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WHO によるパンデミック宣言から1年。大変な一年でした。

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WHOが「COVID-19はパンデミックといえる状態」と宣言してから今日で丸一年。

大変な一年でした。

アメリカで最初の感染者がここワシントン州で報告されたのが昨年1月21日。

そして2月29日に、アメリカで最初の新型コロナウイルス感染による死亡者がキング郡で報告されました。

これを受けて、同日、ワシントン州のジェイ・インスリー知事が非常事態宣言を宣言。

3月11日には WHO が「COVID-19はパンデミックといえる状態」と宣言し、ワシントン州では知事が州全域に段階的な自宅待機命令(『Stay Home, Stay Healthy』)を出したことで、大きな変化が次々と起きました。

閑散としたベルタウン

3月26日に全面的な自宅待機に入った時の街の様子が思い出されますね。

でも、夏には状況が良くなり、段階的な再開が始まって少しホッとしたのもつかの間、秋になってまた状況が悪化し、11月から再び対策が強化され、今は新しい経済活動・社交再開計画『Healthy Washington』の「フェーズ2」で感染対策が続けられており、今日、3月22日に全郡がフェーズ3に移行することが発表されました

この一年、ジャングルシティでも主なニュースを「新型コロナウイルス感染症 アメリカ、ワシントン州の主なニュース」でお伝えし続けてきました。

前政権は当初からパンデミックを軽視する発言を繰り返し、マスクを政治利用して対立を生み出すツールにすることに成功してしまい、それを支持する州では、知事が公衆衛生局の呼びかけを無視していたり、感染対策を個人の自由や政治的信条の主張に置き換えていたりと、バラバラなところもあります。

キング郡が出したマスクの着け方指南

でも、振り返ってみると、感染対策は個人レベルで非常に幅があるものの、ワシントン州はそういう動きとは一貫して一線を画し、当初から州・郡・市の政府、州と郡の公衆衛生局が一丸となって同じメッセージを発信し続けているんですよね。この新しいウイルスについてさらに詳しいことがわかるにつれて変更かつ強化されても、それは変わりません。これはワシントン州の特徴の一つと言えるかと思います。

今日、ニューヨークタイムズが掲載した記事「Seattle’s Virus Success Shows What Could Have Been」でも、それが今、シアトル地域の死亡率が全米20大都市圏の中で最も低いという結果に貢献していることの一つに挙げられています。

「もし米国の他の地域がシアトルに追いついていれば、米国は30万人以上のコロナウイルスによる死亡を回避できたはずだ」

その他の理由として、公衆衛生の専門家は「健康な人々が少人数の家庭に住み、自宅で仕事ができる労働者が多いという人口統計上の利点があった」と考えているとのこと。さらに、「シアトルは、国内で初めて死者が報告されたショックから、規制に対する社会的な支持を得られたのかもしれない」「科学者によれば、冬季はそうではなかったかもしれないが、湿度が高かったことも助けになった」と指摘しています。

また、研究者は、「シアトルは、グローバルヘルスに焦点を当てた研究機関や慈善団体のネットワーク、彼らの意見に耳を傾ける政治家、早めにリモート勤務を始めた企業、人を救うために自分の生活を犠牲にする意思を何度も示した住民の存在も大きかった」と振り返っています。

アメリカの地理や状況がわからないと、「アメリカは」「アメリカでは」とひとくくりにしがちですが、州、郡、地方で状況も対策もかなり異なるのが現実。日本の約半分の面積のあるワシントン州でさえカスケード山脈の西部(シアトルのある側)と東部で状況が異なっていたぐらいですから、日本の約26倍の面積のあるアメリカ全体なら地方でどんなに異なるか。現実にここに住んでいる人にとっては、普段以上に、自分がどういう州・地域に住んでいるか実感する機会になりました。

もう一つ、ワシントン州保健局シアトル・キング郡公衆衛生局などが力を入れているのは、英語を母国語としない州民のために、日本語を含む多言語で情報を発信し続けていること。そこには、言語の壁によって、感染が広がったり、ワクチンを接種しなかったりといった状況は避けなくてはならないという思いがあります。

ジャングルシティもワシントン州保健局とのプロジェクトとして新型コロナウイルス感染症とワクチンに関する情報を提供していますが、そこで改めて感じるのは、その人が理解できる言語で情報を提供しても、言語そのもの以前の問題への対処も同時に必要であるという事実です。

例えば、ワクチンの増産・接種の加速化がニュースになるようになってから特に耳にするのが、「予防接種を受けられるにも関わらず、予防接種を躊躇したり拒否したりすること」を意味する「Vaccine Hesitancy」。

これは何も目新しいことではなく、すでに WHO が2019年に『世界的な健康に対する脅威のトップ10』に挙げ、その理由として、「Complacency」(自己満足)、「Inconvenience in accessing vaccines」(予防接種を受ける煩わしさ、「Lack of confidence」(信頼の欠如)を指摘しています。

パンデミックも2年目に入りましたが、ジャングルシティとして引き続き丁寧な情報提供を続けていく必要があると改めて思いました。

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