アメリカのほとんどの地域では、11月1日にデイライト・セービング・タイムからスタンダード・タイム(標準時)に戻ります。これにより、シアトルと日本の時差は16時間から17時間になります(日本の方が17時間進んでいます)。
ところが、2026年11月1日は、少し事情が違います。
これまで、シアトルのお隣のカナダのブリティッシュ・コロンビア州(BC州)も同じように時刻の切り替えをしてきましたが、今年からずっとデイライト・セービング・タイムのままになるためです。つまり、冬の間だけ、ワシントン州との間に1時間の差が生まれます。
冬にカナダとアメリカを続けて訪れる旅行者や、日本からそれぞれに連絡する人も、時差の計算が変わることを理解しておかないといけなくなりました。
この記事では、2026年のデイライト・セービング・タイムの終了日と、日本・カナダ・メキシコとの時差をまとめました。知識として読む人にも、実際に国境を行き来する人にも役立つよう、場面ごとに見ていきます。
2026年のデイライト・セービング・タイムは11月1日に終了
デイライト・セービング・タイムは、日本では「サマータイム」と呼ばれる制度です。3月第2日曜日の午前2時に時計を1時間進め、11月第1日曜日の午前2時に時計を1時間戻します。
2026年
- 開始日:3月8日(日)午前2時
- 終了日:11月1日(日)午前2時
2027年
- 開始日:3月14日(日)午前2時
- 終了日:11月7日(日)午前2時
2026年のデイライト・セービング・タイム(DST)は11月1日に終わり、スタンダード・タイム(標準時)に戻ります。切り替えは午前2時で、時計を1時間戻して午前1時にします。10月31日(土)の夜は、1時間長く眠れる計算です。スマートフォンやコンピュータなどの時計は、ふつうは自動で切り替わります。
これにより、シアトルと日本の時差は16時間から17時間に戻ります。日本が午前9時のとき、シアトルは前日の午後4時です。次にDSTが始まるのは2027年3月14日(日)で、その日から時差は再び16時間になります。
デイライト・セービング・タイム(DST)を採用していない地域
アメリカ国内では、ハワイ州とアリゾナ州がデイライト・セービング・タイム(DST)を採用していません。ただし、アリゾナ州北東部のナバホ・ネイションは採用しています。米領のアメリカ領サモア、グアム、北マリアナ諸島、プエルトリコ、ヴァージン諸島も採用していません。
11月から3月まではカナダのBC州が1時間先に進む

11月から3月までの間は毎年、カナダのブリティッシュ・コロンビア州(BC州)がワシントン州・オレゴン州・カリフォルニア州より1時間進んだ状態になります。この期間のBC州は、アルバータ州の山岳部標準時と同じ時刻です。
ただし、BC州全体が同じとは限りません。州東部のイースト・クートニーやゴールデン周辺は、これまでアルバータ州に合わせて山岳部標準時と夏時間を切り替えてきた地域。この地域を訪れる場合は、現地の時刻を別に確かめてください。
BC州は、北隣のユーコン準州とは1年を通して同じ時刻になり、3月から11月まではデイライト・セービング・タイムを採用しているカリフォルニア州・ワシントン州・オレゴン州とも同じ時刻になります。
カナダとアメリカを行き来する時に起きること
一番影響を受けるのは、毎日のように国境を越えて通勤する人です。11月1日の週から、BC州側の始業が午前9時なら、ワシントン州の時計では午前8時になります。
また、移動時間の見え方も変わります。シアトルを正午に出て車で約3時間かけてバンクーバーB.C.へ向かうと、着いたときの現地時刻は午後3時ではなく、午後4時です。逆に南へ戻るときは、時計の上では2時間しかたっていないように見えます。長距離列車や飛行機の時刻表は出発地・到着地それぞれの現地時刻で書かれているため、乗り継ぎや迎えの時間を決めるときに注意が必要です。
国境の通過、仕事の電話、旅行の予定、国境の両側に家族がいる人のやり取りにも、この1時間の差が影響します。オンライン会議の招待を送るときも再確認が必要です。
カナダは州ごとに切り替えの有無が違う
カナダでは、時刻の切り替えをするかどうかを州や準州が決めています。BC州のほかにも、切り替えをしない地域があります。ユーコン準州は2020年に通年の夏時間へ移り、今は「ユーコン時間」と呼ばれています。サスカチュワン州はもともと時計を変えない州で、1年中中部標準時のままです。そのため、夏はアルバータ州と、冬はマニトバ州と同じ時刻になります。
オンタリオ州とマニトバ州にも通年の夏時間に移る法律や法案がありますが、いずれもアメリカ側や隣の地域が同じ措置をとることが条件です。このため、トロントやウィニペグは今年も11月1日に時計を戻します。
メキシコは国境の都市だけが切り替え
メキシコは2022年に新しい時刻の法律(Ley de los Husos Horarios)を定め、国内のほとんどの地域で時刻の切り替えをやめました。例外はアメリカと国境を接する北部の自治体で、アメリカとの行き来や取引に支障が出ないよう、アメリカと同じ3月の第2日曜日から11月の第1日曜日まで時刻を切り替えています。ティフアナなどの国境の都市がこの例外にあたります。
このため、行き先によってシアトルとの時差の変わり方が違います。
・ティフアナ(バハ・カリフォルニア州):シアトルと1年中同じ時刻
・ロスカボス(バハ・カリフォルニア・スル州):冬はシアトルより1時間進み、夏は同じ時刻
・メキシコシティ、プエルト・バジャルタ:冬はシアトルより2時間進み、夏は1時間進む
ロスカボスのあるバハ・カリフォルニア・スル州は、協定世界時より7時間遅い「太平洋ゾーン」に入っています。冬のシアトルから見ると、バンクーバーB.C.と同じく1時間先の時刻です。
日本との時差一覧(2026年冬〜2027年夏)


下の表は「日本時間から何時間引くと現地時間になるか」を示しています。
| 地域 | 2026年11月1日〜2027年3月14日 | 2027年3月14日〜(夏時間) |
|---|---|---|
| ハワイ | -19時間 | -19時間(切り替えなし) |
| アラスカ | -18時間 | -17時間 |
| 太平洋時間(シアトル、ポートランド、ロサンゼルス) | -17時間 | -16時間 |
| BC州(バンクーバー、ビクトリア) | -16時間 | -16時間(切り替えなし) |
| 山岳部時間(デンバー) | -16時間 | -15時間 |
| アリゾナ州(ナバホ・ネイションを除く) | -16時間 | -16時間(切り替えなし) |
| 中部時間(シカゴ) | -15時間 | -14時間 |
| 東部時間(ニューヨーク) | -14時間 | -13時間 |
デイライト・セービング・タイム(DST)の基本と「Spring Forward, Fall Back」

デイライト・セービング・タイム(DST)は、3月の第2日曜日の午前2時に時計を1時間進め、11月の第1日曜日の午前2時に1時間戻す制度です。日が長い季節の自然光を生かし、電力を節約することを目的に始まりました。連邦議会が1918年に標準時法を定め、1966年の統一時間法(Uniform Time Act)で今の形の土台ができました。
時計を進めるか戻すかは、「Spring Forward, Fall Back」というフレーズで覚えられます。英語のspring forwardには「前へ跳ぶ」、fall backには「後ろへ下がる」という意味があり、春(spring)と秋(fall)にかけた言い回しです。
通年DSTをめぐる連邦議会の動き
ワシントン州議会も2019年に通年DSTの法案を可決し、当時のインスリー知事が署名しました。しかし、州が通年の標準時を選ぶのは自由でも、通年のDSTには連邦議会の承認が必要で、ワシントン州は単独では切り替えをやめられません。同じように通年DSTの法律を持つ州は19州ありますが、いずれも効力が生じていません。
連邦レベルでは、2026年7月14日に連邦下院が日照保護法(Sunshine Protection Act)を308対117で可決しました。法案は通年DSTを全米に求める一方で、施行前であれば州が適用除外を選べる内容で、トランプ大統領も成立を繰り返し求めています。ただ、法案は上院で止まっており、上院が動かなければ今年も時計を1時間戻すことになります。
法案が成立し、ワシントン州が適用除外を選ばなければ、アメリカも通年、DST となります。
アメリカ睡眠学会は通年の標準時を支持
一方で、睡眠の専門家で構成されるアメリカ睡眠学会(AASM)は、「切り替えをやめるなら標準時に固定するべき」と主張しています。標準時のほうが体内時計に合い、安定した睡眠をとりやすいという理由からです。通年DSTにすると、冬の朝は日の出がかなり遅くなります。
時刻の切り替えで体調を崩さないために
1時間の差でも、体調に影響が出る人はいます。AASMは、春に時計を進めるときの対策として次のことを挙げています。
- 切り替えの前後の夜は、少なくとも7時間眠り、寝る時刻と起きる時刻をそろえる
- 数日前から、寝る時刻と起きる時刻を15〜20分ずつ早めていく
- 食事や運動の時刻も少しずつ合わせる
- 切り替えの前日は早めに時計を1時間進め、いつもの時刻に寝る
- 切り替えた日からなるべく外に出て、日の光を浴びる
BC州側の相手との11月以降の予定がある人は、まずカレンダーに入っている時刻が、どちらの都市の時刻で書かれているかを確かめるのを忘れずに。

