ワシントン州シアトルのワシントン・パーク樹木園内にあるシアトル日本庭園が、2026年夏、総額280万ドルの大規模改修プロジェクト「石垣ウォール&バリアフリー遊歩道」に着手します。老朽化した石垣の再建と、車いすやベビーカーでも安全に楽しめる周回遊歩道の整備が、その主な内容です。
60年以上にわたる歴史を持つ庭園

シアトル日本庭園の構想は1909年、アラスカ・ユーコン太平洋博覧会に遡ります。同博覧会で設けられた日本館と庭園がきっかけとなり、シアトルに日本庭園を造りたいという機運が高まりました。その後、1937年にはワシントン・パーク樹木園がその候補地として挙がったものの、当時の社会情勢と第二次世界大戦の勃発により、計画は中断を余儀なくされました。
戦後、機運が再び高まり、1957年に本格的な計画がスタートしました。著名な造園家・飯田十基と猪下清の設計のもと、1960年に完成したシアトル日本庭園は、1960年6月の一般公開以来、北米でも最高水準の日本式庭園のひとつとして広く知られるようになりました。現在では世界30か国以上から年間10万人を超える来訪者が訪れるほどです。
また、2008年にはシアトル市のランドマークに指定されており、その文化的・歴史的価値は行政にも公式に認められました。
2026年夏の改修スケジュール
今回のプロジェクトでは、庭園北側の石垣を全面的に再建するとともに、周辺遊歩道をバリアフリー対応に整備します。改修は以下のスケジュールで進む予定です。
- 2026年6月22日〜7月26日:解体工事のため全面休園
- 2026年7月中旬:一部エリアを先行再開放、工事の進捗を公開
- 2026年7月28日〜:石垣の再建工事スタート。夏の間、来園者は工事の様子を見学可能
第15代の石積み職人が日米チームを率いる
改修工事の中心を担うのが、第15代の石積み職人・粟田純徳氏です。日本から招いた職人チームとアメリカの職人たちが協力し、石を一つひとつ丁寧に積み上げる伝統工法で北側石垣を再建します。
この工程は一般公開され、庭園を訪れるゲストは夏の間を通じて、何世紀も受け継がれてきた希少な技を間近で観察することができます。
バリアフリー化で、より多くの人へ
今回の改修のもうひとつの柱が、バリアフリー遊歩道の新設です。周辺遊歩道の段差を解消し、車いす・ベビーカー・歩行器を使う方も安全に湖岸沿いを一周できるよう整備されます。年間10万人以上が訪れるこの庭園が、地域のより多くの人々にとって開かれた、心安らげる場所になることが期待されます。
工事期間中の見学について
全面休園期間(6月22日〜7月26日)を除き、工事期間中も庭園の一部は開放されています。ただし、工事の騒音が発生する可能性があるため、静かな雰囲気をお求めの場合は庭園南側エリアがおすすめです。詳細は庭園公式サイトのFAQページをご参照ください。

