2026年1月、ワシントン州およびシアトルでは、日々の暮らしに関わるいくつかの法律・制度が新たに施行されました。
大きな制度改革というよりも、買い物や外出、働き方など、普段の生活の中で少しずつ影響を感じやすい変更が中心です。そのため、気づかないまま過ごしてしまうことも少なくありません。
ここでは、普段の生活や旅行者に特に関係の深いポイントを、公式情報をもとに整理します。
運転免許証・州IDに血液型を任意で追加可能に

ワシントン州では、運転免許証や州発行IDに、血液型(blood type)を任意で記載できる制度が始まりました。追加費用は2ドルで、免許の更新や再発行の際に申請できます。
New! Add an optional blood type icon 🩸 to your driver license or ID as a reminder to donate. To get the symbol, you’ll need to bring documentation to a driver licensing office and pay a $2 fee.
— Washington State Department of Licensing (@WA_DOL) January 6, 2026
Learn more: https://t.co/wfERu3ody0 pic.twitter.com/dDa9pwNHBU
この制度は事故や緊急時の医療対応を想定したもので、記載は義務ではありません。必要性を感じるなら記載することを選択できるということです。血液型の情報が医療判断そのものに使われるわけではないため、あくまで補助的な位置付けです。
映画館でのキャプション対応が拡大

2026年から、ワシントン州内の映画館では、クローズド・キャプション(closed captioning)に対応して制作・提供されている映画作品について、すべての上映回で、来場者が利用できる字幕表示技術を提供することが求められるようになりました。これは、必要とする人が個別の機器などを使って字幕を利用できる仕組みです。
あわせて州法では、オープン・キャプション(open captioning)についても別途規定が設けられています。映画がオープン・キャプション付きで制作・提供されている場合、一定規模以上の映画館では、公開後の定められた期間内に、字幕がスクリーン上に表示される上映回をスケジュールに組み込むことが求められます。小規模な映画館についても、来場者からの要望があった場合の対応ルールが定められています。
今回の変更は、連邦法である障害を持つアメリカ人法(Americans with Disabilities Act、ADA)第3編の考え方に沿って、鑑賞環境のアクセシビリティを州レベルで具体化したもの。聴覚が不自由な方や、英語が母語でなくリスニングが不得手な人にとっても、映画を楽しみやすい環境づくりにつながります。
映画館の上映案内では、「Subtitles」や「Open Caption(OC)」「Closed Caption(CC)」といった表記が使われることが一般的です。
プラスチックバッグ・再利用可能バッグ料金の見直し

ワシントン州では、使い捨てバッグ削減策の一環として、プラスチックバッグ(ビニール袋)料金の扱いが見直されました。
厚さ4mil(約0.1mm)以上の再利用可能なプラスチックバッグについては、既存の12セントに加え、新たに4セントの州ペナルティが上乗せされ、合計16セントとなります。この4セントは、州の廃棄物削減・リサイクル・ごみ対策基金に充てられます。
一方、基準を満たした紙袋の料金は、引き続き8セントのままです。
使い捨てプラスチック袋の扱いについて
昔はキャッシャーで提供されていた使い捨てプラスチックバッグは、ワシントン州では2021年10月から提供されなくなりました。一方で、野菜や果物、パック入りの肉・魚を入れる薄いプラスチックバッグは、商品を包装する目的のため、現在も無料で提供されています。この違いは、普段の買い物の中では意外と意識されにくい点かもしれません。
そのため、買い物に出かけるときや、テイクアウトで食べ物を持ち帰る予定があるときは、持ち帰り用の袋をあらかじめ用意しておくと安心です。車やバッグに買い物用バッグを入れておきましょう!
最低賃金の引き上げ

2026年、ワシントン州およびシアトル市などで最低賃金が引き上げられました。
ワシントン州全体では、最低賃金は時給17.13ドル。シアトル市内では、事業規模にかかわらず、最低賃金は時給21.30ドルとなっています。
働く側にとっては収入面での変化がある一方、外食や各種サービス料金に反映される可能性もあり、利用者側の生活費とも無関係ではありません。


全米共通の変更:メディケア契約病院で医療費が見える化へ 患者が実際に払う金額を公開

アメリカの公的医療保険であるメディケア(Medicare)は、主に65歳以上の高齢者と、一定の障害や疾患を持つ人を対象とした制度です。民間保険と異なり、連邦政府が運営している点が特徴で、加入者数は全米で6,000万人以上にのぼります。
2026年から、Centers for Medicare & Medicaid Services(CMS)の新しいルールにより、メディケアと契約している病院は、推定額ではなく、患者が実際に支払う価格を分かりやすい形で公開することが義務化されました。
ここでいう「病院」には、総合病院や地域病院、大学病院などの一般病院に加え、病院が運営する外来部門や、病院本体とは別の場所にあるオフキャンパス外来施設も含まれます。つまり、病院名で請求される医療サービス全体が対象です。一方、外来手術センター(ASC)や個人開業医のクリニック、歯科医院、代替医療、保険会社そのものは対象外です。
全米共通の変更:USPSの消印ルールに注意

2025年末、アメリカ郵便公社 USPS(United States Postal Service)は、郵送物の消印(postmark)に関する扱いについて、利用者が注意すべき点を改めて明確にしました。
セルフサービスのキオスクやメールボックスを利用した場合、必ずしもその日の消印が押されるとは限らず、締切がある書類では、USPSによる受領スキャンの日時が重視されるケースがあります。
- 郵便物が郵便公社に最初に引き渡された日付と一致する消印を希望する利用者は、追加料金なしで、郵便物を差し出す際に、どの郵便局、支局、または分局でも、手作業による(ローカル)消印を申請することができます。
- なお、50通以上の郵便物について(ローカル)消印を希望する場合は、問い合わせが必要です。
- 税務書類やビザ関連書類、学校や行政機関への提出書類など、期限が重要な郵送では、窓口での手続きや追跡付きサービス(tracking service)の利用、「投函証明(Certificate of Mailing)」の購入が安心です。
まとめ
2026年1月からの制度変更は、免許証、映画館、買い物、働き方、郵送といった、日常のさまざまな場面に影響する内容が中心です。
一つ一つは小さな変更でも、生活の中で重なることで、実感として現れてくることがあります。特に全米共通のルール変更については、州に関係なく影響を受けるため、早めに知っておくと安心ですね。

