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スターバックス、希少コーヒー豆 『リザーブ』 の焙煎工場&テイスティング・ルームをシアトルにオープン

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Starbucks Reserve and Tasting Room

リザーブ®・ロースタリー・アンド・テイスティング・ルーム
Photo courtesy Starbucks. Photo: MG PHOTOGRAPHY LLC

世界66カ国に約2万1千店舗を展開するスターバックスが、5日、希少価値のある高級コーヒー豆のライン 『スターバックス リザーブ®』 の焙煎工場を中心に備えたリザーブ®・ロースタリー・アンド・テイスティング・ルームをシアトルのキャピトル・ヒルにオープンした。巨大資本を投じて高級志向の市場拡大を目指す、新しいスターバックスの旗艦店だ。

5日朝、一般客や報道陣が開店前から列をなす中、扉を開けたのは、ハワード・シュルツ最高経営責任者(CEO)兼会長。

“Welcome to the Roastery! Please come in!”

(ロースタリーへようこそ!お入りください!)

世界各地の1,500店舗へ送られる豆を焙煎

重厚な木の扉をくぐった瞬間、コーヒーの香りに包まれた。天井が高く、ウッディなスペースは、総面積1万5千平方フィート(1394平方メートル、約422坪)。大きな焙煎機が強烈な存在感を放つ焙煎工場を中心に、カフェ、図書室、ショップ、ラウンジスペース、そしてトム・ダグラスのレストランが、実際に歩いてみてようやく見られるように配置されている。

Starbucks Reserve and Tasting Room

『リザーブ』 の豆だけを焙煎するロースター
 Photo courtesy Starbucks. Photo: MG PHOTOGRAPHY LLC

焙煎工場に備え付けられた Probat 社製の焙煎機は2つ。容量50ポンドの小型は同店で消費・販売される豆を焙煎し、容量260ポンドの大型は2015年末までには世界各地に開店予定の1,500のリザーブ® 店舗に送られる豆を焙煎するという。焙煎の工程はインディペンデント系ロースターでも見ることができるが、ここまで大規模ではない。焙煎されている豆の名前と原産地が古風なディスプレイに表示され、トイレの洗面台からもその工程の一部が見えるように設計するなど、”あらゆる角度から見る面白さ” を徹底的に追求している。

ライブ感のあるコーヒー・バー

正面のカフェの中央にあるガラスのサイロには、目の前にある焙煎機で焙煎されたばかりの豆が常に5種類並ぶ。世界各地からの入荷状況でラインアップは変化するが、焙煎機からチューブを通ってきた豆がザラザラとサイロの中に落ちていくライブ感は、旗艦店だけの特権だ。

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カフェのサイロには常に5種類の豆がラインアップし、注文時に好みにあわせて選ぶことができる
Photo courtesy Starbucks. Photo: MG PHOTOGRAPHY LLC

まずは、旗艦店だけで味わえるパンテオン・ブレンド No.1にトライしてみよう。希少な豆を最高の状態で体験してもらうためのパーソナルな対応の訓練を受けているバリスタに好みを伝え、「それならドリップではなく、やはりエスプレッソで」といったおすすめをしてもらうことができるのも同店ならでは。「次から次へと入る注文を手作業でこなすと最高の味にならない」という考えの下でコンピュータ制御されているポア・オーバーを体験するのもよし、フレンチ・プレスや人気を博しているサイフォン、Chemex などを試してみるのもよし。どのドリンクも、オーダーを受けてから一杯ずつ作るので時間はかかるが、腰を落ち着けてじっくり体験するチャンスでもある。アメリカーノなら、スモール/トールが3.50ドル、グランデが4ドル。ラテやカプチーノなら、スモールが4ドル、トールが4.50ドル、グランデが5.50ドル。そしてモカは、スモールが5ドル、トールが5.50ドル、グランデが6.50ドルで味わえる。

Starbucks Reserve and Tasting Room

コンピュータ制御したポア・オーバーを味わえるコーヒー・バー。
Photo courtesy Starbucks. Photo: MG PHOTOGRAPHY LLC

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最新の機材でも Chemex でも、注文を受けてから一杯ずつ作られる。

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数年前にシアトルの高級レストラン、カンリスとジャングルシティが共催したコーヒーのイベントで講師を務めてくれたコーヒー・エデュケーター、メイジャー・コーエン氏と再会。

Starbucks Reserve and Tasting Room

1920年築の建物を最大限に生かした外観。
Photo courtesy Starbucks. Photo: MG PHOTOGRAPHY LLC

1920年築の建物を最大限に生かし、手仕事によるオリジナリティを重視

この旗艦店があるのは、モダンな高層ビルやコンドミニアムの建設が急ピッチで進む、ダウンタウン・シアトルとサウス・レイク・ユニオンに隣接するキャピトル・ヒルの Pike Street(パイク・ストリート)。かつては自動車ディーラーが軒を並べ、”Auto Row” と呼ばれたこのストリートの歴史を保存しつつ開発を推奨するシアトル市議会は、建物の特徴的要素をすべて保存することを開発の条件と定めているが、スターバックスはクリエイティブ&グローバル・デザイン VP のリズ・ミューラー、コンセプト・デザイナーのアンドレ・キムとともに、かつて画材道具店・自動車販売店だった1920年築の建物を最大限に活かし、新しいスターバックスを生み出すことに見事に成功した。外壁はほぼそのままで、屋根の上にはリザーブ®のロゴのネオンサインがあるのみ。おなじみの緑のロゴはなく、木彫りのオリジナルロゴが入口に掲げられているだけなので、すでにこの地域になじんだ感がある。

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コーヒー・エクスペリエンス・バー。

階下にあるコーヒー・エクスペリエンス・バーでは、サイフォンや Chemex などでコーヒーを楽しめる上、カウンターにすわればコーヒー・マスターからコーヒーについてレクチャーを受けることもできる。隣の図書室では、コーヒー関連の蔵書を読んだり、くつろぐ人たちやミーティングをする人たちがいた。

スタッフがデザインに関わった家具。シアトルの職人によるエプロンや手すりの革カバー。ロースターに打ち付けられた世界地図。ラテアートとスペースニードルにインスパイアされた照明。窓伝いに並べられたコーヒーの木。コーヒー豆の栽培から収穫までを描いたオブジェ。夜には映像を映すスクリーンになる窓。そして、Pike Street をダウンタウンから上がってくると巨大なロースターが目に入るようにデザインされた窓。「このロースタリーは、長年にわたる夢の実現。そして次世代のスターバックスの始まり」とのハワード・シュルツ最高経営責任者(CEO)兼会長の言葉にも納得だ。

Starbucks Reserve and Tasting Room

焙煎されたばかりの豆が購入できる、スクープ・バー
Photo courtesy Starbucks. Photo: MG PHOTOGRAPHY LLC

1971年の創業から43年の間に同社が培ってきた知識・技術・こだわりを総動員し、巨大資本を投じて高級コーヒー市場に本格的に参入したスターバックス。リザーブが飲める店舗は各地にあるが、リザーブの豆のみを使った店舗はこの旗艦店が初。2015年にはシカゴやロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントン DC などで同じくリザーブの豆のみを使った店舗を100店舗開店し、2016年にはアジアから海外展開するという。今や「角を曲がればスタバがある」と言われるほどの店舗数を誇るスターバックスだが、こだわりのリザーブ専門店は、舌の肥えたコーヒーを求める消費者に改めてその存在感を強烈にアピールすることになりそうだ。

Starbucks Reserve Roastery and Tasting Room
1124 Pike Street, Seattle, WA 98101
Phone:(206) 624-0173
roastery.starbucks.com

掲載:2014年12月



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