アメリカ本土で日本から一番近い街、シアトル。南樺太(サハリン)やニューヨークよりも北に位置していますが、太平洋の暖流と山脈の地形に守られ、気候はおだやかです。
夏はカラッとして気持ちよく、冬は雨が多いけれど雪はめったに積もりません。でも最近は夏に、「エアコンが必要な日」が増えるなど、少しずつ変化も起きています。
NOAA(米国立海洋大気局)の最新データをもとに、在住者が日々感じている「シアトルのリアルな四季」をお届けします。渡米・移住を考えている方はもちろん、旅行で訪れる前にもぜひチェックしてみてください。
シアトルの月別平均気温(NOAA 1991〜2020年平年値)
まずは、気になる気温から確認してみましょう。
| 月 | 平均最高気温 | 平均最低気温 |
| 1月 | 9℃ (48℉) | 3℃ (38℉) |
| 2月 | 10℃ (50℉) | 3℃ (38℉) |
| 3月 | 13℃ (55℉) | 6℃ (42℉) |
| 4月 | 16℃ (60℉) | 7℃ (45℉) |
| 5月 | 19℃ (66℉) | 10℃ (50℉) |
| 6月 | 22℃ (72℉) | 13℃ (55℉) |
| 7月 | 25℃ (77℉) | 14℃ (58℉) |
| 8月 | 25℃ (77℉) | 14℃ (58℉) |
| 9月 | 22℃ (71℉) | 12℃ (54℉) |
| 10月 | 16℃ (61℉) | 9℃ (48℉) |
| 11月 | 11℃ (52℉) | 6℃ (42℉) |
| 12月 | 8℃ (47℉) | 3℃ (38℉) |
春(3〜5月):のんびり、ゆっくりやってくる

シアトルの春は、とてもゆっくりやってきます。3月や4月になっても曇り空が多く、「もう春のはずなのに」と肌寒く感じる日が続きます。ワシントン大学の桜が満開になる時期でも、ジャケットは手放せません。
シアトルでの過ごし方:日が差すと一気に暖かくなりますが、朝晩は冬のような気温になることもあります。そんな気温の変化に合わせた重ね着が便利。ジャケット、スカーフ、帽子などを持参しておくと、何かと重宝します。
ここがリアル!:日本の「桜前線」のようなはっきりした春の訪れはありません。それでも、3月に入ると特にワシントン大学のソメイヨシノの開花状況がニュースになり、4月には北米最大のチューリップ・フェスティバルが開催され、春が近づいているのを感じさせます。そして5月に入ると青空が広がって新緑がきらめく日が増えて、「ああ、春だな」と心が躍る瞬間が必ず来ます。
夏(6〜8月):シアトルが一番輝く、最高の季節

©︎Rachael Jones
6月も年によって夏らしくない肌寒い日があります。なので、「独立記念日(7月4日)を過ぎてからが本当の夏」と言われるほど、シアトルの夏は短くて貴重です。湿気がなくカラッとしているので、気温が上がっても東京の夏ほど不快に感じません。
日が長い!:夏至のころには日の入りが午後9時を過ぎ、夜10時近くまで空が明るいままです。仕事のあとでもたっぷり外で過ごせる、シアトルの夏ならではの魅力です。
エアコン事情に変化アリ:かつては「エアコン不要の街」と言われていましたが、2021年の記録的な熱波(ヒートドーム)でシアトルは史上最高気温108℉(42℃)を記録。その後、シアトル大都市圏のエアコン(AC)設置率は2019年の44%から2021年には53%に跳ね上がりました(米国勢調査局 American Housing Survey)。特に、集合住宅や、室内の温度が上昇しがちな住宅では AC を備えておいて損はない時代になっています。
ここがリアル!:家探しをするときは「Does the unit have AC? (エアコンはありますか?)」と確認するのがマストになりつつあります。南向きや上階の部屋は夏場にかなり暑くなるので、特に注意が必要です。
秋(9〜11月):しっとり、雨の季節のはじまり

© Junko
9月に入ると空気がすっと入れ替わり、シアトルらしい曇りの日が増え、「雨の季節」の前触れを感じるようになります。とはいえ、霧雨のようにしとしとと降るのがシアトルの雨の定番。きれいな紅葉も楽しめます。
傘は使わない?:地元では「傘をさすのは観光客だけ」なんてジョークがあるほど、防水加工のフード付きジャケットが普段着の人も多いです。傘よりも、撥水性のあるアウターを何枚か持っておく方が、シアトルではずっと実用的かもしれません。
ここがリアル!:11月はシアトルで一年で最も雨が多い月で、平均降水量は約160mm(6.3インチ)にもなります(NOAA平年値)。移住したばかりの人は「こんなに曇りの日が続いて、雨が降ったり止んだりするの?」と驚くことも多いです。雨の日の運転や徒歩での移動はストレスになるかもしれません。
冬(12〜2月):通称「ザ・ビッグ・ダーク」

地元で冬を指す言葉、それが「The Big Dark(ザ・ビッグ・ダーク)」です。朝8時ごろまで暗く、午後4時を過ぎるともう日が暮れていく。12月の冬至には一日の日照時間がわずか約8時間30分しかありません。太陽が本当に恋しくなる季節です。
雪にはめっぽう弱い:雪が降ることはとても珍しく、坂道の多い地形のせいで、少し積もるだけで交通が大混乱することがあります。積雪地帯から来る人は「これくらいで?」と思う方もいるかもしれませんが、自分が大丈夫でも、周りが大丈夫でない場合を考えて、積雪時は無理をしないのが安全です。
ここがリアル!:日照不足で気分が落ち込む「冬季うつ(Seasonal Affective Disorder/SAD)」は、シアトルでは珍しくない話題です。光療法ランプ(Light Therapy Lamp)を活用したり、ビタミンDを意識して摂ったりしている人も多くいます。「なんとなく気分が上がらない」と感じたら、早めに対策を。一方で、車で1〜2時間の山では本格的なスキーやスノーボードが楽しめますし、カフェで温かいコーヒーを飲みながら外の雨を眺める時間も、冬のシアトルならではの贅沢です。
まとめ:シアトルの気候、渡米・移住前に知っておきたい5つのこと
- 旅行・引っ越しのベストシーズンは夏(7〜9月)。青空が続き、屋外イベントも充実しています。
- 雨対策は「傘」より「撥水アウター」。シアトルではアウトドアジャケットも普段着です。
- 物件選びはエアコンの有無を確認。2021年の熱波以降、必須チェック項目になっています。
- 冬の「暗さ」には早めの対策を。光療法ランプやビタミンDで心も体も元気に過ごしましょう。
- 雪の日は余裕を持った行動を。交通が乱れやすいので、無理は禁物です。
シアトルの気候が自分に合うかどうか、まずは一度足を運んでみるのが一番です。街が最も輝く夏に訪れれば、シアトルがものすごく美しく見えるはず。一方で、雨に濡れた街並みや冬の静かな空気も、この街の大切な一面。それぞれの季節に合わせた服装を準備して、シアトルを楽しんでください。
NOAA 気候平年値(1991〜2020年)
NWS シアトル 日次気象レポート
NOAA climate.gov 気候グラフ

