アメリカでは、雇用に基づいてグリーンカード(米国永住権)を申請することができます。
雇用に基づくグリーンカード申請は、外国人の能力や学歴・経歴によって、主に、EB-1、EB-2、EB-3、EB-4、EB-5という、5つのカテゴリに分かれています。
今回のコラムでは、EB-1A Individuals with Extraordinary Ability のグリーンカード申請についてお話しします。
EB-1
EB-1は第1優先カテゴリで、これに適合する外国人は “First Preference” と呼ばれ、グリーンカードの年間割当数は全体の28.6%となっています。
このEB-1は、さらに次の3つのカテゴリに分かれています。
カテゴリ | 対象 |
EB-1A: Extraordinary ability | 科学、芸術、教育、ビジネス、またはスポーツの分野で卓越した能力を持っている外国人 |
EB-1B :Outstanding professors and researchers | 著名な教授と研究者 |
EB-1C :Multinational manager or executive | 国際企業の重役・管理職者 |
EB-1A とは
このカテゴリの申請は、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)もスポンサーも必要ではありません。従って、スポンサーなしで自己申請が可能です。
しかし、外国人労働者は、アメリカ入国後も専門分野での活動を続け、その活動を通して、アメリカに多大な貢献をすることができる人でなければなりません。
EB-1A の申請条件
科学、芸術、教育、ビジネス、またはスポーツの分野において、卓越した能力を持っている外国人労働者がグリーンカードを申請をする場合、このカテゴリに適合します。
「卓越能力保持者」とは、専門分野でトップレベルに達した極少数の傑出者のことを指し、 専門分野で持続的に国内的、または国際的な評価を通じて、卓越した能力を発揮していることを証明しなければなりません。
持続的というと、年齢制限があったり、専門分野で何年間活動していなければならないといった期間に関する条件があるように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、重要なのは、評価を継続して維持しているかどうかということです。よって、継続して高い評価を維持していることを証明することができれば、年齢が若くても、またキャリアが浅くても、申請は可能です。反対に、過去に高い評価を受けたことがあっても、それを維持できていない人の申請は難しいです。
卓越した能力の証明
外国人労働者が卓越した能力を持っていることを証明するためには、どうしたらよいでしょうか。
ノーベル賞やアカデミー賞のような国際的に認知されている賞の受賞者である、あるいはスポーツの分野であれば、世界大会やオリンピックでメダルを獲得したことがある外国人労働者は、卓越能力を証明することができます。
しかし、このレベルに達していなくても、以下のリストのうち最低3つに該当することによって、卓越能力を証明することができます。
- 上記のような最高レベルの賞でないものの、専門分野での活躍や実績が認められ、国内外で認知されている賞を受賞した証拠
- 専門分野での活躍や実績が認められた者しか入会できない団体に所属している証拠
- 実績や作品が専門紙、または主要な業界紙やメディアで取り上げられた証拠
- 同じ専門分野で活動する人の実績や作品を審査する役目を務めたことがある証拠
- 専門分野に多大な貢献をしている証拠
- 専門誌や他の主要メディアに、学術論文・記事を発表した実績がある証拠
- 専門分野が芸術の場合、申請者の作品が展示されたことがある証拠
- 有名な団体の作品において、主役、または重要な役で出演したことがある証拠
- 専門分野が芸術の場合、商業的成功の証拠
- 専門分野において、その他の人と比較して多額の報酬を得たことがある証拠
証拠書類において重要なのは、量ではなく質です。例えば、外国人労働者の活動がメディアで取り上げられた場合、主要な業界紙と、ローカルのコミュニティ新聞では証拠書類としての質に大きな差があります。ですから、記事の内容はもちろん、出版物自体も審査の対象となるとめ、その出版物の業界での位置づけや、対象読者、発行部数などの情報も、証拠書類を確立する上で重要です。
外国人労働者の活動内容や専門分野への貢献レベルを証明するために、推薦状を提出することもあります。推薦者は、外国人労働者の活動内容を把握していることはもちろん、専門分野に関する専門的知識も持っていなければならないため、活動分野の専門家であることが重要です。
上記の基準が全ての申請に該当する訳ではありません。外国人労働者の専門分野によっては、証拠書類を直接上記の基準に結びつけるのが難しいケースもあります。このような理由から、上記の基準には該当しないものの、外国人労働者の卓越能力を立証できる同等の証拠書類も提出することができます。
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。