食とアート、そしてテクノロジーを融合させた没入型ダイニングイベント『The Radiant Table(ザ・ラディアント・テーブル)』。サンフランシスコでの成功を経て、2025年8月からベルビューで初開催されています。
The Radiant Table とは

会場は、ベルビュー・スクエアの一角で、以前は『Ruth’s Chris Steak House』だったスペースをリニューアル。同店が退店してから空き店舗となっていたのを、ポップアップのイベント会場として活用しています。
The Radiant Table(ザ・ラディアント・テーブル)が通常のレストランと異なるのは、地元で活躍する人気シェフたちが日替わりで登場する点。そして、シェフが手掛ける4品構成のコースを、それぞれのテーマに合わせてテーブルに映し出される最新のプロジェクションマッピングが盛り上げます。例えば、前菜には海の波が広がり、キノコ料理には森が現れることで、料理と映像が一体化した世界観をプロデュースするようになっています。事前にアレルギーを伝えれば対応してもらえるので、安心して参加できます。
食事前にはバーでドリンクを楽しむ時間があり、地元のワインや特製カクテルを。食事は基本は8人までの相席となるので、同伴者と一緒に座りながら、同じテーブルの初対面の人と話すことが前提です。事前に8名で予約すれば一つのテーブルを仲間同士で囲むことも可能。交流と発見を大切にした仕組みが、ネットワークを広げたい人たちに人気の理由の一つになっています。
会場とイベント当日の流れ

ベルビュー・スクエアの一角にある会場のドアを開けると、チェックイン用のロビーになっています。その先には大きな窓のあるバーや、無料でポラロイド写真を撮影できるスポットが。訪れたゲストが自然にイベント気分を高められるよう工夫しているのが感じられました。
チェックインを済ませると、その日の着席場所が案内されます。ディナー開始時刻までは、料金に含まれる1杯のドリンクを楽しみながら開始を待ちます。やがてアナウンスが流れると、階段(またはエレベーター)で上階へ移動し、指定された席に着席しました。
飛行機と同じく、誰が隣に座るかわからない状況なので、同席する初対面の人たちにかなり影響を受けることは想定できます。今回は、簡単な自己紹介をした後、婚約したばかりというカップルから馴れ初めなどを聞いたり、共通の友人がいることを発見したりし、なごやかなテーブルでホッ。「新しい体験を楽しもう」という気持ちで参加できる人と行くのがおすすめです。
『Gravy』のドレ・ニーリー氏による特別ディナーを体験

今回体験したのは、ヴァション・アイランドにある『Gravy』のオーナーシェフ、ドレ・ニ―リー氏による4コースディナー。各コースがサーブされた時点で、シェフがキッチンからダイニングルームに来てくれて、材料、その生産者、自身が込めた思いなどを語ってくれました。料理に合わせてテーブル上の映像が変化するので、一皿ごとに物語が展開するような雰囲気に。
最初の一皿は、スモークしたビーツを主役にしたサラダ。ヴァション・アイランド産の桃、ステラ・マリス・ファームのブルーチーズ、エディブル・フラワーなど地元の食材をふんだんに使い、この地域の恵みを感じさせてくれました。

続く肉料理のメインはポーク・テンダーロインに、サマーコーンとマッシュルームのプディングを添えた一皿。柔らかい豚肉は、ほんのり甘いプディングと相性ピッタリでした。魚料理は絶妙な焼き加減のスティールヘッド・トラウトをチェリートマトやストリングビーンズ、ポテトと合わせ、夏らしい爽やかさを演出。最後は銀河をイメージしたチョコレートテリーヌが登場し、宇宙を旅しているかのような映像が映し出され、非日常的な雰囲気を演出していました。

当日のメニュー
- スモーク・ビーツサラダ
ヴァション・アイランド産ビーツの燻製、桃、ステラマリス・ファームのブルーチーズ、シェリービネガー、食用花 - ポーク・テンダーロインとサマーコーン&マッシュルームのプディング
ジュニパーで香り付けしたポーク・テンダーロイン、地元産スイートコーンと山で採れたキノコ、スイートコーンミルクのプディング添え - スティールヘッド・トラウトと夏野菜のハッシュ
グリルしたスティールヘッド・トラウト、フィンガリングポテト、ローストチェリートマト、ベビー・ストリングビーンズ、野生クレソンのロメスコソース添え - チョコレートテリーヌ バジルホイップ添え
小麦粉不使用のチョコレートテリーヌ、バジルホイップ、オリーブオイル、シーソルト添え
今後の開催に注目
食とアート、テクノロジーが融合する「The Radiant Table」は、すでに多くの日程が完売しており、ベルビューでの開催も残りわずか。この冬には新たなテーマでの開催も予定されているそうなので、今後の展開に注目です。
文:オオノタクミ 写真:オオノタクミ & Visit Bellevue