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シアトル発のブルワリー 『パイク・ブリューイング』がイメージを一新!IPA やピルスナーの新商品も登場

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パイク・ブリューイング

© Pike Brewing

米国でクラフトビールが空前のブームを迎える前、まだ「マイクロブリュー」(microbrew:地ビール)と呼ばれていた1989年に、シアトルを代表する観光地パイク・プレース・マーケットで創業したパイク・ブリューイング。以来、創業者兼オーナーのチャールズ・フィンケル氏と妻の故ローズ・アン氏のリーダーシップのもと、数え切れないほどの賞を受賞してきました。

しかし、コロナ禍で一時的にレストラン営業ができなくなったことを機に、クラフトビール業界を知り尽くしているフィンケル氏と社長のドリュー・ガレスピー氏は、ビジネス全体を見直すことに。そして、ビール製造部門を強化し、新しい商品を、新しいブランドイメージで打ち出すという、大規模なリニューアルを実行しました。

ビール製造部門を強化し、商品ラインアップをリニューアル

パイク・ブリューイング

ドリュー・ガレスピー社長

「当社の歴史を誇りに思っていますが、それに依存することはできません。クラフトビールの技術は常に変化しており、今の人たちが望む商品を作っていかなくてはならないのです」と語るガレスピー社長は、19歳の時から24年にわたりパイク・ブリューイングでキャリアを積んできた、たたき上げの人物。カリナリー・アートを学びながら調理担当として入社し、レストラン部門のすべてのポジションを経験した後、ビジネス部門でさまざまなポジションを経て、2018年に社長に就任しました。

「ここまで長くこの会社にいることになるとは思っていませんでした。でも、組織が良く、楽しく、お互いをケアしあう環境なので、他の会社に行く必要を感じなかったんですよ」

そんなガレスピー社長がまず手掛けたのは、シアトル市内の人気クラフトビール会社で経験を積んだ女性2人を採用し、ビール製造部門を強化することでした。

「現在は15人がブルワリー部門、55人がレストラン部門で働いているので、パンデミックに大きく影響を受けました。でも、同時に、これまでと同じことを続けるのではなく、より強くなってカムバックするために私たちは何をすべきかをゆっくり考えるチャンスととらえることができたのです」

パイク・ブリューイング

左:ヘッド・ブリューワーに就任したレスリー・ショア氏
右:醸造所&品質保証マネージャーに就任したバーバラ・ビーバー氏

新しくヘッド・ブリューワーに就任したのは、シアトルのルーベンズ・ブリューでリード・ブリュワーとして6年半にわたり経験を積んだレスリー・ショア氏。就任早々、パイク・ブリューイングの従来のレシピに調整を加え、新商品の開発やパイロットプログラムを始動しています。

また、醸造所&品質保証マネージャーには、シアトルのジョージタウン・ブリューイングやエリシアン・ブリューイングなどで合計10年以上にわたり品質管理に携わってきたバーバラ・ビーバー氏が就任しました。現在、品質管理、製造工程の改善、ブランド開発、商品開発、そしてインクルーシブなチームワークと、さまざまな方面に携わっています。

「これまでクラフトビール業界といえば、私のような白人男性がブリューマスターを務めるのが一般的でした。でも、今は違います」と、ガレスピー社長。「この業界で経験豊富な2人の女性がチームに加わったことで、とてもわくわくしています。学び続け、古いレシピを微調整し、新しいビールを作り出すことはエキサイティングですから」。

ブランドイメージを一新し、新商品を開発

パイク・ブリューイング

© Pike Brewing

そして、パイク・ブリューイングは、シアトルのビール業界と広く仕事をしている Blindtiger Design と協働し、創業当時から使用していたロゴを含む、ブランドイメージを一新。その歴史を大切にしながら、ブルワリー全体のアップデートとイノベーションを伝える、よりすっきりしたモダンなスタイルが誕生しました。店内やグローサリーストアなどで販売されている缶ビールのラッピング、Tシャツや靴下などの商品も、この新しいデザインが採用されています。

また、幅広い年齢層と多様な好みに対応するべく、新たに3種類のビールがコア・シリーズに加わりました。

  • ホップの香りと苦みを生かしたクラシックな IPA 『Waterfront IPA』
  • ホップの苦みは控えめでトロピカルでスムーズな味わいの 『Uptown Hazy IPA』
  • ホップの苦みとすっきり爽やかなのどごしが人気の 『Post Alley Pilsner』

IPA は米国のクラフトビール市場の50%を占めているので、自然な選択と言えます。

また、コア・シリーズには、レシピを微調整した 『Space Needle West Coast IPA』『Pike Place Pale Ale』、そして『Cosmic Pulp Juicy IPA』も含まれています。根強い人気のあるクラシックな『Kilt Lifter Scotch Ale』『Monk’s Uncle Tripel Ale』『5x Stout』 は、微調整はしていますが、基本は変わっていません。

10月からは季節限定のビールも発売し、2~3カ月ごとにローテーションする予定。また、イノベーションを目的としたシリーズ 『Third Story Beer』 も再開が予定されています。これは新しいレシピやコンセプトを試す少量生産のビールで、パブで飲むことができるそう。歴史を大切にしながらイノベーションもしていると伝え、地元の非営利団体と提携し、ファンドレイジングの役割を担っているのも、このシリーズの特徴です。

日本国内のレストランや中部国際空港セントレアでも飲める

パイク・ブリューイング

© Pike Brewing

「今回の取材でお伝えしたかったことの一つ」とガレスピー社長が話してくれたのは、日本にもパイク・ブリューイングのビールを飲める店があることでした。

2018年にオープンした当時に取材した名古屋の中部国際空港セントレアの 『フライト・オブ・ドリームズ』の他、パイク・ブリューイングのビールを取り扱っている店があるんです。

「日本各地のレストランや、名古屋の空港でもパイク・ブリューイングのビールを味わっていただけるのは嬉しいことです」と、ガレスピー社長。「でも、今回、日本の出入国規制が大幅に緩和されたので、ぜひ日本からシアトルに来て、パイク・プレース・マーケットにある当店でビールと食事をしてみることもおすすめします!」

パイク・ブリューイング

© Pike Brewing

醸造所が中心となっている3階建てのブルワリーレストランは、創業者のフィンケル氏が長年にわたりコレクションしてきたビールに関連するものが展示され、まるでビール博物館のよう。中心部には階下の1階から3階までビールを醸造するステンレス製のタンクが陣取っています。

パイク・ブリューイング

リニューアルした3階のレストラン 『Pike Fish Bar』

パイク・ブリューイングの歴史を感じさせる雰囲気で食事をするなら、1階のレストランへ。明るくてモダンな雰囲気で食事をするなら、今年になってリニューアルした3階のレストラン 『Pike Fish Bar』 がおすすめです(1st Avenue から入ると正面に入口があります)。

パイク・ブリューイング

『Pike Fish Bar』

オイスターのハーフシェル、クラムやカニのチャウダー、フィッシュ&チップス、プレッツェルなど、ビールにあうものが揃っているので、いろいろな種類のビールを楽しめるサンプラーとともに味わってみてはいかがでしょうか。

Pike Brewing
1415 1st Avenue, Seattle (地図
www.pikebrewing.com
Twitter: @pikebrewing
Instagram: @pikebrewing
Facebook: Pikebrewingcompany

掲載:2022年10月 取材:オオノタクミ

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