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第38回 株主の権利と利点についての基本

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株主の権利と言うと一般の方にはなじみがないように聞こえますが、実は多くの人はどこかの企業の株を所有しています。仮に会社に勤めていなくても、どんな方でも、投資家として株を購入してその利益を得ることができます。特にここ数年は銀行の預金額から入る利子率がかなり低く、景気の悪いうちに株式を購入しておくことによって将来利益を得ることを狙う方が多いようです。今回は、株主としての権利や利点の概要をご説明します。

株主の権利に関しては、米国では連邦証券取引法(Securities Exchange Act)と各州の証券取引法、模範事業会社法(Model Business Corporation Act)と各州の会社法によって規定されています。 これらの法律に基づき、各企業の定款や企業管理規定等には株主権プラン(Shareholder Rights Plan)等の細かい規定が記載されています。

まず、有価証券には大きく分けて3種類あります。社債、優先株、普通株です(これは C-Corporation の場合です)。どの株を所有すると有利かは、企業の状態や経営方法・内容によって異なります。たとえば、企業の業績が悪く、倒産寸前の場合は、まず債権者が企業の資産を差し押さえ、次に社債保持者、優先株保持者、普通株保持者という順番で残りの資産を分配します。また、配当に関しては、まず優先株保持者が普通株保持者よりも先に配当を受けます。しかし、だからといって普通株保持者が損をすることばかりではありません。例えば、優先株所有者は普通株保持者と同等の投票権が一般的にはありません。ちなみに多くの方は普通株のみを所有し、もし企業に多くの利益が入り、株価が上がれば利益があることになります。その他、企業の株主として普通株保持者には意外に多くの権利があります。下記がその例です。

  1. 投票権―株式総会での投票権や取締役の選抜権等、企業の経営に影響する基本的な変更に対する投票権
  2. 所有株に比例した企業の所有権
  3. 株式譲渡の権利
  4. 配当の受領
  5. 企業内部情報等の検査の権利
  6. 企業の不当行為に対する株式代表訴訟の権利

さらに、優先株保持者・普通株保持者ともに、企業が新しい株を発行する際に、株主としてその新株式が外部の投資家に公開される前に優先的に購入する権利があります。各株主はその時点で所有する株率に値する株数まで新株の購入が可能です。たとえば、企業の発行株数が1000株で、ある株主が200株を保持していた場合は新株の20%に値します。しかし企業が新たに500株を発行する場合は、この株主は新株の100株まで購入が可能です。これは外部からの企業の買収等を避けるための方策でもあります。

ちなみに、もし企業が負債を抱えていたり訴訟で訴えられたりしていた場合は、株主は法的責任に問われません。ですから債権者が株主に企業の負債の支払いを求めることもありません。

最近の傾向としては、株主が企業の不当・不正行為に対して訴える訴訟(A Derivative Action)がよくあります。たとえば、企業の取締役や経営管理者が不当な経営をしたり、株主に適切な情報を報告しなかったり、公に間違った情報を流したり、さらに企業自体が取引企業の不正に対して適切な対応をしなかった場合などは、株主として企業を訴える権利があります。2002年のワールドコム社の不正行為によるスキャンダルがその典型です。こうした訴訟は企業の経営を守るための手段で、最終的には株主の利益を守ることになります。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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