MENU

ワシントン州で小売売上税の対象拡大 10月1日から

Image by rawpixel from Pixabay
  • URLをコピーしました!

2025年10月1日から、これまで課税対象外であった複数のサービスが新たに小売売上税(Retail Sales Tax)と小売業B&O税(Retailing B&O Tax)の対象となりました。ワシントン州税務局によると、これらの改正は州全体で9万社以上の事業者に影響を及ぼすと見られています。

参考:ワシントン州税務局公式サイト

目次

小売売上税の対象拡大

2025年10月1日(水)から新たに小売売上税(Retail Sales Tax)小売業B&O税(Retailing B&O Tax)の対象となったサービスは以下の通りです:

  • 広告サービス(Advertising services)
  • ITサポートやデータ処理などの情報技術サービス(Information technology services)
  • ウェブサイト開発などのカスタムソフトウェアサービス(Custom website development services)
  • 生演奏や講演会などのライブプレゼンテーション(Live presentations)
  • 調査・警備・現金輸送サービス(Investigation, security, and armored car services)
  • 一般的な人材派遣サービス(Temporary staffing services)※病院向けは除外

マーケティング業務やデジタル自動化サービスも課税対象に

特に広告サービスについては、従来であれば「マーケティング」と分類され、売上税の対象外だった業務も含まれる点が重要です。例えば、オンライン広告運用やSNSプロモーション、広告枠の販売などは「広告」と定義される場合、新たに売上税が課されます。

一方で、市場調査や戦略コンサルティングといった純粋なマーケティング支援は引き続き非課税となる可能性があります。事業者は提供するサービス内容ごとに正確な区分をワシントン州税務局に直接確認する必要があります。

また、デジタル自動化サービス(Digital Automated Services:DAS)の定義も見直されました。従来は「主に人的労力を伴うサービス」として非課税だったものも課税対象に含まれています。

2025年10月1日より前に締結された契約について

なお、2025年10月1日より前(2025年9月30日まで)に締結された既存契約については、2026年3月31日までは従来通りの課税区分で申告できる猶予期間が設けられています。ただし、契約が変更された場合や2026年4月以降は新ルールが適用されます。詳細はワシントン州税務局の公式サイトでご確認ください。

B&O税率の変更

同じく2025年10月1日から、ワシントン州の事業活動総収入税(B&O税)の「サービスおよびその他の事業活動」区分について、収入規模に応じた累進課税(progressive B&O tax)が導入されました。

  • 年間総収入100万ドル未満:1.5%
  • 年間総収入100万~500万ドル:1.75%
  • 年間総収入500万ドル超:2.1%

また、大規模金融機関に課されている金融機関サーチャージは1.2%から1.5%に引き上げられました。

今回の税制変更による影響

これらの税制変更により、多くのサービス業者が新たに売上税の徴収義務を負うことになり、加えてB&O税の累進課税によって年間収入規模の大きな事業者ほど税負担が増加します。特に広告代理店、IT関連企業、人材派遣会社などは影響が大きくなると予測されています。

まとめ

2025年10月1日から施行されたワシントン州の税制改正は、小売売上税の対象サービス拡大B&O税の累進課税化という二つの柱で構成されています。事業者は自社サービスがどの区分に該当するかを確認する必要があります。これらの変更は州の財政収入増加を目的とすると同時に、事業者にとっては新たな税務対応が求められるものです。

ワシントン州は現在、深刻な財政難に直面しています。州の最新予測では今後4年間で7億2000万ドル規模の歳入不足が見込まれていますが、議会関係者や研究機関からは12〜16億ドル規模の赤字に膨らむ可能性も指摘されています。背景には税収の伸び悩みと支出増加があり、教育・福祉・公共サービスへの需要増が財政を圧迫しています。州法では4年単位で均衡予算を組む必要があるため、歳出削減や増税の検討が進められ、すでに各機関に対して6%以上の支出削減要請も出されています。

参考:ワシントン州税務局公式サイト

  • URLをコピーしました!
目次