シアトル美術館(Seattle Art Museum、通称 SAM)は、シアトルのダウンタウン中心部に位置する市内最大の美術館です。北西部の先住民アートから現代アート、アジア美術やヨーロッパ絵画まで、多彩なコレクションを誇り、収蔵品は2万4千件以上。地元では「SAM(サム)」の愛称で親しまれています。

1st AvenueとUniversity Streetの角には、ランドマークとなる高さ15メートルの動く彫刻『ハマリング・マン(Hammering Man)』が設置され、労働者を象徴するこの作品は訪問者を出迎えてくれます。
シアトル美術館の歴史

シアトル美術館は、1933年にシアトル市内のキャピトル・ヒル地域にあるボランティア・パークに完成したアールデコ調の建物で開館しました。当初はシアトル美術館のメイン・コレクションを展示していましたが、1991年に改築工事を終えたダウンタウンの現在の建物に移転しました(ボランティア・パークの建物は、シアトル・アジア美術館となっています)。現在は140にも及ぶ地域の芸術文化を網羅する美術館に成長し、北西部屈指の規模を誇る収蔵品は2万4千件を超えています。
1991年に改築が終了した部分のデザインを手がけたロバート・ヴェンチュリ氏は、1925年にフィラデルフィアに生まれ、プリンストン大学を卒業した後、ポストモダニズムの理論と作品を先導するアメリカの代表的な建築家になりました。初期の代表著作『建築の多様性と対立性』(1966)や『ラスベガス』(1972)においてポストモダニズムの理論を展開し、1960年代からそれを実証する作品を通して国内外に大きな影響を与えました。初期の代表作品には、1960年代の『母の家』『ギルド・ハウス』、1970年代の『フランクリン・コート』『ディクスウェル消防署』『アレン・メモリアル美術館増改築』などがあります。
ダウンタウン本館の見どころ
1. Porcelain Room と現代アート
館内で人気の高い Porcelain Room(陶磁器展示室)では、世界各国の陶磁器が壁一面に展示され、圧巻の美しさを楽しめます。また、定期的に開催される現代アートや特別展も見逃せません。
2. 北西部ネイティブ・アメリカンのアート
シアトル美術館の特色のひとつが、北西部の先住民(ネイティブ・アメリカン)アートの展示です。アメリカ美術(American Art)の一部として紹介されるこれらの作品には、トーテムポール、彫刻、仮面、織物などが含まれ、太平洋岸北西部の文化と歴史を深く学ぶことができます。地域性とアメリカ美術のつながりを感じられる展示です。
3. 日本美術と茶室
館内には、江戸時代の絵画や浮世絵、陶磁器などの日本美術コレクションが充実しています。特に注目したいのは本格的な茶室。茶道の実演が行われることもあり、日本の伝統文化を体感できる貴重な空間です。静かな茶室の雰囲気は、美術館の中でも特別な癒しの場になっています。茶道の実演の日程は公式サイト参照。
館内おすすめ見どころランキング
- ハマリング・マン(Hammering Man) – 美術館の顔となる動く大型彫刻
- 北西部ネイティブ・アメリカンの展示 – アメリカ美術の地域性を象徴
- 日本美術と茶室「緑水庵」 – 静寂と伝統文化を味わえる空間
- Porcelain Room – 360度を囲む陶磁器コレクション
- 特別展・現代アートギャラリー – 常に新しいアート体験ができる
シアトル美術館のミュージアム・ショップとレストラン
ミュージアム・ショップでは、美術品のレプリカや本、小物などを購入できます。1階にあるレストラン『MARKET Seattle』では、フィッシュ&チップス、チャウダー、クラブロール、ロブスターロールなどが味わえます。
アクセス情報
住所:1300 1st Avenue, Seattle
電話:(206) 654-3100
開館時間:水~日 10am – 5pm
休館日:月・火
入館料:
- 大人 $32.99
- シニア(65歳以上)$27.99
- 学生/軍人(要ID)$22.99
- 15–18歳 $22.99
- 14歳以下無料
- SAM会員 無料
※オンライン事前購入で $3 割引
無料入館日:毎月第1木曜(全員)、第1金曜はシニア $5
公式サイト:www.seattleartmuseum.org
シアトル美術館の姉妹施設
シアトル・アジア美術館(Seattle Asian Art Museum)

キャピトル・ヒルのボランティア・パークにある歴史的なアールデコ建築の美術館。中国、韓国、日本、インドなど多彩なアジア美術コレクションを楽しめます。

オリンピック彫刻公園(Olympic Sculpture Park)

ダウンタウンから徒歩圏のウォーターフロントに位置する屋外美術館。ピュージェット湾とオリンピック山脈を背景に、現代彫刻やインスタレーションを無料で鑑賞できます。

シアトル美術館は、ネイティブ・アメリカンの文化を深く知り、日本美術や茶室で静かに過ごし、特別展で現代アートを体験できる総合的な美術館です。ダウンタウン観光と組み合わせて訪れるのに最適で、時間に余裕があればアジア美術館やオリンピック彫刻公園も合わせて巡ると、シアトルのアートシーンをより深く楽しめます。