オリンピック半島の東端に位置するポート・タウンゼンド(Port Townsend)は、人口約1万1千人の小さな港町。ビクトリア様式の美しい建築が並ぶ歴史保存地区が街の中心にあり、夏でも涼しい気候から避暑地としても人気を集めています。シアトルのテレビ局 King 5 の番組『Evening Magazine』のアンケート「Best of Northwest」では Best Place to Kiss に選ばれたこともあり、海に面したロマンチックな街並みを散策する人々でにぎわいます。
夏を楽しむ観光地
ポート・タウンゼンドの夏は、平均最高気温が 65〜71°F(18〜22℃) 前後と過ごしやすく、最も暑い8月でも 74°F(23℃) 程度。平均最低気温は 53°F(12℃) ほどで、夜も快適に過ごせます。海風が心地よく、散策や屋外イベントにぴったりの気候です。
毎年夏にはジャズ・フェスティバルや木製ボート・フェスティバル、オリンピック音楽祭、秋にはポートタウンゼンド映画祭など文化イベントが次々に開催され、町全体が活気づきます。
歴史を物語る町並み
1792年、探検家ジョージ・バンクーバー船長が友人の名にちなんで「Port Townsend」と命名。1851年に町が公式に設立されると、将来の西海岸最大の港として「City of Dreams」と呼ばれるほど期待されました。
19世紀後半には人口が急増し、当時建てられたビクトリア様式の建物は今も観光の見どころになっています。やがて鉄道計画が頓挫し町は停滞しましたが、そのおかげで歴史的建築が良好な状態で保存され、今日では芸術家や観光客を惹きつける要因となっています。
ポート・タウンゼンドへのアクセス
ポート・タウンゼンドへのアクセスは、ワシントン州フェリーと車を組み合わせるのが一般的ですが、出発地によってルートが異なります。
シアトルから
シアトル・ウォーターフロント(ピア52)からワシントン州フェリーに乗り、ベインブリッジ・アイランドへ(約35分)。島に到着後は車で約47マイル(約75km)、およそ1時間半でポート・タウンゼンドに到着します。
エドモンズから
シアトル北方のエドモンズからワシントン州フェリーに乗り、キングストンへ(約30分)。そこから車で約42マイル(約68km)、約1時間15分のドライブで到着します。
タコマから
タコマ方面から向かう場合はフェリーを使わず、タコマ・ナローズ・ブリッジを渡って北上するルートがあります。橋を越えた後はハイウェイを通り、車で約2時間半ほどでポート・タウンゼンドへ。ワシントン州フェリーの待ち時間を避けたい人には便利です。
フェリー好きな人に
車でワシントン州フェリーを乗り継ぐ方法もあります。マカティオからクリントンに渡り、車でクープビルまで行き、クープビルからまたフェリーに乗り、ポート・タウンゼンドに到着することができます。

観光案内所
Port Townsend Visitor Information Center
住所:2409 Jefferson Street, Port Townsend(地図)
電話:(360) 385-2722
公式サイト:enjoypt.com
主な観光スポット一覧

Greg Balkin / Courtesy of State of Washington Tourism
1. Fort Worden Historical State Park
1898〜1920年にアメリカ合衆国の沿岸砲台として建設され、第二次世界大戦後は州立公園になりました。広大な敷地に、たくさんの歴史的建造物が残されています。キャンプ場、レストラン、劇場などもあり。シカなどの野生動物が見られることも。
公式サイト:parks.wa.go
2. Point Wilson Lighthouse
最初の灯台は1879年に完成。1914年に現在のコンクリート製灯台に更新され、1976年に自動化。州の遺産登録や国登録にも指定されています。
公式サイト:parks.wa.gov

Greg Balkin / Courtesy of State of Washington Tourism
3. Rothschild House(ロスチャイルド邸)
1868年に建てられた住宅。現在はジェファーソン郡歴史協会が運営するミュージアムとして公開されています。
公式サイト:www.jchsmuseum.org
4. U.S. Post Office – Port Townsend Main(郵便局)
1889〜1893年にロマネスク様式で建設された郵便局
5. Jefferson County Courthouse(裁判所)
1892年着工、ロマネスク・リバイバル様式。143フィートの塔があり、1973年に国立歴史登録財になりました。
公式情報:wacourthistory.org
6. Port Townsend Historic District(歴史地区/Water Street など)
19世紀後半に発展したビクトリア様式の街並みがそのまま残る歴史地区。海沿いの散歩が楽しめます。
公式情報:enjoypt.com/play/historic-sites/
7. Bell Tower(ファイア・ベル・タワー)
1890年に建設された木造の火の見やぐらで、ワシントン州で現存する数少ない消防鐘楼のひとつ。火災発生時に鐘を鳴らして市民に知らせる役割を果たしました。現在も街を見下ろす高台にあり、1987年にアメリカ合衆国国家歴史登録財に指定。
公式情報:cityofpt.us
8. Port Townsend Farmers Market
1992年にスタートした地域密着型のファーマーズマーケット。地元の農家や職人を支える場として発展し、現在はワシントン州で最も評価の高いファーマーズマーケットのひとつに数えられています。新鮮な野菜や果物、パンやチーズ、アートやクラフト作品などが並び、地元住民だけでなく観光客にも人気です。ライブミュージックも楽しめて、コミュニティ感にあふれています。
開催時期:例年4月〜12月の土曜日(シーズン中は週ごとに開催)
住所:Tyler St. & Lawrence St., Port Townsend, WA
公式サイト:jcfmarkets.org/markets

©︎EnjoyPT
9. Whale Watching Tours(ホエールウォッチング)
ポート・タウンゼンドの港から出航し、オルカやザトウクジラなどを観察できるツアーがあります。海の上は気温が低いので、温かい服装がおすすめ。
ポート・タウンゼンドと映画
この町の風景は映画の舞台にも選ばれてきました。
- 『An Officer and a Gentleman(愛と青春の旅立ち)』(1982年)
リチャード・ギア主演。現在は州立公園となっている Fort Worden などで撮影。 - 『Snow Falling on Cedars(ヒマラヤ杉に降る雪)』(1999年)
イーサン・ホークと工藤夕貴が出演。フェリー乗り場で撮影。 - 『Farewell to Harry』(2001年)
ベインブリッジ・アイランド出身監督ギャレット・ベネットの作品。 - 『Enough(イナフ)』(2002年)
ジェニファー・ロペス主演。Water Street でのカーチェースやメモリアル・フィールドでのシーンを撮影。
まとめ
歴史を色濃く残す建築と、夏でも涼しい気候、そして文化イベントが魅力のポート・タウンゼンド。シアトルから気軽に足を伸ばせる距離にありながら、別世界に来たような体験ができる場所です。週末旅行や日帰りドライブに、ぜひ訪れてみてください。

