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1999年にワシントン大学ロースクールにてJ.D.、2000年にニューヨーク大学において税法の専門学位を取得後、ワシントン州の弁護士となりました。シアトルのダウンタウンにあるガーヴィ・シューバート・ベアー法律事務所でオーナー(パートナー)として相続・トラスト関係、贈与・遺産税関連を主に扱う他、弁護士会のセミナーや地域グループの集まりにしばしば講師として参加しております。また、業界で最低5年の経験年数を参加条件とする 『Estate Planning Council of Seattle』、および 『Washington Women in Tax』 のメンバーであり、ロンドンを基盤とする国際的な相続法関連プロフェッショナルの団体 『Society of Trusts and Estates Practitioners』 のシアトル支部の組織者、シアトル日本商工会の交流部会理事を務めるなど幅広い活動を行なっています。若手の弁護士のトップ2%の州内優秀弁護士を選出する 『ライジング・スター』 への度重なる選出歴に加え、2009年には 『Puget Sound Business Journal』 の 『40 Under 40』 プログラムにおいてシアトル地域ビジネス界の新進メンバーの1人に選ばれました。2002年11月の 『ぶらぼおな人』 もぜひご一読下さい。

ガーヴィ・シューバート・ベアー法律事務所
Garvey Schubert Barer
18th Floor
Second & Seneca Building
1191 2nd Avenue, Seattle, WA 98101
Phone: (206) 464-3939
Fax: (206) 464-0125
URL: www.gsblaw.com
※セールス・勧誘の電話・メールはご遠慮ください。
第12回: 2009年9月 アップデート

ジャングルシティの読者の皆様、お久しぶりです。今回、特別にアップデートをさせていただくことになりました。

他の分野と同じく、法律も常に変わっていきます。エステート・プランの関連法も、連載を終了した2005年6月以来、かなり変わってきています。
  1. 連邦贈与税

    連邦政府レベルで課される贈与税には毎年の年間控除(Annual Exclusion)がありますが(第9回参照)、控除額は毎年、物価の上昇にあわせて見直され、$1,000単位で上がります。2009年の控除額は$13,000です。米国市民でない配偶者への贈与の今年の控除額は$133,000です。

    生涯をかけて通算される贈与税免除額の$1,000,000に変更はありません。

  2. 連邦遺産税

    2009年1月1日より、連邦遺産税の免除額は1人につき$3,500,00に引き上げられました。従いまして、2009年に亡くなった方の遺産は$3,500,000以下であれば、連邦遺産税はかかりません。第10回で説明しましたとおり、この引き上げはあくまでも臨時のもので、2010年12月までに連邦議会が何らかの決定をしなければ、2010年に亡くなった人に限り遺産税は廃止、2011年からは免除額を$1,000,000に引き下げて遺産税が復活という異常な状態になってしまいます

    現実的にはおそらく今年中に何らかの法案が立法化され、控除額が今年の$3,500,000のレベルで継続されるか、それ以外の額に設定されることになると思われます。また、現行の法律では先に亡くなった配偶者の控除額を残された配偶者がフルに活用するためにはトラストを用いなければなりませんが、控除額を移転できるようにしてトラストを不必要とする、という案もあります。さらには、年末までに意見を取りまとめるのは大変だから、とりあえず上記の事態を避けるためにもう一年現状維持をするという「先延ばし案」も挙がっています。今のところどうなるかはまだわかりませんので、今後の展開を見守るしかありません。

  3. ワシントン州遺産税

    ワシントン州の遺産税の控除額は去年に引き続き$2,000,000です。州の法律では控除額が引き上げられる予定は今のところありません。従って、例えばワシントン州の住民で今年亡くなられた方で、遺産が$3,000,000あった方は、連邦政府に対しては遺産税の申告・支払いの義務はありませんが、ワシントン州政府に対しては申告義務があり、税金を支払うことになります。

  4. 税法の変化に伴うエステート・プラン更新の必要性

    これらの変化はどのような場合に影響があるかと言いますと、まず2002年以前に遺言書を作られた方は、当時の法律では2001年で$675,000、2006年までには$1,000,000という控除額を前提にしてプランが建てられています。上記の通り、控除額が$1,000,000にまた下がることは可能性としてゼロではありませんが、専門家の多くはそうはならないだろうと見ています。最低でも$3,500,000が継続されるだろうというのが、現時点での多くの専門家の見解です。

    そうした場合、普通に考えると、もっと控除額が低い時に税金がかからないように工夫したのだから、控除額が多くなっても何もする必要がないという結論になるのですが、実は必ずしもそうではないのです。

    夫婦の財産が控除額を超えることが予想される場合、税金の支払いを防ぐために、どちらか1人が亡くなったときにトラストを作ります。先に亡くなった方の財産をトラストに入れると、そのトラストに入っている財産は、もう1人が亡くなったときに課税対象となりませんので、課税を防ぐ、または軽減することができるのです。

    控除額が大きくなればなるほど、トラストを作らなくても課税を防げることになるのですが、遺言書にこのようなトラストを作ることが義務付けられていれば、必要でなくても作らなければなりません。と言うのも、遺言書は書かれてある通りに執行しなければならないからです。状況によっては受取人の間の合意でそれを避けることができる場合もありますが、どうしても避けられない場合もありますし、できるとしてもその合意書を作るために余分に弁護士費用がかかってしまいます。ですから、控除額がもっと低い時に遺言書を作られた方は、控除額が上昇すればするほど、遺言書の内容に変更が必要かどうかを見直す必要があります。

  5. その他の法律、関連情報

    • Durable Power or Attorney

      2005年7月以降、未成年の子供を持つ親は、自分が判断不能状態に陥り、誰かに子供の面倒を見てもらわなければならなくなった場合のために、Durable Power Of Attorney に子供の Guardian(後見人)の指名をすることが可能になりました。以前は Guardian の指名は遺言書でしかできなかったので、親が判断不能状態で生存している場合(昏睡状態など)に、子供の Guardian を指名することはできませんでした。可能性としては極めて低いですが、エステート・プランを作成、または更新の際には、Guardian(後見人)を指名しておくのが賢明でしょう。

    • Living Will Registry、Organ Donation Registry

      Durable Power of Attorney を作る際には金銭的面だけでなく、健康関連についても委任しますが、万が一事故などで緊急事態になった場合、すぐにコピーが入手できずに困る場合もあります。そういう場合を予測して、ワシントン州の Department Of Health では健康関連の委任状を登録し、オンラインでアクセスできるサービスをワシントン州住民に無料で提供しています。(このサイトでは委任状のフォームも無料でダウンロードできるようになっています。しかし、このフォームには重要なポイントがいくつか抜けているため、お勧めできません。きちんと作った委任状を登録する方が良いでしょう。)

      The Washington State Living Will Registry
      www.doh.wa.gov/livingwill

      また、臓器提供についても、ワシントン州とモンタナ州の住民は www.donatelifetoday.com で臓器提供についての細かい希望を登録できます。

      これらのオンライン・データベースの利点は、緊急事態になった時に医療関係者が素早く必要な情報にアクセスできることです。

    • Death with Dignity Act

      2008年11月に州民の直接投票により、ワシントン州で Death With Dignity という法律が立法化されました。お隣のオレゴン州では一足先に類似した法律が執行されていましたが、これは Terminally Ill(不治の病)で余命6ヶ月以下と診断された患者が自分の死を選ぶことを認める法律です。この法律で定められた条件を満たした患者であれば、致死量となる薬を処方してもらうことができます。処方された薬を実際に使うのは本人のみとなります。医師に対して強制効果はないので、条件を満たす患者でも、主治医によっては処方を拒否される可能性もあります。

    • Domestic Partnership

      ワシントン州では2007年から少しずつ同性愛者の権利を拡大する法律ができ始めましたが、今年の議会で、既定の条件を満たし、ドメスティック・パートナーシップとして州政府に登録した同性愛者のカップルに与える権利の法律が立法化されました。しかし、その後、反対勢力が執行を妨げる手段をとったため、この秋の州民投票で Referendum 71に対する投票が行われることになっています。その結果、可決されれば執行、否決されれば今年の法案は無効ということになります。なお、Referendum 71が通らなくても、2007年と2008年に確立された権利は無効になりません。

      ちなみに、この法律は同性愛者だけでなく、異性のカップルでもどちらかが62歳以上であれば、同じく登録して既婚者と同じ権利を受けることができます。再婚するとソーシャル・セキュリティをもらえないなどの理由で再婚を見送る人が多いことを考慮してあるためです。

以上が、2005年以来の主な法律上の変更と関連情報ですが、法律に変更がなくても、家族構成が変わった、遺言状や委任状で指名した人の状況が変わって適切でなくなった、州外に引っ越したなど、法律改正以外の理由でエステート・プランに修正が必要な場合もあります。従って、遺言書や委任状は一度作ったら一生安心というものではなく、状況に応じて見直し・修正をしていくのが最適です。


(2009年9月)


= お断り =
コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。読者個人の具体的な状況に関しては、お住まいの州のエステート・プランニング弁護士にご相談ください。

なお、このコラムにおける法律の情報は特に明記されていない限り、掲載時のワシントン州の法律に基づいております。エステート・プランに関する法律は州によって大きく異なりますので、ご注意ください。
第12回 2009年9月 アップデート
第11回 よくある質問
第10回 連邦遺産税
第9回 連邦贈与税
第8回 州遺産税
第7回 委任状(Durable Power of Attorney)
第6回 プロベート
第5回 リビング・トラスト(Living Trust)
第4回 プロベートを通さない遺産相続(Nonprobate Transfers)
第3回 遺言状(Will)
第2回 コミュニティ・プロパティ
第1回 エステート・プランとは?
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