最近、米国移民法に関するニュースを耳にする機会が増え、多くの読者が強い関心を寄せていらっしゃることと思います。アメリカでは急速に移民法改正が進んでいますが、その中にはまだ提案段階にあり、今後の方針や具体的な手続きが明らかになっていないものも少なくありません。このコラムでは、混乱や不安を避けるために、すでに変更が確定している移民法の最新情報を中心に、ビザ申請や手続きに関わる重要なポイントをお伝えします。
国務省、非移民ビザの申請が可能な米国大使館・領事館を制限
2025年9月6日、国務省は、すべての非移民ビザ申請は、申請者の居住国または国籍を有する国の米国大使館・領事館でのみビザを申請するべきだと発表しました。
これにより、申請者とまったく関係のない第三ヶ国の米国大使館・領事館での申請は、基本的にできないという理解です。
例えば、カナダ、メキシコ、ロンドンなどの米国大使館・領事館は、第三ヶ国の申請者による需要が高い米国大使館・領事館があります。これらの米国大使館・領事館が国務書の発表を受け、今後どのように対処するかはまだ明確にはわかっていませんが、ロンドンの米国大使館では、すでに第三ヶ国申請者の面接を拒否したという報告が上がってきています。
日本に居住する日本国籍以外の申請者が、日本の米国大使館・領事館でビザを申請する場合、在留カードまたは特別永住者証明書が必要になります。
なお、このポリシーは、外交型または公用型ビザや、国連本部協定の対象となるビザ申請者には該当しません。また、人道的、医療的、外交政策上の理由がある場合は、例外として免除の対象となることもあります。
大阪・神戸米国領事館 ビザ面接予約の制限
大阪・神戸米国領事館は、10月8日から12月22日まで、ビザの面接予約枠が制限されることを発表しました。この期間中、大阪・神戸米国領事館で面接が取れない場合は、東京の米国大使館、または那覇や札幌の米国領事館で予約を取るようにしてください。
大阪・神戸領事館に限らず、現在どの大使館・領事館でも面接の予約が取りにくい状況になっていますので、渡米予定に合わせて、余裕を持って申請の準備を開始することをすすめています。
米国務省、5,500万人のビザ保持者の記録の見直しを開始
米国務省は、現在有効なビザを持っている5,500万人のビザ保持者を対象に、ビザの取り消しや、国外追放につながる可能性のある違反がないか審査していることを発表しました。これは、すでにビザを取得し、アメリカに滞在が許可されている非移民ビザ保持者に対して、継続的な審査を行い、取り締まりが強化されていることを示しています。
移民局、非移民ビザ請願でもバイオメトリックスの要請
通常、Form I-485 グリーンカード申請の際に、バイオメトリックスと呼ばれる指紋や写真などの生体認証のアポイントメントがあります。しかし、Form I-140雇用ベース移民ビザ申請や、H-1BやEビザなどForm I-129非移民労働者請願などの申請においても、ケースバイケースで、RFE(Request for Evidence)と呼ばれる追加書類要求書を発行し、申請者の住所歴やバイオメトリックスを要求するケースが増えています。
移民ビザの申請が可能な米国大使館・領事館
国務省は、2025年11月1日以降、すべての移民ビザ申請者は、申請者の居住地を管轄する米国大使館・領事館で面接を受けなければならないと発表しました。
ただし、申請者が希望すれば、申請者が国籍を有する国の米国大使館・領事館でも面接を受けることができます。
また、人道的、医療的、外交政策上の理由の場合は、例外として免除の対象となるが設けられることもあります。
移民局、パーソナル・チェックやマネー・オーダーによる申請料金の支払いを廃止
移民局は、パーソナル・チェックやマネー・オーダーによる申請料金の支払いを廃止することを発表しました。パーソナル・チェックやマネー・オーダーを処理するのに必要なリソースの削減、また詐欺や紛失のリスクを軽減することが目的です。
- すでに、クレジットカード、あるいはACH(銀行振込)で申請料金を支払うことは可能です。
- クレジットカードで支払う場合は、Form G-1450 Authorization for Credit Card Transactions を申請書と一緒に提出します。
- ACH で支払う場合は、Form G-1650 Authorization for ACH Transaction を申請書と一緒に提出します。
移民局は、2025年10月28日までパーソナル・チェックやマネーオーダーを受け付けますが、それ以降は、クレジットカード、あるいはACHでのみ申請料金の支払いが可能です。
琴河・五十畑法律事務所 弁護士・琴河利恵さん
Kotokawa & Isohata, PS
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コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。

