米国税関・国境警備局(CBP)は、日本、韓国、英国、フランス、ドイツなど42か国のビザ免除プログラム(Visa Waiver Program)対象国の旅行者に対し、ESTA申請で提出を義務付ける個人情報を大幅に拡大する “変更案” を公表しました。
この案は連邦官報(Federal Register)に掲載され、現在60日間のパブリック・コメント(一般からの意見募集)が行われています。
今回の変更案はまだ正式決定ではありません。今後の意見募集や政府の審査を経て、修正・撤回される可能性もあります。
SNS履歴提出の必須化が “案” として提示される
米国税関・国境警備局(CBP)の発表によると、ESTA申請時に以下の新たな提出要件を盛り込む案を示しました。
- 過去5年間のソーシャルメディアアカウント(提出は必須の方向)
- 過去10年間のメールアドレス・電話番号
- 両親・配偶者・兄弟姉妹・子どもの氏名、生年月日、住所、出生地
- IPアドレス
- 指紋・顔・DNA・虹彩などの生体データ(可能な場合)
SNS のアカウントは2016年から任意で提出項目となっていますが、今後は必須となる可能性があるという状況です。
ESTAを “モバイル専用” へ移行する案も提示
CBPはESTA申請について、以下の技術的変更も提案しています。
- ウェブ版 ESTA を廃止し、モバイルアプリ(mobile application)のみにする案
- 申請者全員にセルフィー(自撮り)提出を義務化する案
- アプリを使った「自己申告による出国確認」機能の導入案
パブリック・コメント(一般からの意見募集)
これらの強化策は、トランプ大統領が今年発表した「国家安全保障上の脅威となる外国人の入国拒否」を目的とした大統領令を実行するためのものと説明されています。現在、60日間のパブリックコメント(一般からの意見募集)が行われています。意見の送信先は下記の通りです。
提出期限:2026年2月9日まで
提出方法:CBP_PRA@cbp.dhs.gov
メールの件名(Subject Line):OMB Control Number:1651-0111 と CBPを含める
例:Subject: Comment on OMB Control Number 1651-0111 – U.S. Customs and Border Protection
まとめ:日本人旅行者も対象だが、”まだ提案の段階”
今回の変更案は、日本を含むビザ免除国からの旅行者に広く影響する可能性があります。
ただし、
- これはあくまで“変更案”
- 60日間の意見募集を経て、今後変更される可能性がある
- 現時点で旅行者に新たな提出義務は発生していない
という点が重要です。
2026年FIFAワールドカップ(米国・カナダ・メキシコ共催)を数か月後に控えるタイミングでの導入が、観光への悪影響を招く可能性が懸念されます。
今後、ESTA申請の要件が正式に変更される場合、日本人旅行者にも実務的な影響が出る可能性があります。旅行計画を立てる際には、最新情報の確認が重要です

