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アメリカ初の1400kmブルベ、ワシントン州で開催 日本人女性初の完走者PEKOさん Q&A

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ブルベ

みなさんは、「ブルベ」という言葉を耳にしたことはありますか?200km~1400kmのコースを制限時間内で完走することを目指す長距離サイクリングのイベントのことで、19世紀末にフランスで始まって以来、「認定」を意味する "Brevet" と呼ばれるようになりました。

今では日本やアメリカを含む世界各地で、たくさんの人たちが楽しんでいるブルベ。2022年6月にここシアトルにあるサイクリングクラブ Seattle Randonneurs RBA が開催したアメリカで初めての1400kmのブルベ 『Cascade 1400』 には、アメリカ、カナダ、アイルランド、日本、オーストラリア、スペインから71人(男性66人、女性5人)が参加しました。

長距離をセルフサポートで走るブルベの魅力とは?今回、この "「アメリカ初の1400kmのブルベ」を完走した最初の日本人女性" となった PEKO さん(@ab_peko)に、お話を伺いました。

― フランスで4年に一度開催されるブルベの最高峰『パリ・ブレスト・パリ』(PBP)の参加国の中で、アジアからの参加者は日本が最多だったと記憶しています。以前に夫が日本でブルベに参加し、その時の主催者の方にカナダのロッキー1200kmで再会してお話しする機会があり、日本でもブルベが盛んなことを知りました。PEKO さんがブルベを走り始めたきっかけは何でしょうか。

自転車に乗るうちにブルベに参加している知り合いが増え、ブルベの存在は知っていました。当時禁煙をしていたのですが、タバコが吸いたくなってしまい、「禁煙すると決めたのに自分の誓いをやすやすと破るのは・・・」と思った時、「そうだ、キツイと聞くブルベを完走したら、禁煙を辞めていいことにしよう!」というルールを作り、エントリーしました。

初めてのブルベが400kmだったのですが、走ってみるとトントン拍子に Super Randonneur(※)を取るまでになり、気が付いたらブルベ自体が好きになって、今日に至ります。
※The Super Randonneur(SR)とは、スーパー・シリーズのブルベ(200km、300km、400km、600km)を一年の間に完走した人に与えられるタイトル。

ブルベの良いところは、誰かと競い合うものではなく、常に自分との戦いであること。そこも勝ち負けの苦手な自分にはあっていました。

結局、今も禁煙は続いています(笑)。

― 今回のカスケード1400を走ってみて、シアトルやワシントン州について、どのようなことが強く記憶に残っていますか?

日本のコンビニなどで 『マウント・レーニア』 というコーヒー飲料が売られているので、マウント・レーニア(※)という名前は知っていましたが、ワシントン州にあるということは初めて知ったので感動しました。
※ワシントン州を東西に分断するカスケード山脈で最も標高の高い山がマウント・レーニアです。ワシントン州最高峰でもあります。

あとは、日本の COSTCO で一年に数回販売されているレーニア・チェリーが好きでよく買っていたのですが、そのレーニア・チェリーの名前がマウント・レーニアから来ていると知って、また感動しました。カスケード1400はちょうどレーニア・チェリーのシーズンだったので、農家の直売所で購入して走りながら食べました。

あと、これは日本に帰ってきてから知ったのですが、日本のマクドナルドのポテトはワシントン州産も使われているんですね。

普段の生活では意識していませんでしたが、実は日本とシアトルにそんな結び付きがあることを知って、なんだか嬉しかったです。

ワシントン州は、海も山もあって、人々もアジア人に優しく、とても居心地の良い場所だなあと思いました。

― 「アジア人にも優しい」と感じる経験は、どんなことがありましたか?逆に、そうでない経験もありましたか?

ワシントン州や近隣のオレゴン、サンフランシスコからの参加者のみなさんが、とても優しくしてくださった記憶があります。

カスケード1400のオーガナイザーのスーザンは、私が海外からの参加者ということ、そしてご自身が以前に日本の松山(愛媛県)で仕事をしていたことから、ブルベ参加中にコントロール・ポイントで会うと、日本語で挨拶をしてくれたりしました。ブルベ中にパーティーを組んだポートランド出身の参加者は、私が「日本語を何日も話してなくて寂しい」とこぼしたら、そこから日本語についていろいろ聞いてくれるなどして気を使ってくれたり、お昼を食べるときにテリヤキレストランの店に連れて行ってくれたりしました。そのテリヤキは日本のものとはまったく違いましたが、美味しかったです。

人種差別的なものはなかったように思います。何度かトラック運転手などに F ワードを叫ばれましたが、アジア人に対してというより、自転車乗りに対してヘイト感情を持っている方もいるのかな・・・と。

日本と違ってあんなに大きな道路ばかりなんだから、お互い、譲り合えばいいじゃない!と思いました。

ブルベ

― PEKO さんはサイクリングの漫画も描いてらっしゃいます。今回のカスケード1400の体験を描かれた漫画 『腐ったオタクの自転車ライフ12 Cascade 1400km編』 を友人がプレゼントしてくれたので、家族でとても楽しく拝読しました。いろいろな経験をされましたね!また1400が開催されるかどうかはわかりませんが、次にワシントン州で開催されるイベントに日本から来られる方へのアドバイスなどありますか?

アメリカのブルベは、日本のブルベよりもグループ走行を推奨されている感じがしました。日本と違い、ものすごく大きなトレーラーやピックアップトラックが走っていて、その中には危険な運転をする人や攻撃的な人がいるからだと思います。

よほど走力がある方なら単独でもいいかもしれませんが、不安がある方は、臆せず、簡易のパーティーを組んで走るのがいいと思います。

時に助け合ったりして、かけがえのない経験を分かち合うことが出来るからでです。

サイクリングに役立つグッズをいろいろ制作・販売されている PEKO さんがサイクリングに感じる魅力とは。

サイクリングは一人でも始められるんです。バスケやサッカーのように人が集まらなくてもいい。好きな時間に、好きな距離を、好きな場所で走れることに魅力を感じます。

また、日常生活では絶対に行かないような場所や景色に出会えるのも魅力の一つです。

そして何より、自転車に乗ったあとのご飯はとっても美味しいんです。

― 次の1200km以上のブルベは、どこを走る予定ですか?そのイベントでは、何が楽しみですか?

次の1200km以上は、今のところ、2023年4月29日(土)に開催される「RM429東京1900本州縦断桜前線」という、ランドヌ東京というブルベ団体が主催する1900kmを予定しています。

まだコースは出ていないのですが、おそらく九州最南端から青森を目指すコースになるかと思います。カスケード以上の距離を走るのがこれが初めてなので、とても楽しみです。

海外からの参加も、今年なら来やすいのかな?と思いますので、皆様の参加をお待ちしております!

その次はもちろん、PBP です。

― ありがとうございました。ブルベ生活、これからも気を付けて楽しんでください!

掲載:2023年2月 聞き手:オオノタクミ

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