシュ族)、タイソン・シモンズ(マックルシュート・インディアン族)、キース・スティーブンソン(マックルシュート・インディアン族)も制作に参加しました。詳細はこちら

Historylink.org によると、最初にイギリス海軍のジョージ・バンクーバー船長が海からこの土地を観察したのは1792年5月で、1833年にハドソンズ・ベイ・カンパニーが現在の州都オリンピアの近くに砦を建設し、1841年にアメリカ合衆国海軍のチャールズ・ウィルクス中尉がシアトルの港となる地域を測量しています。

1850年代にこの地域にやってきた白人の入植者は、先住民のドゥワミッシュ族の酋長(チーフ)に敬意を表し、村の名前を酋長の名前に似た “Seattle” に決定しました。しかし、チーフ・シアトルを含む先住民の多くはアメリカ合衆国との1855年のエリオット条約により近くの先住民居留地に移住させられてしまいました。

その後、シアトルのウォーターフロントは港湾施設と鉄道の整備に始まり、商業・輸送の拠点としての役割を担うようになります。そして、20世紀には港湾の埋め立てが進み、海と街の距離が広がっていきました。

1950年代に建設されたアラスカン・ウェイ高架橋は、当時の車社会に対応する交通インフラとして機能しましたが、結果的にウォーターフロントとダウンタウンの街並みを分断し、海辺へのアクセスを困難にする障壁となっていました。しかし、2001年のニスカリー地震によって損傷し、老朽化と安全性に懸念が生じたことから2019年に撤去され、市はウォーターフロントを再設計し、都市と自然、人と海が再びつながる空間を目指す大規模プロジェクトを推進しています。

  • URLをコピーしました!
目次