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2025年1月:アメリカの就労ビザ H-1Bビザプログラムに関する最新情報

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H-1Bビザは、特定の分野で特殊技術や知識が必要とされる専門職に就く外国人労働者に適合するビザで、専門分野での学士号、または同程度の実務経験が求められます。 

会計年度(10月1日から翌年9月30日まで)におけるH-1Bビザの新規発給数には限りがあり、これをCAPと呼びます。現在、このCAPは一般枠が6万5,000件、特別枠(アメリカの大学で修士号以上の学位を取得した人)が2万件と定められています。

移民局は、2024年12月2日に、2025会計年度の一般枠と特別枠の両方で上限に達するに十分な申請を受け取ったことを発表しました。また、前会計年度は758,994件あった登録数が大幅に減少し、2025会計年度の登録数は470,342件であったことも発表されました。

なお、上限の対象とならない(Cap Exempt)申請や、すでに上限にカウントされ、現在H-1Bを所持している労働者による延長申請や雇用条件変更申請、雇用主変更申請、追加同時申請などは、引き続き受理されます。

もくじ

現在の H-1B プログラムの仕組み

以前コラムでもお伝えしたことがありますが、現在、H-1B申請は、上限の対象となる外国人労働者の雇用を求めるスポンサー企業が、登録期間中に電子登録システムに申請を希望する外国人労働者を事前登録し、当選した場合にのみ申請を提出する資格が与えられるシステムになっています。会計年度2026年より、登録料金が$10から$215に値上がります。

スポンサー企業は、提供した情報が真実であること、登録が正当な求人を反映していること、また当選の可能性を不当に増やすために不正な行為を行っていないことを宣誓します。

不正行為が発覚した場合、当選しても申請を提出することはできません。また、申請がすでに認可された後であれば、認可が取り消されます。さらに、虚偽の宣誓を提出した個人または団体を刑事訴追のため連邦司法当局へ照会することもあります。

2025会計年度の登録数の減少は、システムが効果的に働いていることを象徴しているとの証拠かもしれません。

H-1B プログラムの近代化

2024年12月17日、移民局は、アメリカの企業が高度なスキルを持つ外国人労働者を採用できるよう、H-1B プログラムを近代化することを発表しました。

これには、高度なスキルを持つ外国人労働者の雇用がアメリカのイノベーションや経済発展などへ利益をもたらすこと、また、アメリカの企業の負担を軽減し、ニーズを満たすことが目的としたプログラムの効率化・手続きの合理化といったH-1Bプログラムの近代化が反映されています。その反面、雇用先のサイト・ビジットや書類要件の強化など、コンプライアンスの強化も目指しており、バイデン政権のレガシーともいえるでしょう。

ここでは、新しいルールにおけるポジティブな点についていくつか取り上げます。

すでに認可されたことがある申請が迅速に処理できるようになります。つまり、以前の申請に大きな誤りがあったことが発覚した場合や、スポンサーや外国人労働者、労働条件などに大きな変更がある場合を除いて、延長申請の際、以前の申請認可が尊重されることになります。

専門職の定義が改訂されます。H-1B申請において、外国人労働者の学士号は、役職に“直接関連”していなければなりません。新ルールは、“直接関連”とは、外国人労働者の学位と役職が論理的に関連していることと定義しています。つまり、直接的に関連している必要はなく、論理的に関連している限り、雇用主は関連性のあるさまざまな学位のフィールドを受け入れることができるようになります。

そして、条件に制限はありますが、起業家の自己申請が可能になります。 

H -1Bへのステータス変更を申請するF-1学生ビザ保持者は、審査期間中のステータスと就労許可の失効を避けるため、現在よりも最長6ヶ月のステータスと就労許可の延長が許可されます。

この新しいルールは2025年1月17日から導入されます。2025年1月17日より前に受領される申請は、2024年4月1日版の申請用紙Form I-129でも受け付けられますが、2025年1月17日以降に受理される申請は、2024年4月1日版は受け付けられず、2025年1月17日版でなければなりません。それ以前の申請用紙を受け入れるための猶予期間は設けられていませんので、ご注意ください。

琴河・五十畑法律事務所 弁護士・琴河利恵さん
Kotokawa & Isohata, PS
6100 219th Street SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043. USA
Phone: (206) 430-5108
www.kandilawyers.com

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。

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