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シアトルでアウトドア: シアトルからポートランドまで自転車で走ってみました!

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“1 Day Rider” のメダル。

長い冬が終わって春になると、シアトル近郊の街はどこでも自転車で通勤、通学をしている人がたくさん。特に最近のエコ指向もあって、バスと自転車をうまく使いながら長い距離でも車を使わずに通勤する人が増えているので、ますます健康的な都市になるシアトル。そんな雰囲気に刺激されて、シアトルからポートランドまで走ってしまいました。ということで、STP 体験記 2017年版です(2009年版はこちら)。

東京から名古屋 = シアトルからポートランド

「シアトルからポートランドまで」と言ってもなかなかその長さが伝わりませんが、間違いなく普通は自転車で行くような距離ではありません。STP で走る自転車のコースがどのくらい長いかと言うと、

・およそ320キロ
・クルマで時速70キロでも約4.5時間
・シアトルの駅からポートランドの駅まででもアムトラックで4時間ちょっと

つまりクルマでも休憩なしでずっと運転するにはちょっと長いな、と思うくらいの距離です。ちなみに320キロは日本に置き換えると、

・東京から名古屋 (350キロ)
・大阪から広島 (330キロ)
・新潟から東京 (320キロ)

とほぼ同じくらいの距離。日本に比べると平坦な地形なので単純な比較にはなりませんが、それでもどれだけ遠いのか、少し想像していただけましたか?そう、とにかく遠いのです。

シアトルは自転車にやさしい街

シアトル近郊は決して平坦ではない地形にも関わらず、自転車専用レーンを増やし、自転車と歩行者専用のトレイルが増えています。行政機関も非常に熱心にサポートしており、シアトル市やベルビュー市、レドモンド市などは自転車利用者のための地図を市のホームページで無料で配布しているほどです(シアトル市ベルビュー市レドモンド市)。

さらに、バスなどの公共交通機関による自転車のサポートも自転車の利用を後押ししています。筆者の勤務する会社では自宅近くのバス停まで自転車を利用し、バスに乗車している間はバスの前方に設置されているバイクラックに自転車を乗っけてオフィスまで通勤する人が毎朝たくさんいます。1万人が参加する320キロのバイクイベントが毎年行われるなりの豊かな自転車文化があるんですね。

16時間以内にポートランドのゴールを目指す!

さてSTP当日、筆者は台湾からこのイベントのためにやってきた友人とともに午前4時45分にワシントン大学駐車場のスタートラインからスタート。STPは午前4時45分から午前7時までの間の好きな時間にスタートできるのですが、一日でポートランドを目指す人は午後9時まで、16時間以内にゴールしなければならないので、ほとんどの人が午前4時45分の号砲とともにスタートします。320キロを16時間以内、つまり休憩時間もすべて含め、平均1時間20キロでペダルをこぎ続けければゴールできません。さぁ、楽しんでいこう!

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朝4時45分のスタート。カラフルなウェアと自転車の行列。

100キロ地点で自転車が壊れる、まさかのリタイア?

筆者は普段ランニングをしているのでよくマラソン大会に出るのですが、自転車も同じ長距離なので同じようなものだろうと思っていたら、結構雰囲気が違うのです。

走り始めて5分とたたないうちに凸凹がたくさんある道に差し掛かったとき、あちこちのライダーから、「ここは気をつけて」と声がかかり、その1分後くらいに前からクルマが来た時には「クルマが来るよー」(Bike up!)と声がかかり。このやり取りで一瞬にしてサイクリング・イベントが好きになってしまいました。この雰囲気はちょっとマラソン大会にはないですね。タイムレースではないということも影響しているかもしれませんが、このアットホームな感じは、ちょっと今まで経験したことのない素晴らしい体験、これはぜひ相棒にも経験させたい!

新しい刺激を受けながら快適に進み、午前9時前には100キロ地点を通過、かなりいいペースで進んでいたところでトラブル発生。線路を越えるところでハンドルの操作を誤って、かなり激しく転倒、その影響でなんと後輪の変速機(リアディレイラー)が自転車のフレームから脱落してしまったのです。これはリタイアするしかない、と思ったところで、そういえば2キロほど前にサポートステーションがあったなと、動かなくなった自転車を担ぎながらそこまで戻ることに。試しに相談したところ「ゴールするまでの応急処置ならなんとかなるよ!」と、なんとも心強い言葉!結局トラブルが起こってから1時間以上かかりましたが、無事、イベントに戻ることができました。

それにしても素晴らしいのは、一緒に走るライダーたちのサポートです。転倒したときに次々にたくさんのライダーが止まってサポートをしてくれました。みんなあと200キロあるのに。サポートしていただいたみなさん、ありがとうございました。みんなゴールできたかな。

ちなみに、こうしたサポートステーションはおおむね10マイルに1ヵ所ほどありますが、サポートを受ける場合、ほとんどが現金のみ。この記事を読んで来年やってみよう!と思った方は、必ず現金を携帯しておきましょう。パンクやチェーンのトラブルは必ず起こると思って用意したほうがいいので、最低でも100ドルくらいは現金を持っておくといいでしょう。また、ルート上にいくつもある線路には十分ご注意を。自転車のタイヤがとられて転倒する人が(私だけでなく)結構たくさんいました。

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応急処置中の自転車。幸運にも応急処置がゴールまで持ってくれました。

平坦だけど大変

シアトルからポートランドまでの道のりは“比較的”平坦ですが、まっ平なわけではありません。シアトルからポートランドまで、合計ののぼりは約2000メートル、特に後半になると小さな丘が果てしなく続くような場所が続き、小刻みな上り下りが残り少ない体力を否応なく奪っていきます。公式ガイドに掲載されている高度表は細かい上り下りが省略されてしまっていますので、ぜひこちらの実測データを参考にしてください。この小刻みな上下はペダルをこぐと本当に大変、です。

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シアトルからポートランドまでの高度。小刻みな上下はとにかく大変。

休憩・水分・食料補給

ゴールするためにもっとも大事なのは、適切な休憩と継続的な水分、食料の補給です。どんなに速い人でも10時間以上は運動し続けることになるので、継続的に水分と食料を補給することが重要になります。

筆者は平均して一時間に一回は自転車上でプロテインジェル、水分は適宜補給しましたがそれでも常に空腹感があるくらいでした。何しろ一日で6,000カロリーは消費することになります。普段ダイエットに気を使っている人も、STPの時だけはどれだけ食べても大丈夫。また、コース上に5か所設置されている大規模な休憩所はできるだけ利用したほうがいいでしょう。

筆者は前述のトラブルが発生してしまったので中間地点になるセントラリアと、後半二か所設置されている休憩所しか利用しませんでしたが、時間が許す限りしっかり休憩をとってゴールを目指したほうが、体力を保ちながらレースを楽しめると思います。

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休憩所で無料で食べられる果物とサンドイッチ。スイカっておいしいんですね。

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最後の休憩所セントへレンズ。ポートランドまであと40キロ。みんなヘトヘト。

やってみるなら一日で。日曜日はポートランド観光を楽しんで。

STP は時間を競うレースではありませんので自分のペースで楽しめばいいのですが、やるなら一日で完走することをお勧めします。一日で完走すれば日曜日ポートランド観光を楽しんでシアトルに帰る時間がありますからね!ポートランドのおいしいお昼ご飯とショッピングを楽しんでたっぷり週末を楽しめます。

それともう一つ、土曜日のゴール地点には "One Day Rider!" とプリントされた T シャツが販売されています。これを着て日曜日ポートランドで街を歩けば、歩くだけでヒーローです。街を歩く人みんなが、「シアトルから自転車で来たのか!ポートランドを楽しんで!」と、きっと満面の笑みで声をかけてくれるはずです。それだけでもっと街に溶けこめたような気持ちになって、きっといい週末を楽しめますよ。

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夜9時まで続く完走者。見学している人みんなとハイファイブ!!

掲載:2017年7月

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