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2025年9月:アメリカ国外滞在中にグリーンカード(永住権カード)が手元にないことに気づいたら

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グリーンカード保持者(米国永住者)が、短期間の海外旅行や一時帰国の後にアメリカへ再入国する際には、通常、パスポートとグリーンカード(永住権カード)の提示が求められます。

ところが、アメリカ国外に滞在中にグリーンカードを紛失・破損・盗難に遭う、あるいはグリーンカードを持たずにアメリカを出国してしまうといったトラブルは珍しくありません。ここでは、そんな場合の再入国に必要な手続きや対処方法をご説明します。

目次

最も簡単な解決策:家族から郵送してもらう

  • アメリカ国内の自宅にグリーンカードを置き忘れてきた場合は、家族に滞在先へ郵送してもらうのが最もスムーズで、費用もかかりません。
  • ただし、国際郵便の紛失リスクがあるため、追跡番号付きの発送方法を選びましょう。

ボーディング・フォイル(Boarding Foil)の申請

もし、上記の方法での郵送が不可能、または国外でグリーンカードを紛失・破損・盗難に遭った場合は、米国大使館・領事館で「ボーディング・フォイル」を申請します。これは、グリーンカードなしでアメリカに再入国するために必要な旅行書類を申請するという意味で、航空会社に対し、グリーンカードがなくても搭乗できることを証明することができます。

日本では、東京の米国大使館、または大阪と那覇の米国領事館でボーディング・フォイルを申請することができます。

申請できる条件

  • アメリカ国外滞在が1年未満であること
  • その間にグリーンカードを紛失・破損・盗難した場合

申請手順と必要書類

  1. 警察に紛失・盗難届を提出する。(該当する場合)
  2. USCIS(米国移民局)のウエブサイトから申請料金を支払い、支払い確認書をプリントする。
  3. 米国大使館・領事館で面接を予約する。
  4. 面接に持参する書類
  • 申請書Form I-131Aに事前に記載した上で、持参します。Form I-131ではなく、Form I-131Aですので、気を付けてください。
  • 申請料金の支払い確認書
  • パスポート
  • アメリカ出国日が確認できる航空券 
  • グリーンカードのコピーなど永住者であることを証明できる書類
  • 過去12ヶ月以内にアメリカに居住していたことを証明できる書類
  • 警察に提出した紛失・盗難届
  • ボーディング・フォイルが必要になった経緯の説明文
  • 証明写真1枚(米パスポートサイズ、背景白、カラー写真、撮影から30日以内)

なお、ボーディング・フォイルは面接当日には発行されません。審査期間は個々の状況によって異なりますので、各米国大使館・領事館に確認してください。

米国永住者としてのステータスの証明が必須

必要書類からもわかるように、ボーディング・フォイルを申請するには、合法的な永住者であることを証明しなければなりません。よって、単にグリーンカードを紛失した、あるいは盗難にあったということだけでなく、アメリカ国外での滞在は一時的なものであり、永住者としてのステータスを放棄したり、失っていないことを証明することが必須です。

アメリカ入国を保証するものではない

また、ボーディング・フォイルは、航空会社に対し、グリーンカードなど通常はアメリカ入国に必要とされる書類を提出する必要がないことを証明することが目的で、アメリカへの入国が許可されることを保証するものではありません。アメリカ到着後、入国審査にて入国許可や資格の審査・手続きが行われます。また、アメリカ入国後は、すぐにグリーンカードの再発行手続きを行わなければなりません。

1年以上国外滞在してしまった場合

  • Reentry Permit(再入国許可証)がないまま1年以上国外滞在すると、ボーディング・フォイルでは再入国できません。
  • この場合は帰国居住者特別移民ビザ(SB-1)または新規の移民ビザを申請する必要があります。

グリーンカードが有効期限切れの場合

  • 10年有効のグリーンカードが国外滞在中に失効した場合でも、滞在が1年未満であればボーディング・フォイルは不要。
  • 期限切れのグリーンカードとパスポートで入国審査を受け、アメリカ入国後すぐにグリーンカード再発行申請を行います。
  • ただし、この状況で搭乗が可能か可否は航空会社判断のため、航空会社に事前に確認することを推奨します。

琴河・五十畑法律事務所 弁護士・琴河利恵さん
Kotokawa & Isohata, PS
6100 219th Street SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043. USA
Phone: (206) 430-5108
www.kandilawyers.com

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。

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