秋になると、シアトルではオペラやバレエ、シンフォニーといった舞台芸術の主要団体が揃って新シーズンを迎えます。シアトル交響楽団(Seattle Symphony)は新音楽監督シャン・ジャンの就任で注目を集め、パシフィック・ノースウェスト・バレエ(Pacific Northwest Ballet)は『Jewels』『The Nutcracker』『Giselle』などクラシック作品と現代作品を融合させたプログラムをラインアップ。さらにシアトル・オペラ(Seattle Opera)では『Carmen』『The Pirates of Penzance』といった名作がラインアップされています。秋から春にかけて、シアトルで舞台芸術を楽しむための最新情報を紹介します。
シアトル・シンフォニー:グラミー賞も受賞している交響楽団

最初の公演は1903年という、114年の歴史を誇る交響楽団。これまで150近くのレコーディングを行い、グラミー賞やエミー賞など、さまざまな賞を受賞しています。
新音楽監督の就任
2025/26シーズンは、新音楽監督シャン・ジャン(Xian Zhang)が正式に指揮を執る初めてのシーズンです。クラシックの巨匠作品に加え、マイケル・エイベルズ(Michael Abels)、ジェシー・モンゴメリー(Jessie Montgomery)、ノクツーラ・ングウェニャマ(Nokuthula Ngwenyama)など現代作曲家の作品も取り上げるとしています。
開幕ガラ公演
2025年9月13日(土)に開催される開幕公演では、『Hymn for Everyone』(ジェシー・モンゴメリー)、『ピアノ協奏曲』(グリーグ)、『運命の力』序曲(ヴェルディ)、『シャールカ』(スメタナ)、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』前奏曲(ワーグナー)などが演奏予定です。
追加公演・特別企画
『Morgan Freeman’s Symphonic Blues Experience』、『Andrew Bird with the Seattle Symphony』、『How To Train Your Dragon in Concert』など、クラシック以外のコラボレーション公演も組まれています。
ホーム・シアター
ホームシアターは、ダウンタウンにあるベナロヤ・ホールです。1998年にオープンし、シアトル・シンフォニーの本拠地として、クラシック音楽や現代音楽、特別イベントなど、さまざまな公演が行われています。建築家クリスチャン・ソッティレのデザインによる現代的なスタイルで、ガラスと花崗岩の外観が印象的。劇場内は温かみのある木調でまとめられ、2500席を誇るS. マーク・テイパー財団オーディトリアム、500席収容のイルズリー・ボール・ノードストローム・リサイタルホールが揃っています。
劇場内にカジュアルな食事が楽しめるカフェがあり(カフェは開演2時間前、ロビーにあるバーは開演75分前に開店)、また、周辺にもいろいろなレストランが営業しています。
パシフィック・ノースウェスト・バレエ:世界的な振付家による作品をラインアップ

1972年に創設され、2025年で53周年を迎えたパシフィック・ノースウェスト・バレエは、米国内だけでなく国際的にも高く評価されるバレエ団。これまで何度も上演されてきた人気作品に加え、同バレエ団初演の作品や世界初演の作品も上演するなど、常に挑戦を続けています。
クラシックと現代の融合
2025/26シーズンの開幕公演はバランシンの珠玉の三部作 『Jewels』(ジュエルズ)。さらにクラシックバレエの代表作 『Cinderella』(シンデレラ)、『Giselle』(ジゼル)を含む物語バレエの数々、現代振付家ジェシカ・ラング作品を含む新作や、PNBダンサーの世界初演作、新作 Momotaro(桃太郎)もラインアップし、家族連れからコアなバレエファンまで幅広く楽しめるシーズンとなっています。

ホリデーシーズンの定番

©︎ Pacific Northwest Ballet
ホリデーシーズン恒例『The Nutcracker(くるみ割り人形)』は、2025年11月28日(金)から12月28日(日)まで上演予定。原作は E.T.A. ホフマンの『The Nutcracker and the Mouse King』(1816)。音楽はチャイコフスキー(The Nutcracker, Op. 71, 1891-1892, with an excerpt from The Sleeping Beauty, Op. 66, 1889)。
クリスマス・イブに、ドロッセルマイヤーおじさんにくるみ割り人形をもらった少女のクララ。その夜、みんなが寝静まった後、物音がしたので居間に行くと、いきなり体が小さくなり、ねずみ達に襲われてしまいそうになりました。弟フランツのおもちゃの兵隊たちがねずみ達と戦い始め、くるみ割り人形がクララを助けようとしますが…。
引退記念公演
長年にわたりプリンシパル・ダンサーとして活躍してきたルシアン・ポストルウェイト氏の引退を祝う『Season Encore』が、2026年6月7日(日)に予定されています。
ホーム・シアター
ホームシアターは、クイーン・アンにあるマリオン・オリバー・マッコウ・ホールです。2003年にオープンした劇場で、客席数は約2900席。優れた照明や音響システムを備え、パシフィック・ノースウエスト・バレエとシアトルオペラの本拠地として、年間を通じて多彩なパフォーマンスが行われています。
開演前に劇場内のレストランや周辺のレストランで食事をする場合、予約がおすすめ。途中休憩(インターミッション)では劇場内のレストランやコンセッション(売店)はかなり込み合うので、前もってドリンクや軽食を注文しておくと、インターミッションが始まってすぐにいただくことができます。コンセッションで Intermission Pre-Orders について聞いてみましょう)。各階のロビーには、セルフサービスのコーヒースタンドで1杯2ドルのコーヒーも用意されています。
シアトル・オペラ(Seattle Opera)|伝統と革新を兼ね備えた舞台芸術

©️ Seattle Opera
1963年に設立されたシアトル・オペラは、アメリカを代表するオペラ団体の一つで、特にリヒャルト・ワーグナー作品の上演に定評があります。オペラは、歌手がセリフをすべて歌にのせて物語を展開させる総合芸術であり、マイクを使わず豊かな声量でホール全体に響き渡る歌声が魅力です。公演前にあらすじを確認しておくと、演出や演技をより深く楽しむことができます。上演言語はフランス語、イタリア語、ドイツ語、英語などさまざまですが、舞台上部には英語字幕が表示され、初めての観客にも理解しやすい環境が整っています。
2025-2026シーズンの演目
2025-2026年シーズンには、以下の作品が予定されています:
- 『The Pirates of Penzance』(2025年10月18日〜11月1日)
- 『Daphne in Concert』(2026年1月16日・18日)
- 『Fellow Travelers』(2026年2月21日〜3月1日)
- 『Carmen』(2026年5月2日〜17日)
『Daphne in Concert』のようにコンサート形式での上演もあり、多様な形態のオペラを楽しめるシーズンです。『Carmen』については、定期購読により最大40%の割引やチケット交換特典あり。
ホームシアターはマッコウ・ホールで、シアトル・オペラとPNBが共同で使用しています。
シアトル・オペラの新ジェネラル・ディレクターについて
2024年9月、ジェームズ・ロビンソン(James Robinson)氏がシアトル・オペラのジェネラル・アーティスティック・ディレクターに就任しました。61年の歴史の中で5人目の総監督で、2008年からオペラ・シアター・オブ・セントルイス(OTSL)の芸術監督を務め、11の世界初演を委嘱し、75以上の新演出を手掛けるなど革新的な活動で知られています。就任にあたり「シアトルはオペラの街であり、その豊かな伝統を受け継ぎ、観客とともに新しい芸術を創り上げていきたい」と公式サイトで語っています。
ホーム・シアター
ホーム・シアターは、シアトル・センターにあるマリオン・オリバー・マッコウ・ホール(パシフィック・ノースウェスト・バレエと共用)。客席からは見えない舞台下にいるオーケストラによる生演奏も楽しめます。
途中休憩(インターミッション)では劇場内のレストランやコンセッション(売店)はかなり込み合うので、前もってドリンクや軽食を注文しておくのがおすすめ。コンセッションで Intermission Pre-Ordersをしましょう。グランド・ロビーのワイン・ビストロでは、全米第2のワインの産地であるここワシントン州のワインが揃っています。各階のロビーには、セルフサービスのコーヒースタンドで1杯2ドルのコーヒーもあり。
マナーについて|シアトルで舞台芸術を楽しむために
シアトルでは、オペラやバレエ、シンフォニーの公演はカジュアルに楽しめ、「敷居が高い」という雰囲気はありません。いくつかの基本的なマナーがあります。
- 開演時間を守る
公演が始まってからの入場はできません。必ず余裕を持って到着し、開演前に着席しましょう。 - 携帯電話の扱い
携帯電話は必ず電源を切るかエアプレーンモードに設定し、公演中に画面を見ないようにします。わずかな光でも周囲の観客や演者の妨げになります。 - 公演中は同伴者や周囲の人と会話をしない
公演中は必要でない限り、同伴者や周囲の人と会話しません。 - 大声で話さない
公演が始まる前後、休憩時間に大声で話さない。 - 飲食について
映画館ではないので、劇場内への飲食物の持ち込みは(蓋つきの容器であっても)禁止されています。飲食はロビーにある指定の場所で行いましょう。インターミッション中は売店やカフェを利用できます。 - 香水やコロンの使用
強い香りは他の観客に不快感を与える可能性があります。アレルギーのある人もいるため、使用は控えるのが望ましいとされています。 - 服装
シアトルでは、劇場での特別なディナーイベントやパーティーを除けば、フォーマルである必要はありません。カジュアルすぎない、少しきれいめな服装で十分楽しめます。

