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シアトルの夏と山火事:ワシントン州の乾燥シーズンに知っておきたい大気質指数(AQI)と安全対策

山火事の煙に覆われたシアトル・センターとスペースニードル
2020年9月13日撮影
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夏のワシントン州は、乾燥した気候と気温の上昇により、山火事(wildfire)が特に発生しやすい季節です。実際、2020年には州内で過去最大規模の山火事が発生し、広大な森林を焼失しました。さらに、各地の山火事の煙が流れ込み、市街地のシアトルの大気質指数(AQI)が「Very Unhealthy(非常に有害)」レベルに達し、通常の状態に戻るまで約5日を要したことも大きな衝撃を与えました。

国立公園局によると、アメリカにおける山火事の約85%は、人間が放置したキャンプファイヤー、不要物の焚き火、機械の使用や故障などによる火花、タバコのポイ捨て、そして放火などの意図的な行為などが原因とされています。
※出典:Wildland Fire Management Information(WFMI)および米国森林局リサーチデータアーカイブ(2000〜2017年データ)

この記事では、シアトルやワシントン州での山火事と大気の質(AQI)の関係山火事や煙の最新情報の入手方法、そして夏に気をつけるべきポイントをわかりやすく解説します。

目次

ワシントン州の夏は山火事が多発する季節

乾燥と高温が山火事のリスクを高める

ワシントン州の夏は、雨がほとんど降らず、気温が高く乾燥した日が続きます。特にシアトル周辺でも、6月後半から9月にかけては快晴の日が多く、湿度も低下するため、山火事(wildfire)のリスクが一気に高まります。

「シアトルは一年中雨が降る」と思われがちですが、実際には夏は雨がほとんど降らず非常に乾燥しており、わずかな火種からでも火災につながる危険性があります。

過去の大規模山火事の事例(2020年の記録)

山火事の煙に覆われたシアトル・センターとスペースニードル
2020年9月12日撮影

2020年には、ワシントン州で過去最大規模の山火事が発生し、広大な森林と自然保護区が焼失しました。さらに同年9月には、オレゴン州やカリフォルニア州での山火事の煙も重なり、シアトルの大気質指数(AQI)が「Very Unhealthy(非常に有害)」レベルにまで悪化。通常の状態に戻るまでに約5日を要し、外出を控えざるを得ませんでした。

大気汚染が与える影響

山火事は、シアトルの東のカスケード山脈、ワシントン州東部、オリンピック半島、カナダのブリティッシュ・コロンビア州など、シアトルの遠方にある山間部で発生することが多いですが、煙は風に乗って都市部に流れ込みます。

その場合、シアトルでは空が白く霞むだけでなく、呼吸器系への負担も大きくなり、特に子ども、高齢者、ぜんそくや心臓疾患を持つ人に深刻な健康被害をもたらすことがあります。

大気の質(AQI)を理解しよう

AQI(Air Quality Index)とは?

AQIは、大気の汚染状況を数値化した指標で、0〜500までの範囲で表されます。数値が高いほど大気が汚れており、健康に与える影響も大きくなります。

各段階には、下記の通り、特定の色が決められています。この色を使うことで、その地域の空気の質が不健康なレベルに達しているかどうかを簡単に判断できます。

GreenGood
良好
0~50Air quality is satisfactory, and air pollution poses little or no risk.
大気の質は良好であり、大気汚染のリスクはほとんどないか、まったくない。
YellowModerate
許容範囲
51~100Air quality is acceptable. However, there may be a risk for some people, particularly those who are unusually sensitive to air pollution.
大気の質は許容範囲。一部の人、特に大気汚染に非常に敏感な人にはリスクがある。
OrangeUnhealthy for Sensitive Groups
敏感な人には有害
101~150Members of sensitive groups may experience health effects. The general public is less likely to be affected.
敏感な人は影響を受ける可能性がある。一般の人々は影響を受ける可能性が低い。
RedUnhealthy
有害
151~200Some members of the general public may experience health effects; members of sensitive groups may experience more serious health effects.
一般の人々の中には影響を受ける人が出る可能性がある。敏感な人は、より深刻な影響を受ける可能性がある。
PurpleVery Unhealthy
非常に有害
201~300Health alert: The risk of health effects is increased for everyone.
健康への注意:誰もが影響を受ける可能性が高い。
MaroonHazardous
危険
301~Health warning of emergency conditions: everyone is more likely to be affected.
緊急事態の健康警告:誰もが影響を受ける可能性がより高い。
参照:AQI Basics

健康に影響を与える大気質レベルの目安

AQIが150を超えると、敏感な人だけでなく一般の人も体調不良を感じやすくなります。200を超えると屋外活動は極力避けるべきです。シアトルでも過去に「Very Unhealthy」レベルとなった例があり、その期間は外出や運動を控えることが推奨されました。

シアトルでAQIが「Very Unhealthy」になった事例

左:山火事の煙で大気の質が悪化した2020年9月14日
右:煙がなくなり、大気の質が改善した2020年9月19日

2020年の山火事シーズンには、近隣州の大規模火災の煙が流入し、シアトルのAQIは一時的に200を超えました。この期間、外出を控えたり、空気清浄機やN95マスクを使用する家庭が増え、市民生活に大きな影響を与えました。

山火事の最新情報と煙の状況をチェックする方法

ワシントン州の山火事情報・大気質を確認できる公式サイト

山火事が発生した際には、公式情報をもとに行動することが重要です。以下のサイトで最新情報を確認できます。

世界全体の大気質を確認できるツールやアプリ

シアトルや近郊で煙が流入したときの注意点

山火事の煙が流れてきて広がっている時は、以下の行動が推奨されます。ワシントン州保健局や、地元の保健局の発表を確認するようにしてください。

  • 屋外活動や運動を控える
  • 窓を閉め、室内の空気を保護する
  • 空気清浄機を使用する
  • 必要に応じてN95マスクを着用する

山火事の90%は人間が原因 – 予防と対策

焚き火・バーベキュー・喫煙の注意点

国立公園局によると、アメリカにおける山火事の約85%は、人間が放置したキャンプファイヤー、不要物の焚き火、機械の使用や故障などによる火花、タバコのポイ捨て、そして放火などの意図的な行為などが原因とされています。
※出典:Wildland Fire Management Information(WFMI)および米国森林局リサーチデータアーカイブ(2000〜2017年データ)

キャンプ場やハイキング中に焚き火をする際は、完全に消火すること、また乾燥した環境ではバーベキューや喫煙も控えるのが安全です。

火災を防ぐためのアウトドアでのマナー

  • 車などの部品が草に接触しないよう注意(火花が散って火災の原因になる)
  • 花火や火薬類の使用は禁止されているエリアが多い
  • 小さな火種も残さないよう徹底する
  • タバコのポイ捨ては厳禁

避難命令の3段階:Level 1・2・3を理解しよう

山火事や洪水などの災害時には、郡や州の緊急管理局(Emergency Management)から避難命令(Evacuation Orders)が発表されます。多くの地域では避難レベルは3段階に分かれており、状況に応じた行動が求められます。

レベル 英語表記 状況(概要) 行動の目安 ポイント
Level 1 Be Ready(準備) リスクが高まりつつあるので、避難の準備をする ・避難経路・避難先を確認
・非常用の荷物を準備
・車の燃料補給やスマホ充電
避難の準備を整える段階。公式情報を随時確認
Level 2 Be Set(避難準備完了) 危険が高まっているので、いつでも避難できる状態に ・荷物を車に積む
・高齢者や子どもは早めの避難推奨
・緊急通知やSNSで最新情報を確認
避難を強く推奨。状況次第で即、Level 3に移行
Level 3 Go!(避難) 命に関わる危険が迫り、直ちに避難が必要 ・ためらわずに避難を開始
・窓・ドアを閉め、ガス・電気を確認
・当局の指示に従う
避難命令(Mandatory)。遅れると脱出困難の恐れあり

非常用の荷物には、食料、飲料水、薬、貴重品、ベビー用品、ペット用品、トイレ用品、生理用品、メガネ、コンタクトレンズ関連用品など、生活に必要なものを準備しておくこと。

避難情報の入手先

ワシントン州で避難命令や大気の質を確認するには、次の公式情報が役立ちます。

  • 住まい・滞在先の郡の Emergency Management 公式サイト
  • Washington State DNR Wildfire Map(州内の山火事情報)
  • 緊急通知アプリ(Everbridge、MyShake など)

まとめ – 夏のシアトルで山火事と大気の質に備える

  • ワシントン州の夏は乾燥し、山火事リスクが高まる
  • AQIを確認して、大気の質が悪い日は外出を控える
  • 山火事の最新情報は公式サイトやアプリでチェック
  • 火の取り扱いを徹底し、予防を心がけることが最も重要

夏のシアトルを安全に過ごすためには、山火事への備えを怠らないことが欠かせません。日々の情報収集と適切な行動で、自然を守りながら快適な夏を楽しみましょう。

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