2020年アメリカ合衆国大統領選挙 仕組みと日程をざっくり解説

アメリカ合衆国の大統領を選ぶ選挙は、約1年間にわたる長期戦。早い人は予備選が始まる1年前から立候補を表明するので、すべてのプロセスは約2年に及ぶと言えます。

米国二大政党の民主党と共和党は、年明けごろに始まる予備選と夏の党大会を通じてそれぞれ1人ずつ候補者を選びます。その後、各党の指名を受けた候補者(presidential nominee)を中心として、11月に一般有権者が投票する本選が行われます。

予備選の仕組み

予備選は、民主党および共和党のそれぞれが、党としての指名候補者(presidential nominee)を統一するために行うもの。つまり、同じ党内の候補者同士による、候補者指名を獲得するための戦いです。全米の50州とワシントン DC で行われる予備選では、夏に行われる大統領候補指名の場=全国党大会に参加する代議員(delegates)が選ばれます。代議員にはそれぞれ支持する大統領候補がいるため、予備選を通じて間接的に州として支持する大統領候補の順位が決まることになります。

予備選には予備選挙(primary)と党員集会(caucus)の2種類があります。予備選挙と党員集会のどちらが行われるかは州・準州・自治領などによって異なり、ワシントン州では、民主党は党員集会、共和党は予備選挙を実施します。予備選挙は普通の選挙に近い方法で行われますが、党員集会の仕組みは複雑で、州によって実施方法が異なります。

党員集会に参加できるのは基本的に各党の党員のみなので、有権者は居住州で選挙登録をする際に支持政党を登録し、党員になっている必要があります。これに対して予備選挙にはいくつかのパターンがあり、オープン型の場合は、党員かどうかにかかわらず、すべての有権者が投票可能です。逆に、クローズド型では投票できるのは各党員のみとなります。この他、党員および無党派層(つまり、他党員でない人)のみが投票できる州や、予備選挙当日に党員登録すれば投票できる州などもあります。

なお、民主党の予備選については、一般の代議員とは別に存在する、特別代議員(superdelegates)と呼ばれる人々が選挙の行方を左右することも少なくありません。民主党の特別代議員は、党のリーダー格(歴代大統領・副大統領・米国上下院議長・党大会委員長など)、現職の米国上下院議員、現職州知事などの "大物党員" で、全代議員数に占める割合は約15%。党大会ですでに決められた候補にしか投票できない一般代議員とは異なり、特別代議員は誰に投票してもよいことになっていて、予備選が接戦の場合、より多くの特別代議員の支持を受けた候補が勝つ可能性が高くなります。

なお、共和党にも特別代議員に近い位置づけの代議員はいますが、その数は民主党に比べてかなり少なく、影響力も限定的です。この結果、民主党に比べて、党主流派の大物党員の意向が候補者指名に反映されにくい仕組みになっています。

予備選の主な日程・民主党討論会の日程

2020年2月3日(月)
アイオワ州党員集会(Iowa Caucus)
全米で最初に行われる予備選として毎回大きな注目を集める党員集会で、大統領選の事実上の幕開けとなります。アイオワ州が最初なのは、大統領選に大きな影響を及ぼすことを誇りとする同州が、州法によって「全米のどの州よりも早く予備選を行う」と定めているため。地区党員集会(precinct caucus)で選んだ代表を州全体でまとめ、順位(州の代表)を決定します。この党員集会を皮切りに、全米で次々に党員集会・予備選挙が行われていきます。

ピート・プティジェッジ氏がアイオワ州で勝利しました。

2月7日(火)
第8回民主党討論会(ニューハンプシャー州マンチェスター)

2月11日(火)
ニューハンプシャー州予備選挙(New Hampshire Primary)
アイオワ州に続く第2の予備選は、伝統的にニューハンプシャー州の予備選挙となっています。同州もアイオワ州同様、「全米のどの州よりも7日以上早く予備選挙(primary)を実施する」ことを州法で定めており、過去には他州が早期に予備選挙を行うことを発表したため予定を前倒ししたこともあるほどです。アイオワ州の後塵を拝することについては、"党員集会より一般投票に近い準オープン型の予備選挙方式であることに誇りを持っているため、意に介していない" と言われています。

サンダース上院議員がニューハンプシャー州で勝利しました。

2月19日(水)
第9回民主党討論会(ネバダ州ラスベガス)

2月22日(土)
ネバダ州民主党党員集会が行われ、サンダース上院議員が勝利しました。

2月25日(火)
第10回民主党討論会(サウスカロライナ州チャールストン)

2月29日(土)
サウスカロライナ州民主党予備選挙が行われ、バイデン副大統領が勝利しました。

3月3日(火)
スーパーチューズデー(Super Tuesday)
多数の州が予備選挙または党員集会を同時開催する日。2020年も14州と米国領サモアが予備選を実施しました。

アメリカの公共ラジオ NPR によると、ジョー・バイデン副大統領が14州中10州で勝利し、670人の代議員を獲得しました。バーニー・サンダース上院議員は大票田のカリフォルニア州を含む4州で勝利し、574人の代議員を獲得しました。

この結果を受け、エリザベス・ウォーレンが大統領選からの撤退を発表しました。

3月10日(火)

ワシントン州、ミズーリ州、ミシガン州、ミシシッピ州、ノースダコタ州、アイダホ州で一斉に予備選が行われました。また、ハワイ州で共和党党員集会が行われました。サンダース上院議員はノースダコタ州で勝利しましたが、バイデン副大統領はワシントン州、ミシシッピ州、ミズーリ州、ミシガン州、アイダホ州で勝利しました。

3月17日(火)

フロリダ州、アリゾナ州、イリノイ州で一斉に民主党予備選挙が行われました。バイデン前副大統領が3州で全勝し、サンダース上院議員を大きく引き離しました。

3月29日(日)
プエルトリコで民主党予備選挙が行われます。

4月4日(土)
アラスカ州で民主党予備選挙が行われ、民主党はバイデン前副大統領が勝利。

4月7日(火)
ウィスコンシン州で民主党と共和党が予備選挙を行われ、バイデン前副大統領が勝利。

4月13日(月)
バーニー・サンダース上院議員が大統領選挙からの撤退を発表し、ジョー・バイデン副大統領を支持することを表明しました。サンダース上院議員の撤退により、ジョー・バイデン前副大統領の指名獲得が確実となりました。

4月14日(火)


オバマ前大統領がバイデン副大統領を支持することを正式に表明しました。

6月5日(金)
ジョー・バイデン副大統領が代議員数の過半数にあたる1,991人を獲得。大統領選民主党指名獲得が確定したと NPR が報じました

民主党のジョー・バイデン氏が副大統領候補を発表

8月11日(火)

11月の大統領選で民主党の候補指名が確定したジョー・バイデン前副大統領が、カリフォルニア州選出のカマラ・ハリス上院議員を副大統領候補に選んだと発表しました。当選すれば、アメリカ初の女性で黒人・アジア系の副大統領が誕生することになります。

民主党・共和党の全国大会

8月17日(月)~20日(木)
民主党全国大会(Democratic National Convention)

【公式サイト】 www.demconvention.com
当初は7月13日(月)~16日(木)にウィスコンシン州ミルウォーキーで開催が予定されていましたが、新型コロナウイルスの影響で、大半がオンラインでの「バーチャル形式」で実施されます。代議員が投票を行い、8月18日(火)にジョー・バイデン前副大統領を正式に候補指名しました。


ほとんどの代議員は予備選の結果に従って誰に投票するかがあらかじめ決められていますが、1回目の投票でどの候補も過半数を獲得できなかった場合はブローカード・コンベンション(brokered convention、または contested convention)となり、2回目の投票が行われます。この時、約30州の代議員は、1回目に投票した候補とは別の候補に投票することが可能になるので、投票前に行われる談合(floor fight)などを通じて投票する候補を決め直します。従って、予備選で最多の(しかし過半数には届かない)代議員を得た候補が大統領指名を逃すこともあり得ます。

カマラ・ハリスが民主党の副大統領候補に正式に指名され、受諾スピーチを行いました。黒人・南アジア系の女性が大統領選の候補者になるのはハリスが初めて。

8月24日(月)~27日(木)
共和党全国大会(Republican National Convention)

ノースカロライナ州シャーロット
【公式サイト】 www.2020gopconvention.com
共和党がトランプ大統領を正式な党候補に指名。27日にはトランプ大統領が受諾スピーチを行いました。

本選

本選は、民主党と共和党のそれぞれから大統領候補指名を受けた人で争われます。二大政党の指名候補以外に、両政党に属さない人などが本選挙に出馬することも可能ですが、実際に当選する可能性は低いとされています。大統領候補および副大統領候補は、11月の一般有権者による投票日に向けて、外交・内政など特定のテーマに基づく討論会で激論を戦わせ、それぞれの政策をアピールしていきます。

9月29日(火)
第1回大統領候補討論会(Presidential Debate)
オハイオ州クリーブランド ケース・ウエスタン・リザーブ大学

10月7日(火)
副大統領候補討論会(Vice Presidential Debate)
ユタ州ソルトレイクシティ ユタ大学

10月15日(木)
第2回大統領候補討論会
フロリダ州マイアミ Adrienne Arsht Center for the Performing Arts

10月22日(木)
第3回大統領候補討論会
テネシー州ナッシュビル ベルモント大学

11月3日(火)
投票日(Election Day)
11月2日~8日のうちの火曜日が一般有権者(voters)による投票日となります。この開票結果によって実質的に次期大統領が決まります
厳密には一般有権者が州別に大統領選挙人(electors)を選ぶ間接選挙ですが、実際は投票用紙で大統領・副大統領候補者を選ぶと、その組み合わせに投票することを誓約した大統領選挙人に投票したとみなされる形式が多く、直接選挙に近いものとなっています。

大統領選挙人は全米で538人おり、州ごとの割り当ては、各州の人口に基づいて決まっている米国下院議員の人数に、各州2名の同上院議員数を加えた数と同数(最多はカリフォルニア州の55人、ワシントン州は12人)。

通常は、一般有権者による投票で最も多くの票を集めた候補が、その州の大統領選挙人を総取りします(例外はメイン州とネブラスカ州)。つまり、大統領選挙人が10人の州で、候補Aの得票率が6割、候補Bが4割であれば、候補Aが獲得する大統領選挙人は6人ではなく10人全員になります。最終的に大統領選挙人の過半数の270人以上の票を集めた候補が大統領に選ばれます

大統領就任式

2021年1月20日(水)
大統領就任式の日(The Inauguration Day)