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シアトルでカニを釣る

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かつては一年中釣り放題だったダンジネス・クラブも、いまでは一般に解禁されるのは7月から9月のわずか3ヶ月間だけとは寂しい限りだ。

拙著 『人生そぞろ歩き』 でも紹介させていただいた、引き潮のビーチを歩いてカニを生け捕る、あの「カニ歩き」なる手法は、カニが浅瀬に寄って来る4月~5月のシーズンがあいにくと禁猟期になってしまうので、もはや昔話になってしまった。

こうなると、カニ釣りは基本どおりのカニかご漁ということになる。それでもシアトルのような大都会の海で、こんな名物のカニが釣れるのだからありがたいと思わねばならない。

もくじ

カニかご(crab pot)を用意する

カニかごには大きく分けると、ポット、ないしはトラップと呼ばれる、檻のような立体構造の物と、リングと呼ばれる丸い柔構造の物の2種類に分けられる。ポットは、側面にあるドアが一方通行になっていて、入ったら出られないという仕組みなので、長時間海中に放置するのに適している。ボートで深さ30~60フィートくらいの沖合いに出て、真ん中の網かごにエサを入れ、ロープで繋いだブイを目印にして置いておけば良い。一時間も置いておけば、何匹かのダンジネスが中に閉じ込められているという作戦だ。

一方、リングのほうは回りに支えがないので、海底に着くとそのまま平らにヘタリ込んでしまう。真ん中に仕掛けたエサはモロ出し状態なので、カニさんも直ちにありつくことができるが、エサを食べてしまうと、またすぐに退散してしまうので、これは短期決戦に向いている仕掛けである。したがって、もっぱら桟橋などから投げ入れて、15-20分くらいで、こまめに引き上げてチェックするほうが、確実だ。ロープをすばやく引けば、周りの袋状の網が壁のように立ち上がるので、カニは驚く暇もなく、生け捕りとなる次第である。

餌と釣り場

エサは魚の頭や中落ちなどのスクラップや、チキンなどを使う人が多い。カニは雑食なので、なんでも臭いがすればいいという説が有力である。むしろ場所が決め手で、近場では小船があれば Shilshole Bay の北側の浅瀬とか、エヴァレット市の沖合いなどが、なかなか良い。桟橋からでは、どうしても数に限りがあるが、ラ・コナー市のマリーナなどでは一度に10匹以上入ることも少なくない。

ただし、ダンジネスにはサイズ制限があって、背中の甲羅のさし渡しが6.25インチ以上ないと持ち帰ることはできないのでご用心。また、メスも持ち帰りはできないので、間違えないように。

レッド・ロック・クラブも美味

エリオット湾ではダンジネスはあまり釣れないが、時々レッド・ロック・クラブが網に入ってくることがある。こちらはダンジネスよりも小ぶりなカニで、爪ばかりが大きくて胴体にはあまり身がないのだが、このカニ爪は美味である。ただし、殻が固いので、簡単には割れない。茹でて、木槌などで爪をかち割って食べると、ダンジネス以上にカニの風味が強く、絶品である。ポン酢でもよし、洋風にマヨネーズとディジョン・マスタードでワインというのもなかなかである。しかも、市場にはあまり出ないカニなので、自分で獲った人だけが味わうことができるという、贅沢な味だ。こちらのほうはサイズ制限は5インチで、オス・メスともに OK なので、一度試されることをおすすめする。

ワシントン州で魚釣りや潮干狩りをするには、ライセンスを購入する必要があります。また、カニ釣りのシーズンや規制については、ワシントン州魚類野生生物局の公式サイトを必ず確認すること。量・数には制限があります。ワシントン州魚類野生動物管理局(WDFW)の公式サイトでライセンスを購入し、規則を読んでから出かけましょう。

文:光岡則夫
1952年、横須賀生まれ。小学生の時に2年間をアメリカで過ごす。東京大学卒業後に電通に入社、旅行会社への転職を経て、1981年にロサンゼルスの DENTSU AMERICA へ。その後、オイル・チェンジのバルブを販売する会社をシアトルで起業。普段は釣りや松茸狩りなど、ワシントン州の四季を満喫する日々を送っている。『ぶらぼおな人』での取材記事はこちら。ワシントン州での釣り、松茸狩り、栗拾い、山菜取りなどについてまとめた 『人生そぞろ歩き』 を文芸社から出版。

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